午前中の制作部の時間はいつも稽古や活動で使用しているハートランドみのりの床磨きを行いました。公演後の恒例行事にもなっているこの床磨きは、日ごろ稽古や活動で使用してお世話になっているフロアを少しでもきれいにして感謝を示そうという精神で実施しています。この場所で稽古できて当たり前という勘違いを正す意味合いもあります。

机や椅子はもちろん、衣装や小道具の入ったコンテナも全て移動させての大掃除状態。暫定的に置かれていた物品をよりコンパクトに収納することもできました。この日は床だけではなく引き戸の溝や高所の柱、食器棚なども掃除しました。ますます大掃除のようでした。手分けして作業を進めたため、想定していた時間よりも早く終了させることができました。

午後の稽古時間は配布された短い脚本から8名の参加者を4名ずつのユニットに分け、配役まで行い、それぞれのユニットで演技の練習を行い、最終的には発表するという演習形式の稽古を実施しました。それぞれのユニットが使う脚本は全く同じものです。
まずはユニット分け。この段階でも様々な意見が出ました。誰はどの役がふさわしいかという観点から仮の組み合わせを導き出し、あとはバランスを考えて微調整するという方法でユニットが分けられました。その後はメインフロアを時間制の交代で使用しながらユニットごとの稽古です。「ここに椅子があると動けなくなっちゃうから立ってる方がいいんじゃないかな」「思い切って前に立ってもらえば他の人も前に動いてこれる」「机をバンって叩くのいいですね」「ここは自信満々にポーズもつけましょう」などなど、お互いのアイディアを出し合って少しずつ演技や物の配置が改善されていきました。

最後はお互いの作品を発表し、観劇した感想を伝えあいました。「同じ役でも人が変わると雰囲気が変わる」「テンポが良かった」「うまくこの人をリードしてるなっていうのが見えた」「声が役に合っていて特徴がすごくよく生かされているなと思った」など、互いの印象深い点を発表し合うことができました。

今回は自分たちで考えるというテーマで組まれたセッションだったため、いつもの稽古にはないような自分たちの共通理解が主体になった稽古でした。これを通常の公演時の稽古でも実践してほしいという振り返りが演出からありました。言われたからやる、指示された役者だけがその通りに動けばいい、という発想ではなく、全員がなぜそのような動きが必要なのか、どうすればもっと改善されるのか、誰の何をどうしたいのかなどを等しく共有することで、全体の連動性が上がり、細かいミスの発生が抑止されるようになるはずです。結果としてどの役者も安心してその場に立て、演じやすくなります。次回公演に向けての具体的な動きが定まらないこの時期に、こんなテーマで練習を積み重ねていく予定です。