本日から7月。4月ごろにはまだまだ先に感じ、ゆっくりと準備を行っていた第25回公演がかなり近づいてきた実感があります。
午前中は稽古を行っている事業所のスケジュールの関係で制作部はお休みの予定でした。しかし、そのスケジュールが悪天候によって変更になったので、集まった人だけで制作部の作業を進めました。これまでのグッズ製造に加えて、この日からは衣装作りも始まっています。原型から加工を施してイメージした形にしていく作業です。最初の一手を加える時には「やるよ?本当にやっていいんだよね?」と少々緊張感が走ります。そこを乗り越えると次からは逆に大胆に「ええい、これでいいや」「とりあえず切ってみよう」などと手が動くようになります。そんなことを繰り返しているうちにどんどん衣装の加工が進行していきます。

午後からの稽古は久し振りに夜間に及ぶ長時間稽古でした。もちろん途中に休憩(換気)や食事の時間を設けています。事前にどのシーンを稽古するかの予定が知らされていたので、役者たちは自分の出番に集中できるように準備をして臨んでいました。ウォームアップでもいつも以上にセリフの確認や動きの確認を入念に行う役者たちの姿がありました。

そしてほとんどの役者が早くも脚本を手放して演じていました。まだ本格的な稽古が始まってから3回目です。一般的に見てもかなり早いアクションではないでしょうか。これは、オフ期間に何度か演習を行った「セリフを覚えない演技方法」の実践です。あらすじやきっかけになる出来事を頭に入れ、そのシーンでの自分や周囲のキャラクターの役割や結末に沿った言葉や態度を表現する、そこで生じたギャップやミステイクを脚本で確認して修正していく手法です。とはいえ、まだまだ稽古開始から短期間で脚本を手放すのは勇気のいることです。しかし、どの役者たちも「早く脚本を話してやらないと、どこができていて、どこができてないのかわからないからね」と、その状況を前向きにとらえてチャレンジしていました。成長を感じます。

ひとつのシーンを何度か繰り返して稽古していると、最初はぎこちなかったセリフや態度が徐々に安定した人物の表現に仕上がっていくことを実感できます。この日も演出から「こういう表現をしよう」、「この声掛けは相手のこんな演技のためだ」、「お互いにお互いのセリフのきっかけを投げかけ合っているのでワンセットで考えて」などの指示が出され、役者たちはすぐに次の稽古でそのオーダーを反映させていました。稽古時間や密度が十分に確保できないご時世の中で、このような効率の良いレベルアップは必須です。これから先演出が求める演技の質もさらに高まっていきます。役者たちのレスポンスがどこまでついてこられるかが、作品の品質を左右することになります。少しずつでも作品と共に役者も成長していけることが理想です。

そんなわけで、てあとるみのり第25回公演「やみのむこうに ~しんそこにあるもの~」は2021年8月27日(金)~29日(日)の3日間、北池袋新生館シアターにて上演されます。9月中旬からは録画配信も予定しておりますので、ご都合のよろしいご鑑賞方法でお楽しみいただけましたらうれしいです!観劇チケットの販売開始は次週7月8日(木)を予定しています!