まずは宣伝から。「#演劇的な一日 in 大塚2021」参加作品「トキ×タマ~時をかける魂と時たまかける少女の日常~」は3月31日までイベントサイトおよび、てあとるみのりのYouTubeチャンネルにて無料公開されています。15分程度のこれぞ映像作品という短編物語です。お気軽にご覧下さい。
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こちらさて、3月11日(木)です。制作部では毎週行っているグッズ試作に加えて、次年度からの活動についての話し合いが行われました。複数の人が集まって運営されている団体において、いつまでも同じやり方ができるわけはありません。いつでも何らかの変化が生まれてくる可能性があります。それがいい変化でも苦労を伴う変化でもです。いずれの場合でも、これまで以上に劇団員ひとりひとりが自主性や責任感を持って取り組まなければいけないことに変わりはありません。そしてそんなそれぞれの変化が新しい可能性を生むのです。今日は改めてそんな話が交わされました。いい時間でした。

午後の稽古は先週から続くワークショップです。先週配布されたあらすじ(段取りだけが書かれたもの)を頭に入れてきたという状態からスタート。まずは即興芝居的にその段取りを再現していきます。そしてお待ちかねの脚本が配布されます。セリフもト書きもしっかりと書かれたものです。ここで気を付けなければいけないのは、真っ先に自分のセリフだけを探し出し、そこを覚えることに頭をシフトすることがないようにしなければいけないことです。これをやってしまうと先週から積み上げてきた状況、人物、展開という情報に基づいた演技がすべて失われてしまいます。先ほどまで実施していた即興定期な演技やセリフを、脚本のそれに近付けていく、修正していく作業が求められます。

即興的に行ったセリフがほぼ脚本通りだったシーンもあれば、逆にかなりイメージを勝手に作っていて人物像さえ異なっている人もいました。もちろんそのずれがあってしかるべきなのです。自分ではない他者を演じるのですから、そう簡単に思いつくようなキャラクターではあるはずもなく、そのずれをどうやって埋めていくのか、なにが足りないのか、どうすれば脚本の世界に近付けることができるのかをしっかりと見つめなおしていくのです。必要な要素は自分の中だけではありません。相手から意図のあるパスが出なければそれを受け取ることも、また次の誰かにパスをつなぐこともできません。全員が脚本というゴールを同様にイメージしてそこに近付くための連動をしていかなければいけないのです。

2週連続で実践したこのワークショップで、役者たちの脚本の読み方が大きく変わるはずです。セリフを覚えるために脚本を読むという概念から脱却し、脚本の世界に近付いていくために脚本を読むという感覚へ。これが達成できれば、稽古も公演ももっと充実した演技を繰り広げることができるはずです。セリフを正確に言うことが演劇の目的ではありませんので。