先週発出された緊急事態宣言を受け、てあとるみのりでは社会人枠を対象にした夜間と休日の活動を自粛することになりました。現在は日中の「ハートランドみのり」内の活動範囲にとどめ、ご見学や体験の受け入れを休止しております。事業所の管轄で日々の体調や生活に目の行き届いた劇団員だけでの活動に絞っている現状です。
そんな中で開催された午前の制作部は先週試作したグッズについての振り返りと実用化に向けての具体的な検討が行われました。試作品があることで、想定していた用途で使用した際に発生する不具合や発見できる改善点に気付くことができました。今後はこのデータを基にさらなる商品開発を進めていきます。
後半は「WALK ON 2WAY」の動画を鑑賞しました。先日まで有料限定公開されていた配信版です。実は、劇団員の中にはインターネット環境がない生活を送っている者もいます。そんな団員には初めて客観視する自分たちの演技です。ニヤニヤしたり、誰かの演技に笑ったり、自分の演技に「ゆっくりだったね」と反省したり…。様々な刺激を得ることができたようでした。
午後の稽古では先週に引き続いてポーズゲーム(ストップモーション)を行いました。出題者も持ち回りで行いましたが、ついついお題を出すことに専念してしまい、演者がどんな態勢なのか、突っ込むべきところがあるかなどを無視してのスピード進行になりました。演者側にとってはどんな状況でも言われたり合図をもらったらアクションを起こすという瞬発力(条件反射)の訓練になったようでした。
ここからが本日のメイン。ワークショップ形式で演技の構築方法を学びました。まずは共通した短い脚本を読み合わせます。登場人物は3名。セリフは1名あたり4つしかない本当にシンプルな脚本です。セリフに表現されている口調もごくフツーの口調で、ここから色々な要素を付け足すためにはかなりの空想力が必要になります。そんな脚本ですので、ますは平たく読んで行きます。そして次にそれぞれのチームに渡されたのは、まったく同じ展開でセリフの口調だけ少しアレンジされた脚本です。これで得られる情報が増えました。チーム内でどんな状況なのか?人物の関係性は?それにふさわしい配役は?を考え、自由にこのアレンジを楽しみました。楽しむ…と言っても実はなかなか奥が深く、目標は見る側が説明を聞かずともどんな状況でどんな人たちが何をしているのかわかるようにすることです。突飛な設定や面白がっただけの配役ではその目標は達成できません。セリフが少ない上にアドリブ禁止。わずかな表現手段の中でどうやってイメージや相関図を具現化するのかの勝負です。それぞれのチームが一生懸命に話し合いながら設定や役を深めていました。

実はこのセッションは長い脚本を手にした時に考えることと全く同じです。どんな状況なのか、それを表現するにはどうしたらいいのか、こんな相手がいるからこっちはどうするべきだろうかなど、独りよがりではなくその場に関わる者が全員で構築していくのが演技です。「WALK ON 2WAY」での反省材料のひとつでもあった、自分たちの力で考えて創って行くこと、チームの結束力を高めるためのワークショップでもありました。長い物語やセリフの数が多くなると、どうしても自分の出番やセリフばかり考えてしまいます。しかし、お互いにこのシーンをどう描きたいのか、どう描くべきなのかを話し合い共有して表現することで、伝えられる情報は格段に強化されます。短い脚本の中で、その大切さ、ひとつひとつのセリフの持つ重要性を実感できました。
再び様々な立場の劇団員がひとつになって足並みをそろえて進んで行くために、今はこうやって少しずつ力をつけていく時間です。前進するための時間です。