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6月20日の「コイノオキテ」です。

Posted by theatreminori on 20.2019 稽古レポート
8月8日から開幕する「萬劇場 夏の短編集VOL.8」!いよいよチケットの販売が始まりました!てあとるみのりがお届けする「コイノオキテ」は8月8日(木)19時30分からと10日(土)12時30分からの上演です。私たちを含んだ3団体の舞台を楽しめるお買い得チケットですので、ぜひお早目のご予約を!
「コイノオキテ」チケットご予約は→こちら

さて、そんなわけで、午前中の制作部も短編集に向けての活動が中心になってきました。本日6月20日(木)は、「コイノオキテ」で使用する衣装作りに取り掛かっています。既製品を購入しただけではイメージに近付けられない衣装に関しては、手作りまたは一部をアレンジする方法で仕上げていきます。素材になる布を広げ、必要な形状に切り出すところから始まり、その素材を縫い合わせたり縫い付けたりという流れで進んで行きます。イメージに近付けるためにはある程度のセンスが必要です。作業を進めながら「こんな感じでどうですかね?」「もう少し〇〇〇を増やした方がいいですか?」と、確認をしつつ仕上げていきます。まだまだ完成には至っていませんが、数週間はこの作業が続きそうです。

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午後の稽古では早くも「コイノオキテ」の通し稽古が行われました。役者たちはこの通し稽古に備えてセリフや物語の流れをしっかりと確認してきたようです。先週の稽古では脚本を手にして演じていた役者も、この日は脚本を見ることもなく、動きや相手の演技に応じたリアクションに重心を置いた演技を見せていました。

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「今朝の時点ではほとんど入っていないという感触だったけれど、やってみたら案外まともに(セリフを)言えた」と驚きの声を上げている役者もいました。こういった現象は珍しい事ではなく、相手役がいて、お芝居の流れが感じられる中で演じると、自ずと次の言葉が出て来るものです。もちろん、その下地になる脚本の内容理解を怠っていなかったからこその産物でもあります。これはひとりでは達成できなくても、相手役や同じ舞台に立つ仲間がいるからこそできることではないでしょうか。逆に言えば、ひとりでいくら悩んでいても実感として創り上げられないものが演劇なのです。

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今回の「コイノオキテ」は30分間の短編です。つまり通し稽古を1日に何回も行うことができます。この日はとにかく通し稽古に特化し、3回の通し稽古と演出からの振り返りを行っています。「通してみないと全体の流れがわからない」「通しの方が気持ちが入りやすい」「とにかく楽しい」と、この通し稽古については全団員から好評の言葉が上がっていました。やはり公演に近い環境で稽古をすることには、大きな意味があるようです。また、通し稽古の3本目はビデオに録画し、その動画を役者間で共有しました。早速本日の空き時間にその動画を確認し「ここはちょっと(表現が)違ったね」「絶対こうした方がよかった」「思った以上にここはテンポが悪かった」と、振り返りを行っていました。客観的に自分たちの演技を見ることで気付くことはとても多く、いい勉強になります。

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夜の時間は、通し稽古の中で特に気になったシーンの稽古を行いました。役を作っていく上で、何となく抱いている自分のイメージをどのように表現すればいいのかに悩んでいる役者に対して、演出からじっくりと「そもそもこの人物がこの場面で第一に考えていること、全ての言動の源になっている動機付けは何か」について、レクチャーがありました。ひとつひとつのセリフそれぞれに感情や状況をイメージするのではなく、全体を通して流れている人物の本質をいかにイメージできるかが大切なのは理解していても、それを具体的にどのような手順で、どの部分に着目して進めていくのかが理解できていない(脚本から読み取りきれていない)役者にとっては、目から鱗のような稽古でした。稽古を重ねるたびにキャラクターに芯のようなものが出来上がっていくのがよくわかり、ひとりの進化が作品全体の質を押し上げることを予感させてくれました。自分自身ができていようができていまいが、逃げることなく稽古に向き合うことが大切なんですね。