最近の東京は暖かくなったり急に寒くなったりの繰り返しで、なかなか「春だから暖かくなったね」という声が聞かれません。そんな中でも体調を崩すことなく、劇団員は毎週木曜日の活動に参加しています。では、4月11日(木)の様子を紹介しましょう。
10時から12時にかけて活動している制作部では、先週までの続きで新作グッズの試作を行っています。この日はいよいよいくつかのアイディアが形に仕上がりました。もちろんいきなり商品として採用されるレベルではありませんでしたが「思ったよりいい線行ってるね!」「もう少しここをどうにかできれば」「すごく惜しいところまで来ている」「初めて形にしてこれだけなら、まだまだいける」ととても前向きな手応えを感じることができました。第22回公演では実際に完成した新商品が登場するかもしれません。
午後の稽古。明日は某企業の研修に講師として招かれていますので、その研修の流れとそこで披露する「私たちを知ってもらうため」の寸劇の練習を行いました。社会に出て活動をしていることでこのような機会を頂戴できたことに感謝しつつ、それ故に果たすべき責務を胸に刻みながら、練習を行いました。

いつもの公演に比べれば50分の1程度の長さの寸劇ではありますが、どのように見てもらうか、研修生の視線はどうなるかなどを考慮しながら、何度か繰り返して練習しました。自分たちの身近なことを表現するというのは案外難しいようで、何となくわかっているけれどそれを形にできないもどかしさが存在していました。そこに「もっと自分の言葉で、自分が思い付いたようにやればいいんですよ」「誰かの真似をしようとしなくていいんですよ」という演出からの助言があり、少しずつシンプルながらも雰囲気が伝わりそうな内容に仕上がっていきました。明日が楽しみです。

その後は研修に参加しない団員も含めて、短い脚本のセッションを行っています。いきなり演出が指示することはなく、まずは配役から立ち方、進め方など、全てを出演者同士で話し合いながら演じる形をとっていました。その上でギャラリーから、出演者から、改善点や気付いたことを出し合い、最後に演出からまず何をどう考えるべきかの振り返りを行いました。

てあとるみのりの役者陣に限ったことではないのかもしれませんが、ついつい自分のセリフから注目してしまいがちで、そのセリフに至る背景、何らかのきっかけになる出来事や他者のセリフへの意識が低くなってしまうことがあります。そのままの状態で稽古が進むと、単にセリフを覚えているかどうかばかりに意識が傾き、相手との会話や駆け引きを表面的にしかでkなくなってしまいます。稽古中に何度か演出から「このセリフをなぜ口に出しているのだと思う?」「どういう気持ちでこの言葉を言っているの?」という質問が投げかけられることがあります。実はこれこそ稽古時間を無駄にしてしまう元凶。実はこんなことは稽古場でなくても、一人で脚本を読んでいれば考えてこれることなのです。自分のセリフを覚えることに傾倒し過ぎず、同様にセリフ(物語)全体を読み解いていくことが重要なのです。これによって、そのシーンで何をどう表現すればいいのか(しなければいけないのか)を役者全体で共有することができます。まずはそれが全体で提示できる状態で稽古が始まれば、さらに深い部分にまで演出の手が加えられる時間ができます。もちろん、お客様がパッと見た瞬間にこの状況がどんな状況なのか、人物の関係はどうなっているのかなどを理解しやすくなるという大きなメリットもあります。今まであまり主体的に考えることができていなかった部分を、このインターバルで少しでも鍛えようとしています。脚本の見方を変えなければ、演技の質も変わらないということです。