10月に入り「公演まであと2週間だ!」という実感が強くなってきました。まだまだ仕上がっていないセクションが複数存在するので、それらをしっかりと仕上げていくことが先決です。もちろん、その品質を落とさず、しっかりと創り上げていく必要があります。徐々にではありますが、団員の表情や態度から、より一層の真剣みが感じられるようになりました。
午前中の制作部ではひたすらグッズ作りに取り組みました。プラ板アイテム、キャラクターしおり、トートバッグという定番アイテムの他に、20日(土)に予定されている来場者プレゼントの製造も進みました。グッズの中には数量多く生産する必要があるものもあり、この段階で間に合いそうにないと思われる物は何名かで手分けして持ち帰ったり、活動時間終了後に居残りで作業したりしてペースの調整を行いました。午後の稽古中に手の空いた役者も、グッズ作りに関わるほどでした。とにかく複数のアイテム製造作業が同時進行で、しかも時と場所を超えて分業されている混沌とした状況でした。この追い込みで、必ず公演には品質を存分に保った状態の新しいグッズ各種をラインナップしてみせます!お楽しみに!

午後はまず「Station」のシーンごとに稽古を行いました。大女優こと川口和恵が出演するシーンの練習では、大女優自ら自分の演技を振り返り「うまく言えた!」「1個ダメだったね!」と、まだ他の役者が演じているにも関わらず、大きな声で演出にアピールしていました。実際の演出振り返りになると「じゃ」と勝手にトイレへ行くという展開はまさに大女優の風格でした(誰も逆らえません…)。大女優は自分の出番が無事に終わると、セリフのチェックはもちろんのこと、自分が担当しているグッズの仕上げ作業も行っていました。とにかく稽古の終わりまでお元気でした。

先週の稽古で演出から演技の改善点を提案されていた役者たちは、それぞれが準備してきた演じ方を稽古で披露し、さらなる質の向上を求めていました。演出から「なぜそのようにしているのか?」「この言葉を受けた時にどんな気持ちなのか?」といった質問(確認)が投げかけられるだけではなく、役者からも「ここで座るという感じではなく、立ったままになってしまった」「気持ちとしては抑えられないで相手にぶつけてみたいと思った」「(相手役に)もっとどんどん来てください」などと、演技に対する振り返りや要求が出されていました。お互いが見ていて感じたこと、演じていて感じたことを風通し良く共有し、その融合点を見出す作業が続きました。決して一方的ではなく、相互に関わり合う建設的な稽古こそ、てあとるみのりの特徴なのです。

休憩を挟んで「FFファンタジー」の稽古に入りました。今月から追加の稽古日程も機能し始めています。一昨日に実施した「FFファンタジー」の稽古を踏まえて、冒頭のシーンから何度か演出や演技の方向性を確認しながらラストまで、全てのシーンを稽古しました。再演作ということで、ある程度演技が板についている役者がほとんどですが、それでもさらによくしようと努力を重ね、演出からの要求に応じるだけではなく、自分で「こうした方がそれらしく見えるはずだ」「観客がこっちにいるわけだから、右腕を使った方がよく見える」といったように、演技の仕方を編み出し、改善してくる姿が印象的でした。

もちろん、新たにパーティーに加わった役者にとっては、日々の稽古が重要な模索の場になっています。自分で考えてきたプラン、演出からのオーダー、それを実践してみて感じたことを振り返り、最終的にどう演じるべきかを必死に確かめようとしていました。演出からもこの物語で描き出すべきもの、観客と共有したい感情というテーマ性であったり、ひとつの人物がやり取りを重ねる中での整合性に関するディスカッションが多く提示されていました。30分間の短い物語の中で、ここまで深められるものなのかと驚いてしまうほど、様々な角度や深さでの解釈が編みこまれていきました。役者個人だけではなく、物語全体が確実に成長しているのがわかりました。これは萬劇場バージョンを超える仕上がりになりそうです。期待できますよ!
いいよあと2週間で初日を迎えるてあとるみのり第20回公演「Stationファンタジー」。雰囲気の異なった2作品を一気にお楽しみいただける、大変お得な公演です。ご覧いただいた皆様には、明日の自分が少しでも変わるような、前向きな力をお持ち帰りいただきたいです。そんな力を引き出せるような作品を目指して、残り僅かの準備期間を突っ走ります!