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6月28日の「FFファンタジー」です。

Posted by theatreminori on 28.2018 稽古レポート
萬劇場ショートストーリーコレクションでの公演まであと1カ月となりました。毎週木曜日が活動時間になっているてあとるみのりでは、この段階から早くもラストスパートです。衣装、小道具の製造が急ピッチで進み始め、役者たちも通し稽古に臨んでいます。そんな6月28日(木)の活動の様子を紹介しましょう。

午前中の制作部では「FFファンタジー」の衣装、小道具類の製造と調整を中心に行っています。すんなり形が決まった衣装はかなり完成形に近づいてきました。その一方でなかなかいいアイディアが浮かばず、難航している衣装も数点あり、仮の素材を使って「例えば、こんな感じでここに付けたらどうでしょう?」「縫わなくても挟んでしまえばそれっぽくなるよ」などと試行錯誤を繰り返しています。その結果、ある程度の方向性が見えてきた衣装案もあります。午後の通し稽古には間に合わなくても、次回の制作部までに素材の準備や加工できる状態にしておくことが確認されました。徐々に衣装、小道具が充実してきています。

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また、来月の萬劇場ショートストーリーコレクションだけではなく、10月に予定されている第20回公演で販売予定のオリジナルグッズの案の検討も行われました。結成10周年で20回目の公演。それをモチーフにしたグッズの開発にいくつかの案が提出され、意見交換が行われました。さすがに出された案があっさり採用されるということはありませんでしたが、こうして時間をかけてアイディアを洗練させていくことが、よりよいグッズを作るために必要なことなのです。「いろいろ考えてみることで、ふっといい案が湧いてくることもありますよ」と、お互いに案を認め合いつつ、次のアイディアへの糧とすることを誓い合いました。

午後は公演1か月前の通し稽古です。現在準備できる衣装や小道具、音響を(仮のものを含めて)導入しての通し稽古です。役者たちの緊張感もかなりのものでした。さらにメイクも、役者が自由に考えてきた案を含めて、ある程度の形まで施してみました。衣装と小道具、そしてメイクを装備すると、役者たちの気持ちもいつもの稽古よりも充実したものに高まります。「なんだか自分がどんどん強くなってる気がする」「やっぱり気持ちが切り替わりますね」と、役者の数名は率直な実感を口にしていました。

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肝心の通し稽古の中身に関しては詳しくお伝え出来ませんが、先週の稽古で不安のあったシーンは各自が自主練習や脚本の再確認を行ってきたようで、通し稽古そのものは予想以上にスムーズに進行しました。実際の劇場とは場面転換の感覚が異なるので、照明をどうするのか、入れ替わるタイミングはどうするのか、舞台を降りた場所で行う着替えや次のシーンの準備は大丈夫なのかといった具体的なことは、改めて検討が必要になりそうです。公演まで1か月という段階での通し稽古としてはまずまずの感触でしたが、それはあくまでも稽古の話。本来の目的は公演本番でお客様にいい舞台を披露することです。油断することなく、残り1か月で1か月分の成長を付与していかなければいけないということです。

そんな目的を達成するため、役者たちの演技について通し稽古終了後に休憩を挟んで、部分ごとの稽古を実施しました。感情の流れであったり、そもそもどんな動機でその感情が芽生えているのかといった人間の内側を構築していく振り返りが目立った稽古でした。ただ怒ろうとして怒っているように演じているのか、心が何らかの影響を受けた結果が怒っているような言動になっているのか、この感情表現の深さの違いを、役者たち全員でディスカッションする時間もありました。少しの時間稽古そのものが止まったようにも見えましたが「深い話ができてよかったです」と、得るものも大きかったようです。

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表現するということにひとつの決まった答えはないものです。演出家に対して正解を求めるのが稽古でもありません。もっと素直に感情の奔流を受け止め、それを自由な手法で表現する。セリフという形式にとらわれるのではなく、その裏側に隠れている人物の心をしっかりと感じながら、他者との関わりの中で生まれる反応を楽しむことが、役者の楽しさでもあり、やるべきことでもあります。まだまだ突き詰めて考えていかなければいかないことはたくさんあるのです。