【てあとるみのり春の公演情報】てあとるみのり第19回公演「影の舞台」
2018年3月9日(金)~11日(日) 北池袋 新生館シアターにて
チケットは間もなく販売・予約開始予定です!
てあとるみのりイベント公演「ボーダーライン(改編版)」
2018年2月6日(火)
北本市文化センター大ホールにて
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こちらはあとの木マルシェ+(朗読劇ブースに参加)2018年2月14日(水)豊島区役所1階 センタースクエアにて
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こちら
1月11日(木)。午前10時から12時にかけて行われた裏方部門の活動、制作部の内容から紹介しましょう。この日も公演での販売を想定した手作りグッズ製造を手掛ける班と、
第19回公演の衣装を調整する班、イベント公演用の衣装を製造する班に分かれて活動しています。どの班も手際よく、黙々と作業を行いました。編み物の技術を用いたグッズを中心に創っている「K&Kブランド」創始者の大女優は、いつもより早く姿を見せたものの「あー!私が大変!」「かぎ針ない?忘れてきちゃったー!」と致命的な忘れ物をしてきたため大騒ぎでした。結果的に他の団員が所持していたかぎ針を用いて作業を行うことができ、事なきを得ています。基本的には静かに集中した時間でしたが、こういったハプニングが突発的に怒るのも、制作部ならではです。
また、この日は
第19回公演「
影の舞台」のフライヤー(チラシ)の印刷業者への入稿が行われました。この日まで総監督と制作が表と裏面それぞれを担当して、切磋琢磨しつつ仕上げたデザインです。次週の活動には印刷の終わった現物が納品されます。団員たちにはいち早く入稿したデザイン(試し刷りしたもの)を公開しています。「影だ!」「かっこいい!」「ジョッピーが隠れている!」と、一同大興奮でした。
13時から21時まで開催された稽古(16時以降は任意参加)では、
第19回公演「
影の舞台」のシーンごとの練習、ダンス練習を行っています。ダンス練習は学生の団員が合流するたびに15分間ほど実施し、反復トレーニングしています。「振り付けを頭で追いかけるのではなく、歌・メロディをたどるように動くこと」というアドバイスの下、技術や可動範囲にこだわらず思い切って自発的に動くことで、少しずつダンスっぽくなってきました。どうしても自信がないと、前に人を置いて、その人の動きを見ながら動こうとしてしまいます。これでは曲とのシンクロは実現できません。素人目に見てもずれている、テンポがあっていない、遅れているのがわかってしまいます。何よりもダンスではなく物真似になってしまいます。ひとりひとりが、他人に頼らず、曲と一体になることに集中して動かなければ、いつまで経っても上達しません。今さらながら、そういった振り返りを受けて目が覚めた団員もいたようです。
お芝居の稽古でも似たような話がありました。既にセリフも頭に入っていて、脚本を手放しても問題なく演じられそうな役者が「心もとない」「どうしても不安で」という理由で脚本を手放せずにいました。演出からは「セリフ覚えに自信がない、心配だという人ほど早く脚本を手放すべき」という理論が説かれました。早く脚本から目を離すことで自分ができていない部分、どうしても間違えて言ってしまうセリフを早期発見でき、時間が潤沢にあるうちに修復し、反復練習する機会を活用してい心と体に言葉を浸透させることができるからです。直前まで脚本を見て演じるのは、この調整や自覚を行う時間が少なく(見ながら演じればセリフのミスは起こらないし、なぜそう言うのか、どうしてその言葉が出ないのかを考える必要もない)、いざ本番という時に苦労してしまいます。いつまでも脚本片手に演じるというのは、セリフに自信がある人がやることなのです。稽古で「できないこと」を発見しない限り、公演でできるようにはなりません。そもそも芝居の流れ、相手の気持ち、自分が演じる人物の心情などに集中できません。

この話を受けて、先述した役者も脚本を手放して稽古に挑みました。細かいセリフのミスやアドリブも散見したものの、役の雰囲気がガラッと深まり、本人も「手放した方がやりやすかった」「やってみてよかった」と実感を得ていました。稽古の場で何度も繰り返す失敗は、公演というたった数回しか与えられないステージでの成功の為です。稽古で失敗しないことを目指しているのではなく、公演の成功を目指すのが稽古です。できるようになるために失敗するべきなのです。お芝居の稽古はもちろん、ダンス練習もそうです。それ以外にも我々の日常生活でも似たようなことが当てはまる場面がたくさんあるはずです。

物語の中で特定の小道具を使用する人物もいます。その道具の使い方、それを持った時の動き方ばかりが気になっている役者もいました。そもそも、その人物はなぜその道具を使っているのか?脚本に指定されているから、ではありません。その人物の生い立ちの中で、その道具を使用せざるを得ないような事情があったからです。例えば杖を突いている人物は、脚が不自由だから杖を使っているのです。「脚が不自由」ということには、痛いからなのか、動かないからなのか、疲れているからなのか、怪我をしているからなのか、義足だからなのか…など、様々な要因が考えられます。そういった要因、エピソードがあるからその小道具を使用しているのです。形式的に使い方だけ演じようとしても、それは演技ではなく物真似です。要因の部分を人物の中に落とし込んで、そこから派生する動作や感情の末端に小道具があるのです。改めて言われるまでもない話のようかもしれませんが、実際に何度か演じていると、忘れてしまいがちな考え方です。もう一度原点を見つめて取り組むには、いい機会になったのではないでしょうか。

さて、「
影の舞台」の稽古はこの日でひと段落です。次週からは2月6日のイベント公演に向け「
ボーダーライン」の稽古がスタートします。こちらは短期集中で一気に仕上げていきます。役の思考を切り替えつつ、お芝居に取り組む気持ちは同様に、しっかりとそれぞれがそれぞれの役割に向き合っていくことになります。限られた稽古回数を無駄にせず、お客様のために頑張ります!