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11月30日の「影の舞台」です。

Posted by theatreminori on 01.2017 稽古レポート
11月は活動が2週連続で行事、祝日の影響を受けてお休みになっていましたので、久しぶりの活動となりました。劇団員はそれぞれの準備を進めた上でこの日を迎えたようです。緊張感もありつつ、楽しみな雰囲気も感じられました。

午前中の制作部はグッズ作りと衣装関連の買い物と大きく二つのグループに分かれての作業となりました。買い物班は数名で近所の100円ショップへ。グッズ作り班はさらに担当する作業を分け、黙々と作業しました。制作部には新しい団員が増えているので、グッズのバリエーションも増え、仕上がりの品質も高まりそうです。1年前には人数も少なく、ひとつの工程にも時間がかかっていた制作部が、個々のスキルアップに加えて、参加者の増加という嬉しい変化によって、着実に生産能力を高めています。そういった体制的な進捗に比例して、完成させる商品のイメージもかなり練りこまれていますので、作業は順調です。てあとるみのりの大女優も時折「今日雨が降るらしいから傘立て出しておいてよ」と、天気のことを気にしながら手を動かしていました。

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午後の稽古では、2週間の休みの間に手が加えられた脚本についての説明がありました。大きな流れはそのままに、個々のキャラクターの主張や特徴がより強調、整理された物語は、確実に2週間前より面白くなっています。物語そのものに、てあとるみのりが受け継いでいる大きなテーマも根付いており、まさに完成形に至ったという感触です。役者たちもそんな脚本のポテンシャルに重圧も感じつつ、それを表現することへのワクワク感を抱いていました。

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以前の脚本の状態でも十分に読み込んできていた役者も多く、順応はスムーズでした。早速行われたシーンごとの稽古では、早くも脚本を手放す役者が続出でした。12月の差刺繍稽古では通し稽古を行うことがすでに告げられていますので、当然と言えば当然の速度感なのでしょうが、今まではどこかのんびりした感じで「まだそこまでやらなくても大丈夫だろう」と構える役者がほとんどだったことを考えると、制作部に負けず、役者としても劇団員に変化が生まれてきているようです。

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脚本を手放すことは勇気のいることかもしれません。当然ですが、脚本を見ながら呼んだ方が確実ですし、思い切って演じることができます。脚本を思い切って手放すことで、不安になり、セリフの順番ばかり頭の中で反復するようでは、脚本を手放す意味がなくなってしまいます。この日の稽古では、脚本を手放して挑んだ役者が、演技の中で自分が呼ばれたわけでもないのに「はい!」と勢いよく返事をしてしまうという現象が発生しました。一見するとただのおもしろNGシーンで、みんなで笑って済ませてしまいそうなことですが、実はこの裏側には演技そのものの構造を大きく踏み外した力動が働いているのです。つまり、脚本を手放したことで、セリフの順番や展開のきっかけばかり頭の中で再生してしまい、「このシーンで名前を呼ばれる」「呼ばれたらすぐ返事をする」というロジックだけで待機していたのです。結果として、自分ではない他の役が呼ばれたのに、条件反射のように素早く返事をしてしまったわけです。セリフを覚えたかどうかの不安、正確に再現しようという誤った集中力ばかりが先立って、実際にその場に立ち、相手の声や思いを感じ取っていないことの象徴でした。演出からは「思い切って脚本を手放したのなら、演技も思い切ってやり切る覚悟を持て」という言葉が投げかけられました。間違えることを恐れるのではなく、芝居の中で正しいことをしてしまえばいいだけの話だという開き直りで、思い切り演じ切ることの方が「生きた芝居」を生み出す上では大切なのです。

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そんなわけで、早くも11月の稽古が終了となりました。てあとるみのり第19回公演影の舞台」は2018年3月9日(金)~11日(日)の3日間、北池袋 新生館シアターにて上演予定です。チケット販売・予約開始は2018年1月中旬を予定しています。今回も上演回によってプレゼント企画も準備しています!ご期待ください!