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7月20日の「ボーダーライン」です。

Posted by theatreminori on 21.2017 稽古レポート
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第18回公演「ボーダーライン
8月4日(金)~6日(日) 北池袋 新生館シアターにて

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公演までの活動は残すところあと2回。いよいよ大詰めという状況です。制作部も稽古もそれぞれが仕上げの段階に入っています。外の暑さに負けないぐらい熱気を持って活動に取り組んでいます。

午前中の制作部では毎公演恒例のグッズとなっている「キャラクターしおり」の生産が最終段階に入りました。今回の「ボーダーライン」に登場してくる人物を団員の村上がデフォルメした人気アイテム。キャラクターによっては千秋楽を待たずして売り切れてしまうこともあります。これまでデザインが確定していなかった一部のキャラクターも出そろい、所定の数量を目指して一気に作業を行っています。キャラクターしおりは公演会場で公演期間中のみの販売。1個100円というお買い得商品です。お気に入りのキャラクターや役者をぜひお買い求めください。

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しおり以外のグッズ、衣装、小道具の調整、音響の編集なども制作部の時間には並行して行われています。ここまでくると、不足しているものがないか、修正が必要なものがないかの確認をしながらの作業になります。新しい物を創る…という段階ではありません。そのため、ひとつの作業に集中するというだけではなく、その作業が終わったらすぐに次の作業、他の作業というように、次から次にやるべきことが変わっていきます。時間が過ぎるのもあっという間です。

午後の稽古の前半は役者が4名だけの参加でした。いったいどういうことかと申しますと、近隣のクリニックが演劇を用いたプログラムを実施しており、その成果報告会と作品の上映会にお招きを受け、稽古スケジュールが調整可能な団員たちがお邪魔していたからです。実施している機関が福祉と医療といった違いもあり、演劇作品の作り方や発表スタイルは少々異なっていましたが、参加者が生き生きと、真剣に作品を創り上げている姿勢に関しては共通していました。ある意味公演を繰り返す中で忘れかけていた真摯な思い、その一瞬にかけるエネルギーなど、参加した団員はとてもいい刺激を持ち帰って来たようです。お招きいただけたことには大いに感謝します。

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残った4名は、特訓のような雰囲気の中で演出から細かい演技指導や改善点の要求を受けていました。先週までに修正を課せられていたシーンについても稽古が行われましたが、総じて完成度の低い内容でした。公演直前になってなお、脚本の読み込み・役作りが甘いこと、それをよしとして諦めてしまっている役者としての責任感のなさに対して、何度も説明が繰り返されていました。特にセリフの曖昧さに関しては「繰り返し伝えているのに、いつになったら直るのか?」との問いかけが突き付けられていました。何故この問題が一向に解決されないのか?その背景には、自分のセリフである以上、多少間違えてもアレンジしても自己責任だから大きな問題ではないという大きな勘違いがあるのです。

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自分のセリフの前後には何があるのか?それは、同じ舞台に立つ他の役者のセリフがあるのです。曖昧なセリフを繰り出すことは、そんな仲間に対する最大の冒涜です。他者の演技の足を引っ張っているだけです。脚本の中の、自分のセリフだけマーカーで色を塗り、とにかくそれを覚えればいいと思っているから、そんな自己中心的な演技に終始するのです。自分に与えらえた役割を理解し、役を作り、表現していくには、相手は何をしようとしているのか?相手が持っている役割を生かすにはどうすればいいのか?など、自分のセリフ以外の部分から数多くの情報を得なければいけません。その中に自分の存在があるということを忘れてはいけません。これは演劇に限った話ではありません。仕事にも、チームで行うスポーツにも、全く同じことが当てはまります。てあとるみのりの団員は、一般的に演劇を志している方々と比較して「自分のことで精一杯」「自分は大変だからここまで出来れば十分だ」という甘さをより強く持ち合わせています。他者のために己を律することが大の苦手です。だからこそ、演出はその改善を求めているのです。演劇のためだけではなく、社会で生きていく力を育むためなのです。

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稽古の後半には近隣のクリニックからのご招待に出向いていた団員も合流し、稽古場もにぎやかになりました。そこでも鍵になっていたのが芝居の流れの大切さと、それを損なっているセリフの曖昧さについてでした。繰り返し、抜け目なく準備と鍛錬を行っていない役者と、それを行ってきた役者との差が劇的に浮き彫りになっていたからです。まともな演技ができていない役者たちは、セリフに自信がないから本来流れるべき流れを崩してしまう(セリフを思い出さ異ながら手探りでしゃべっている、飛ばしたり・早まったりして相手のペースを乱す)わけです。自信がない、緊張する、いつも間違えると自覚しながら、それを凌駕する練習・準備を怠っているのです。常日頃から役作りに向き合い、様々な可能性を想像していないのです。こんな状態ではどんな舞台の上で演じることなどできません。公演直前の稽古でこんな話をしていることに驚かれるかもしれませんが、この時期だからこそ、忘れてはいけない原点をもう一度見つめ直し、できることのすべてをその遂行に注ぎ込んでもらうために必要なことなのです。「今度自主練でみっちり3時間セリフを見直そう」「何が悪いのかわかったので、来週までに直します」など、今日の段階ではその気になった役者たちがいました。その言葉が上辺だけのものではないことを次週の稽古、その先の公演で証明していただきたいところです。

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このように、細かい部分まで突き詰めた要求が出されるほど、「ボーダーライン」は成熟してきています。形だけ整えたレベルではなく、より舞台の質が高まってきています。団員たちは少しでもいいものを創りたいという動機を持ち、そのために課せられたシビアな案件に立ち向かっています。そんな思いと行動が結実した第18回公演「ボーダーライン」。まだまだお席に余裕がありますので、ぜひ、皆様の目で、我々のチャレンジとシンカ(進化・深化・真価)を見届けてください!