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6月1日のボーダーラインです。

Posted by theatreminori on 02.2017 稽古レポート
早くも6月に突入しました。第18回公演「ボーダーライン」の公演まであと2カ月少々です。そう考えるとまだ先のように感じますが、てあとるみのりは毎日活動をしているわけではありません。驚くことに週1回しか制作部も稽古も開催されていません。つまりもうあと9回の活動で公演なのです。果たして間に合うのかという不安もある中、立ち止まることなく全員が自分の役割を全うするために、日々努力しています。

そんなわけで午前の制作部は、先週からの宿題だった、「ボーダーライン」に関連した限定グッズの案の検討が行われました。登場人物をモチーフにしたアクセサリーを提案する団員、作品の舞台になっている場所をイメージしたオブジェを提案する団員など、それぞれがこの1週間で練り込んできたアイディアや、調べてきた報告の披露が行われました。中には何の準備もしてこなかった団員もいましたが、そんな団員には改めて次週までに考えてきて欲しい宿題が課されています。制作部に携わる一員として、誇りと責任を持って臨んでいただきたいところです。

話し合いに続いてはグッズの製造と衣装の製造が行われました。衣装に関しては工程と生産すべき数が多いことから、何人もの手が必要なアイテムがあり、とにかくひたすら手分けして作業を続けました。その一方で、縫物が得意な団員が加わったことで、衣装の造形が必要な部分はかなり進捗しました。得意なこと、できることを生かしながら、少しずつ効率よく作業が進んでいる印象です。このペースであれば衣装は何とか間に合いそうです。

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制作部以上に時間との戦いになってきているのが午後の稽古です。稽古できるシーンや回数に限りがあるため、ほとんどのシーンや役作りは持ち帰っての課題になります。各自が確実にその課題をクリアして持ち寄ってきてもらわないと、稽古そのものが成立しません。休日に自主練を実施した役者もいたようで、そのあたりの意識はしっかりと浸透していました。稽古では各自が準備してきた演技、自主練で固めてきた演技が披露され、演出から良かった点や改善が必要な点への振り返りが繰り返されます。もちろん、すぐに申し分なく演技を仕上げてくる役者はいません。全員が至らぬ部分を指摘され、今後の進化の方向性を整理され、再びその課題を持ち帰って鍛え上げてくるという努力を繰り返す必要があります。

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この日の稽古では冒頭のシーンから中盤、後半の山場のシーンという、物語の中核を形成する場面の稽古が行われています。冒頭シーンを任された役者は「どうしても力が入ってしまう」「頭ではこうやろうと考えているんだけれど、しっかりやらなきゃと思って何だか違うものが出てしまう」「後のシーンと何か違うんですよね。同じじゃないとおかしいですよね」と、何度も悩んでいました。演出からは、しっくりくるシーンやセリフを軸にして少しずつキャラクターを固めて行って欲しいとのアドバイスがありました。

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また、セリフの形にこだわり過ぎて、中身になる人物の感情や思考の表現ができていない点を指摘される役者もいました。演出からは「そのままだと、ただ○○さん(役者名)がセリフを呼んでいるだけにしか聞こえない」「お客様から演技が良かったとほめられることはない。いいセリフをしゃべっていても印象に残らない」と、かなり危機レベルの高い申し送りがありました。表面的な言葉の表現にとらわれ過ぎると、その根底に流れているはずの感情や性格、人間性を疎かにしてしまうことはよくある話です。それは決して演技ではなく、セリフの暗記と物真似の披露に過ぎません。人物や物語の魅力を伝えるためには、そんな演技とは呼べない所業から脱却し、しっかりと何らかの心の動きに連動した言葉や態度を発するように、演技というものを組み立て直さなければいけません。全員が役作りという準備の基本に立ち返って、再び1週間かけて準備をしてくることになりました。

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準備してきたものが必ずしもうまく評価されたり結果に結び付くとは限りません。時には誤った方向で準備してきて梨、形を固めてきてしまうこともあります。そこで得た指摘や課題を、どう次の稽古に生かすか?一度作り上げたもの、これでいいと勘違いしていたものを、どれだけ崩すことができるか?残りの2カ月、毎日こういった作業の繰り返しです。この地道でありながらも繊細な努力があってこそ、多くのお客様に物語と人物の魅力を伝えることができ、同時にお客様から感動と称賛の拍手を頂くことができるのです。その瞬間を目指して、我々は全ての可能性を舞台創りに傾けています!