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早いもので1月最後の稽古となりました。公演は2月下旬。公演まで1カ月を切ったということになります。いよいよ残す稽古は4回。次週からは通し稽古が主体になっていく予定なので、実際に細かい稽古が行えるのはこの日が最後になりそうです。
そんな1月26日(木)午前の制作部は、グッズと並行して衣装の製造も進行しています。衣装の中には加工や製造が必要なものがあり、この日はその作業に入っています。あえて手作り感を前面に押し出した衣装もあり、その雰囲気を存分に発揮するようにデザインしています。グッズ作りは2種類のグッズが同時進行で製造されています。グッズはほぼすべての工程が手作りなので、分担して進めています。ロゴを転写させるための作業ではうっかりロゴの途中でシートをカットしてしまうという事故も発生しましたが、これも手作業を分担して取り組んでいればこそのアクシデントとして、工程をよりわかりやすくしていくためのきっかけにしていきたいところです。

午後から始まった稽古では、冒頭でチケットの販売状況、グッズ製造の進捗などの情報確認と、今後の稽古スケジュールが伝えられました。残りわずかとなった稽古です。団員たちからも緊張感と取り組む意欲の向上が感じられました。しかし、実際に稽古が始まると、その緊張感や集中しなければいけないという思いが裏目に出たかのように、個々のセリフや動きのことばかり意識した雑な演技が続いてしまいました。すぐに演出が稽古を中断し、もっと基本に立ち返り、自分の感情表現を抑えて綺麗にまとめるのではなく、情熱的に表現をぶつけ合ってほしいと檄が飛びました。どうしても失敗したらどうしよう、みんなに迷惑をかけないようにしないという思いと、これだけやったから充分だ、できなければそれが自分の限界だから仕方ないといったネガティブな身の引き方が先立ってしまうのが、てあとるみのりの役者たちの悪癖です。たびたびそんな保守的な思いを打破するきっかけを与えていかないと、いつまでも同じ壁の前で立ち止まったままになってしまいます。

また、この日の稽古では物語の終盤に表出してくる作品の真のテーマに関する説明と、それぞれのキャラクターがどうやってのそのテーマを描き出すべきかの説明が演出からありました。観客の方々にそれらを伝えたいなら、もっとまともに脚本を読む必要性があります。「まともに」とは、セリフを覚えるために字面だけ、ましてや自分のセリフだけを何度も読む方法とは完全に異なった、物語の空気、流れ、温度、残響、相手の動作・表情・動く心情など、五感に刻まれるイメージを共有するために脚本を読むことを指しています。これこそが空っぽの器である物語に息吹を吹き込むため「脚本を読む」ということに該当します。だからこそそれを体感できる稽古は貴重な時間であり、そこで得られた感触を各自が確実に持ち帰り、より大きなイメージに育て上げてこなければいけません。その準備を当たり前に何百回と繰り返してこそ、イメージの具現化が成されます。それができていないからこそ、何度稽古しても、ただのセリフ暗記テスト、自分のセリフ発表会止まりなのです。

できるかどうかを懸念して、それだけでやることを諦めてしまうという弱さを上回って、とにかくやってやろう、これを創り上げたら面白いぞという前向きな思い、熱意、意欲を持つことも重要です。何のためにここに集まって、何のためにみんなでひとつの物事に取り組んでいるのか?その真意をイメージすることができなければ、共にひとつの舞台を創れません。ひとつになれません。「できるか、できないか」よりも「やるか、やらないか」がの気持ちの区切りが重要です。観客が我々に求めているのは、優等生な演劇ではない、個性・生き様・情熱のぶつかり合いです。不格好でもそんな個性の集合体の方がはるかに見ていて面白いはずです。

…今日の稽古で演出から語られた話はこれだけではありませんでしたが、概ねこういった心構えが根底にある話でした。これを受けた役者たちは1回のセッションに全身全霊をかけて臨んでいました。この魂の昂りこそ、舞台に求められる臨場感、躍動感、エネルギーなのです。1回のセッションで「うわぁ~」「ふううう~!」と、底知れぬ解放感や達成感が役者たちに舞い降りていました。中には自然と涙を流す者もいました。やがてその感触が実際の演技の中に還元され、自然と物語のテーマに触れ、感情が動くようになりました。役としてそこに立ちながら、己の中に動いた感情と向かい合うことができました。これこそが演技の構築です。この感触を各自がしっかりと育て上げられれば、今までにない感情が現実的に動くドラマができるはずです。お楽しみに!