てあとるみのり第17回公演「TRIGGER」2017年2月24日(金)~26日(日) 北池袋 新生館シアターにて参加者(音響、照明、役者)募集中!→
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11月は木曜日に祝日、てあとるみのりが活動拠点にしているハートランドみのりの行事が入ってしまうため、活動回数が半減してしまいます。そのため10月最後の活動になった27日(木)は、緊張感と焦燥感が交錯する一日となりました。
制作部では引き続きグッズ案の試作品持ち寄りと、それに関する検討が行われています。グッズの最終決定が11月24日に設定されているため、大まかな形状やコンセプトは絞り込んでおかないと間に合いません。団員たちはお互いの案に対して「もう少し小さい方がいい」「真ん中に入れた方がいいのでは?」「こっちの形の方がいい」などなど、思い付いたことを遠慮せず意見交換していました。この日一番白熱したのは、ラインナップ予定のトートバッグのデザインについて。どのような素材をどこに配置していくか、実際に紙を切り抜いてロゴマークに見立て、あーでもない、こーでもないと議論を重ねていました。議論はデザインの問題を飛び越えて、バッグのサイズにまで波及していました。

午後の稽古では配役決定を控え、最終オーディションを行っています。もちろん昼の稽古に参加できない団員は別枠なので、この瞬間にすべてが決まるわけではありません。それでも参加した団員は、いつもの稽古の数倍の達するであろう緊張と集中を傾けて稽古に臨んでいました。稽古開始前の昼休み中から、集中して脚本を読んでいる、声を出している役者がほとんどでした。それぞれの過ごし方、稽古への準備の仕方が一味違っていた印象です。

オーディションは全部で5シーン。演出から指示された配役で脚本を読むというシンプルなものです。動きに関しては重要視されず、役者たちにはとにかく正確に読むこと、人物の雰囲気を表現することに集中してもらっています。つまり直立した状態で脚本をしっかりと目で追いかけながら演じていいというわけです。これは裏返せば、セリフのミスが許されない状況です。ましてやひとつのシーンでひとつの役を演じられるチャンスは1度だけ。緊張するなという方が無理でしょう。

序盤は肩に力が入った役者も多かったのですが、何シーンか進むうちに、動かなくていいと言われているにもかかわらず、迫真の演技を求めて体を動かし始める役者もいました。「この方が気持ちが入るから」と、その人なりのアピールです。ただし、気持ちが入り過ぎてしまうことで、思わぬミスが発生することが舞台ではよくあります。この日も、いつもより緊張する中で気持ちが先走ってセリフがおろそかになる役者がいました。この点は演出からも精神状態をコントロールして、熱くなりつつも冷静に演じられる心理状態(その感覚)をものにするようにという振り返りがありました。オーディションという緊張感の中だからこそ、気持ちが制御できなくなりがちです。それでもいつもの力に近いパフォーマンスを生み出せるようにしなければ、舞台の本番で安定した演技を生み出せません。

どうしても普段の稽古では「間違えてもいいや、練習だから」という甘さが目立ってしまいます。本来はこの日のオーディションの様に「ミスをしたらいけない」という緊張感と、その中で己をコントロールする力を得るという課題の中で稽古に臨まなければいけないはずです。オーディションを終えて、演出からはそんな振り返りが全員に投げかけられました。突然開催された配役オーディションには、こんな当たり前ながらも、日頃忘れてしまっている重要なことに気付いてもらおうという狙いがあったのかもしれません。
肝心の配役は、オーディションで収集されたデータにT.M.Evolution枠の役者たちの適性も加味しながら、間もなく決定することでしょう。「どんな役になっても全力で取り組みます」というのが役者たちの総意です。なぜなら、舞台に立てることだけでも、人生の中で極めて特別な体験だからです。選り好んでいる場合でも、できるかどうかで怖気ついている場合でもありません。この奇跡ともいえる幸せな時間を手にするには、自分がその意欲と、それを手にする力量を見せつけていくしかありません。立ち止まったままの人は何も得られないのです。これは舞台に限った話ではない、人生そのものを指していると言えるでしょう。