5月19日の「宴もたけなわ」です。

Posted by theatreminori on 20.2016 稽古レポート
先週は数名の団員が欠席したため、午前中の制作部、午後の稽古共に人が少ない活動になりましたが、今週は休んだ団員も復帰し、人数だけはいつもの活動の雰囲気でした。しかし、休んだ団員にとっては、休んでしまって周囲に迷惑をかけたこと、そんな自分への反省という思いから、なかなか気が気ではない一日だったようです。もちろん、それを受け入れる団員たちも、どんな言葉や態度を投げかければいいのかと、この1週間悩んでいましたので、すんなり笑顔で気持ちよく、普段の雰囲気に戻れたのかというと、そうでもないのが現実です。どこかギクシャクしたような、気まずい雰囲気が停滞していたのは間違いありません。団員たちはお互い支え合い、競い合い、日々頑張っているわけですから、お互いに一瞬で気持ちを切り替えろという方が無理があります。しばらくは関係の完全修復まで時間を要することでしょう。演劇だけではなく、人間同士が真剣に向き合おうとしていればこその壁です。

さて、制作部ではそんな雑念をひとまず置いておいて、とにかく作業の手を進めることに集中しました。これまで滞っていたキャラクターの衣装作りにも手を回し、続々と衣装の基本形態が出来上がってきました。縫う、貼り付ける、切るなどの作業が主体になるので、頻繁に「いってー(痛い)」「あちー!(熱い)」といった声が挙がっていました。中には針に糸を通すのに苦戦し「はぁ~若い人がうらやましい~」と、己の年齢を恨む声も聞こえました。

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「熱い」のはグルーガンのせいでした。

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バラバラのようですがちゃんと一体感を持って取り組んでいます。

衣装作りをしている傍らで、グッズの製造を進める団員もいました。何種類か生産する予定になっているグッズは、すでにそれぞれの製造に取り掛かっています。担当している団員は自分のやるべきことを少しずつ進めています。手芸的なスキル、デジタルを活用したスキルなど、担当者がそれぞれ持っている特技を反映させての作業です。今のところまだ完成形に至っていないので実態が見えにくいですが、着実に進捗しています。

午後の稽古では、先ほど紹介した少し険悪なムードがより強まりました。なぜなら、午前の制作部ではまだ全員が揃っていなかったのですが、午後の稽古になって残りの役者たちも集合したため、改めて休んだ団員からの挨拶が全体に向けて行われたからです。当然ながら、「気にするなよ」「またよろしくな」などと綺麗な言葉が並ぶはずもなく、お互いに励まし合って頑張っていく仲間として歩み寄っていたことへの裏切りには、辛辣な言葉が並べられました。自分自身の立場に置き換えて、同じ土俵に上がってくれないことへの哀しさを訴える団員もいました。しかし、こうやって率直な気持ちを訴えられるのは、真剣に取り組んでいればこそ、相手の苦しみがわかるからこそのことです。この過熱ぶりは他の集団ではなかなか味わうことができません。今回の出来事に対する団員同士のやりとりは、決して壊滅的な結末につながるものではなく、極めて建設的な裏付けがあります。こればかりは、この輪の中に身を投じた者にしかわからないかもしれません。衝突するのは、お互いに苦しみや悩みを抱えながらも頑張りたいという確固たる意志があればこそなのです。もちろん、こんなギクシャクしたムードは歓迎されるべきものではありませんし、こんなことが起こらずとも、各自が目的意識を共有して踏ん張れればそれに越したことはありません。しかし、人間は、特に心の弱さを抱えた団員たちは、時としてそうやすやすと苦境を乗り越えられない、凡人には思いもよらない逸脱行為に駆られるケースが存在します。それをお互いにどうやって受け入れ、乗り越えていくのか?てあとるみのりは常にリスクとリターンの狭間でギリギリの闘いを強いられています。そこには「一緒に舞台を創りたい」という強い動機付けが存在します。この思いを共有できれば、人は強くなり、変われるはずです。その成果を、残りの時間で示せるかどうか、注目していきたいところです。

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ウォーミングアップではいつもよりお互いの距離が近かった気がします。

さて、そんなちょっとしたイベントを経て行われた稽古では、先週先送りにされていたラストシーンへ向けての山場の稽古が行われました。キャラクターを全編通じて表現するというニュアンスがつかみきれていなかった役者も、この盛り上がるシーンを演じたことで、「ここにつながるような構築をすればいいのか」と大事なことに気付いたようです。一方で、先週までに演出から指示された表現の方向性を体現しきれていない役者や、イメージ自体が本人が描き出そうとしていたものと逆方向の表現になってしまっている役者などもいました。何をどう鍛えていかなければいけないのか、各自が自分で考えて改善できるようにならなければ、役者て魅力のない人間になってしまいます。稽古で指摘されなかったことにも自分で気付き、どう調整するか、改善するかの答えを次回以降で示せるようでなければ、役者は務まりません。残念ながら、ほとんどの役者が演じ終えた後に、自分自身の手応えを振り返って首を傾げていました。本番までの残り時間を考えると、そろそろこんなところで躓いている場合ではないはずです。みんなで少しでもいい舞台にしたいと思うのであれば、人のことをとやかく言う前に、己が納得できる演技を一刻も早くつかまなければいけません。今日はお互いにもっともらしいことを言い合ったものの、まだまだ「お客様を楽しませる」というミッションに対しては中身が伴っていないのが現実です。我々は成長を重ねていかなければいけません。

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大女優が泣きの演技に初挑戦?

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力が入る演技も増えてきました。

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こんな季節なのにまだ冬の上着の団員も…!衣装ではありません。

そんなこんなで、ラストシーンを少し残して本日の稽古は終了しました。次回は通し稽古を予定しています。それ以外にも、某企業の研修に団員数名で参加をしてくる予定もあります。いろいろと緊張感が伴う翌週へ向けて、しっかりと心身の準備をしていきます!