17日(木)午前の制作部では、まず衣装の案を検討しています。団員が持ち寄った現物の案を並べて、色合いや柄の雰囲気を確認しています。いくつかの役はすぐにイメージが重なったようですが、いくつかの役に関しては「どんな位置付けなんだ?」「どういうキャラクターを表現したらいいのだろうか?」「実際に役者がどんな方向で演技を作っていくかと併せて考えないといけないよね」など、制作部だけでは決められない要素があることに気付きました。衣装というのは単なる表面的なイメージの表現ではなく、その人物の内面、思考を表出させるための貴重なツールです。役作りや演技の助けにならなければいけない一方で、あえて秘めた表現を引き立たせるために人物の特徴をマスキングする方向性もあります(甘さを引き立たせるために塩を混ぜるような感じです)。このバランスを取るためには役者自身の演技の質やコンセプトをよく理解しなければいけません。「今度から稽古の時の○○さんの演技の仕方を観察しよう」「演出の方向性も見極めましょう」と、制作部では意識の共有を行うことが出来ました。

衣装案の検討に続いてグッズ案の試作品確認を行ています。1週間の間に改善した試作品を持ち込んだ団員に「これかわいいじゃないですか!」「前よりクオリティが上りましたね」「もう少し大きい方がいいかな」「このままだとボンドがはみ出しているから売れないです」などと、他の団員から率直な意見を伝えています。それぞれが試作品を頑張って作ってきてくれたことは重々承知していますが、だからと言って褒めて終わってしまってはお客様に販売するグッズの品質が確保できません。多少シビアな意見でも、実際に自分がお金を出して買うなら…という観点から今のうちに伝え合うようにしています。この積み重ねの末に、販売するグッズが正式に誕生するのです。
午後の稽古では、先日公開された予告編第三弾でもクローズアップされた「舞」つまり、踊りの部分の練習が始まりました。5年前の「宴もたけなわ」には踊りの演技が何カ所かありました。それは第16回公演の「宴もたけなわ」でも同様、いや、過去を超えるような仕上がりを目指しています。これまでのてあとるみのりで、振り付けが決まった踊りを行うということは皆無でした。団員は初挑戦ともいえるダンスの舞台投入に緊張しつつも「よし!やるぞ!」「もう一度お願いします!」「動画で撮ってください!」とやる気満々で取り組んでいました。この冬に何度か練習していたサイドステップを駆使して、自分たちにできる範囲を少しずつ引き伸ばしながら完成度を高めていくつもりです。お世辞にもゴージャスな踊りではありませんが、完成形がどのような仕上がりになるのか、今から楽しみです。


演技の稽古では今週から短めのシーン毎に演出が入って、繰り返しながら仕上げていくモードに入っています。いよいよ稽古らしい稽古になってきました。当たり前のことですが今日伝えられたこと、共有されたことは次回までには完全にモノにしてきてもらわなければいけません。役者たちは演出の言葉をすぐに脚本に書き止めて持ち帰っています。「前回と少し演じ方を変えてみたんですけれど、どうでしたか?」「聞き取りにくいところはありませんでしたか?」「まだ泳がせてもらっているうちに泳ぎまくります」「基本の部分からもう一度しっかり見直してきます」「滑舌のトレーニングも並行して行います!」などなど、稽古の後には貪欲に質問や確認をする役者たちの姿が目につきました。明らかにギアチェンジした印象です。今からどこまで品質を高められでしょうか?
