午前中の制作部では、グッズとチラシの担当者からサンプル提示が行われ、「もっとこうした方が…」、「これは何なのか?」などの協議が行われました。物語のテーマを品物のコンセプトにリンクさせた方がいいとか、自分で気に入らないような切り口から攻めてみると思いもよらない傑作が生まれるかもなど、それぞれが経験を踏まえた意見交換を行っていました。過去の公演に比べると、制作部の品質も格段に向上しています。関わる団員が少し増えたこともその一員なのでしょうが、量より質という言葉のある通り、回を重ねるたびに、もっといいモノを生み出したいという実感が浸透しているのかもしれません。

午後の稽古では、主に後半から終盤にかけてのシーンを、動きを交えながら読み合わせています。この時点で「もう少し位置の取り方を考えないといけないですね」「誰に向かって話しているのかをはっきりさせないと」「動き方を相手と決めておかないとダメですね」などなど、これから必要になる調整部分が発見されています。これまでは、まずは自分のセリフで精一杯という役者ばかりでしたが、こういった感覚を持ちながら自分の演技にも集中していけるようになってきたと感じます。



稽古の冒頭では脚本の一部修正箇所、正誤訂正箇所のアナウンスもありました。修正に関しては、よりお客様に伝わりやすい表現の追及によるもので、大きく結末や展開が変わるという物ではありません。それでも、役者たちはどこがどう改まっているのかを確認し、イメージを共有することに努めていました。
また、週末に他団体の演劇ワークショップに参加した団員から、その時に得られた感触や教訓の報告がありました。演技の基礎にも相当する、その場で起こった出来事への反応。これが脚本を読み解いていく中では忘れられてしまうことが多いことにも、改めて気付かされました。ひとつのイメージにこだわらない(とらわれない)、結末を決めてしまうのは即興ではない、相手の演技が変われば自分の演技も変わる、常に新鮮な気持ちで状況に向き合う…などなど、「今さら当たり前のことなんですけれどね」と語られた言葉の数々には、深い真実が隠されているようでした。