午前中の制作部から、衣装や小道具、さらには劇場入りした際に使用する資材のまとめに大忙しでした。と言いますのも、早いもので来週には劇場に入って準備やきっかけを合わせる稽古を行うからです。今回の「てんとせん」は2月の文化交流会で幕を開け、様々に形を変えながらこの4月を迎えました。通算の稽古期間は長かったはずなのですが、振り返ってみるとやはり短く感じてしまいます。あと1週間少々で完結してしまう物語のため、団員は熱心に準備をしていました。

ズラリと並んだ衣装。

まるで引越しのような騒ぎです。
午後の稽古はいよいよ最初で最後の通し稽古です。2月バージョンは1日3回通せる短編でしたが、今回は90分程度の物語。今日の稽古で1回だけのチャレンジです。役者たちの緊張と集中力は嫌でも高まります。それぞれの準備と並行して行われたウォーミングアップの時間にも、いつものリラックスムードとはちょっと違った緊張感がありました。
いよいよ通し稽古が始まると、序盤はギクシャクした展開の連続。果たしてどうなってしまうのかと、物語の中身とは関係ない次元での緊張と不安が高まる一方でした。2月公演でも演じたシーンになったあたりから流れができ、次第に物語の中に流れる緊張や不安が表出するようになりました。まだまだ表現の力としては弱い部分もありましたが、あと1週間でそれぞれが良い面を伸長し、至らぬ点を改善することで、大幅にイメージが変わってくることでしょう。

若手記者とベテラン記者。

2月公演の時より堂々とした雰囲気になった人たち。

浜田天翔の前に現れた謎の人物。

何やら深い意味がありそうなワンシーン。
通し稽古では音響も演技に合わせて入りました。これまでの稽古を踏まえて曲の長さを編集し、タイミングを設定しています。もちろんすべてがうまくフィットするわけではなく、完全に雰囲気を壊してしまうものや、微妙にテンポが合わないものも多々あります。この点は音響を修正して、新しいプランを構築します。逆に、音響としては演出意図の通りに雰囲気を出せている場合は、役者の演技を音響にシンクロさせていただくことになります。この点は劇場に入ってから最終調整となります。
通し稽古の後は、セリフが抜けたところ、思わぬ間違いでハプニングとなったところ、音響がはまっていたところ、衣装や小道具で問題があったところ、その他それぞれが感じたことの振り返りを行っています。「もっと気を使って動けばよかったですね」「あの小道具をどう処理するかが気になりました」「そこは自分がやろうと思えばできるかもしれないです」「裾の長さをもう少し計算しておけばよかった」「あそこの曲には思わず笑いそうになってしまいました」「あの場面でまさかあんな逆のことを言ってくるとは!」「セリフとしては間違っていましたけれど、アドリブと感じさせない対処が出来ましたね」などなど、やはり衣装、小道具、音響、役者と色々な素材が本番仕様に近い形で揃ってくると、団員たちの実感も高まるようで、いつもの稽古以上に具体的かつ的確な意見交換が行われていました。たった1回の通し稽古だからこそ、「だめでもともと」という感覚ではなく、一瞬でも無駄にはしないという意欲が感じられました。

そんなこんなで、いよいよ来週には北池袋新生館シアターに入っての仕込みとリハーサル、そして本番です。てあとるみのり第14回公演「てんとせん」は4月24日(金)~26日(日)上演です。チケットはおひとり様1,500円でご予約受付中です。
公演の詳細は
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