再来週には劇場にいるということを実感しながら、午前中の制作部ではグッズ作りに力を注ぎました。先週接着した部分が容易に外れてしまうことが判明した商品は、接着方法を改めました。恒例になってきたデフォルメされたキャラクターのしおりも、着々と完成に近付いています。印刷と貼りあわせまで終わったキャラクターが何種類か出てきました。ここまでくればあと一息です。デザインが確定していないキャラクターにもう少し直しを入れれば量産体制が整います。どうやら次週にはほとんどのグッズが揃いそうな流れです。
午後の稽古は、次週が通し稽古の予定であるため、この日が最後の部分稽古です。主に脚本の後半とラストシーンの稽古を行っています。まだ音響との兼ね合いで動きが変わるところもありますが、噛み合っているやり取り、ギクシャクしているやり取りが混在している状況でした。本番を再来週に控えた状態でこの仕上がりというのはかなり不安ではありますが、演出からは、セリフの表面にばかり目をやるのではなく、その人物が何のために、どんな思いでこの状況の中にいるのかという基本をよく思い出すことが、改めて伝えられました。ここさえ確実に踏み外さなければ、舞台上で起こったあらゆる事態に妥当な対応ができるはずです。逆にセリフだけ覚えたとしても、この基本が抜けていては、何もできなくなってしまう恐れがあるのです。
そんなことは今さら言われなくてもわかる…と思ったら大間違い。実際に「あれ?なんでだろう…?」と、キャラクターの動機付けを見失っている者もいたのです。しっかりと「お客様を楽しませる」という劇団員としての動機付けは記憶されていましたが、舞台の中で描かれるドラマに対するコンセプトが構築されていなかったのです。これでは本末転倒。お客様を楽しませることなどできません。全員がその意識付けを共有し、もう一度自分のキャラクターに向かい合いました。
今日の稽古中には「調子が悪かろうが何だろうが、ここ(舞台)に立ったら、しっかりとやれ」「この場所に立つということは甘いことではない」と、演出から檄が飛びました。てあとるみのりの団員は、生活の中で課題を抱えた人が中心です。ついつい、それぞれが抱える課題や不安に寄り添いすぎて「仕方ない」「大目に見てもらいたい」と甘えてしまうものです。しかし、そんな一人の甘えが、その人に返ってくるのではなく、劇団員全員に跳ね返ってくるのです。自分だけが恥をかけば、頭を下げればいいという認識では、とんだお門違い。劇団全体が恥をかき、頭を下げる責を負うのです。だから、誰もが必死になって、歯を食いしばって残された時間に少しでも良くしようと、自分なりの限界に挑んでいるのです。それを執念と呼ぶ人も、無茶と呼ぶ人もいることでしょう。しかし、世にあふれる数々の芸術作品は、そんな思いの上に成り立っているのです。私たちが目指すのが、お情けで拍手をもらう事業ではなく、芸術としてのステージである以上、この道を避けて通ることはできません。

ウォーミングアップはいつもみんな元気です。

完全に脚本を手放せるように、不安と戦います。

通し稽古に備えて衣装の確認を行う役者もいました。

そんなこんなで、次週は最初で最後の通し稽古です!