いつの間にか朝晩の涼しさが身に沁みるようになってきました。10月2週目のてあとるみのりです。

午前中の制作部では、あるイベントに向けた手作りグッズの試作を行っています。てあとるみのりの活動に直結するイベントではないのですが、制作部が持つ生産能力を応用して、あるイベント関連の依頼に応じるためです。今回のグッズのコンセプトは「誰でも作れる、みんなで作れる」です。制作部の男性たちでも、見事に作ることが出来ました。もちろん完成した製品はイベントで販売されます。詳細は来週にお届けしましょう。と言いますのも、本日の製造作業はあくまでも試作。ここで商品の選別や製法確認を行い、来週の午後にイベントの依頼主を含めて製造を行うからです。
午後の稽古前には、7日(火)に参加してきた池袋演劇祭の劇団・劇場関係者・審査員意見交換会の報告が行われました。初めての参加になった池袋演劇祭において、これまで見ることがなかった裏側と言いますか、劇団と同じく公募で名乗りを上げた審査員の方々の実態(の一部)を知ることができた、貴重なひと時でした。同時に池袋演劇祭が持つ間口の広い魅力についても、十分理解できました。だからこそ26回継続できた価値が生まれていることを認識できました。この大会のあり方は、一見すると落ち度や不公平感がある未成熟な内容に感じる(人もいる)かもしれませんが、実はその歴史の中で、劇団と審査員が創り上げ、完成の域に達しているとも言えます。なかなか外部からはそれがわかりにくいのが残念ですが、てあとるみのりの活動理念に相応しい大会でした。

申し送りに続いて基礎訓練。てあとるみのりで常に行っている「ポーズゲーム(ストップモーション)」を正しい方法で実践しました。これまでは役者が自主的に行っていたので、ルール、目的が曖昧でしたが、ここでしっかりと本物のポーズゲームの方法と目的を確認、実践しました。「そういう考えで良かったんですね」「とにかく止まるってことですね」「確かに、そこにつながりますよね」「見ているとそう見えるんですか!」などと、役者たちも目からうろこ発言連発。先週はほとんど見応えのなかった男性陣が、見違えるようにダイナミックかつスピーディなポーズを繰り出すようになりました。こういった正しい目的を持った訓練を積み重ねることで、演技の品質も向上させていきたいですね。

休憩を挟んで後半は即興芝居です。大まかな場面設定と登場人物の説明。それぞれの目的だけを確認し、後は自由に演じ、何とか話をまとめる(目的を達成させる)練習です。それぞれの役はランダムに決まるので「え~!これ、どうやろうかな?」「またこういう感じのやつに当たるとは…」と、演じる前から一喜一憂です。それでも演技が始まると、臆することなくなく自分の役を通した主張を展開する参加者たち。見ていて芝居が途切れることも、なし崩しになることもなく、退屈せずに楽しめました。こういった円滑な発想と演技としての表現レベルは着実に向上しているように感じました。



肝心なのは、そんなスムーズな演技、自然な反応や心の動きが脚本を通した途端に損なわれないようにすることです。即興の中ではしっかりと相手の発言や考えを感じ取り、自分も感情や意図を持って何かを発信しています。発言しようとして何かを考えていても、周囲の勢いに押されて言い出せない、機を待っていることもあります。こういった内面の動きをどれだけ芝居の中で再現して実感することができるか?これが見ていてリアルな演技に直結するわけです。決まったパターンを繰り返す中で忘れてしまいがちな、演じる側も見る側も楽しめる芝居の醍醐味がここにあるのです。この即興芝居の練習からは、そんな教訓を得ることが出来ました。

さて、次週は制作部のみ活動になります。午後の稽古時間も制作部が中心になり、先述したイベントのためのグッズ作りを行います。何ができるかは、また改めてお知らせしますのでお楽しみに。