この日も雨模様となった12日(木)の制作部と稽古のレポートです。第13回公演「Mission」まであと3カ月少々。蒸し暑さなのか熱気なのかよくわからない現場の雰囲気にデジカメが壊れたままで、写真の向って右下が曇ったような感じがが続いていますが、ご容赦ください。
午前中の制作部では本番までのスケジュールを調整し直し、再設定しました。一度決めた計画も順調に行っているものもあれば、延期や変更になっているものがあります。それらを確認しながら、次に辿っていくべきスケジュールを改めて認識する作業です。ここでうっかりすると、そのまま本番直前まで時が流れ、あれもこれも一気に片づけなければならないという緊急事態になりかねません。節目節目で作業の進捗状況を確認し、新しく発生した課題や任務を加味した補正をかけていくことは必要不可欠なのです。

もちろん、この内容は制作部だけではなく役者たちにも共有されます。稽古前の申し送りではポイントになるスケジュール、進捗状況が説明されました。写真には秘密がたくさん掲載されているのでモザイクをかけてありますが、このぐらいぎっしりたくさんの情報が毎週更新、発生しているわけです。
そんな申し送りを経て始まった稽古。本日もシーンごとに数回の稽古チャンスしかないタイトなスケジュールです。役者は時間の無駄がないように、空き時間を有効活用しています。今回は、表側で稽古をしている役者の姿ではなく、そんな影の努力の風景を紹介しましょう。

先ほどまで稽古をしていたシーンでうまくいかなかった点、演出から指摘を受けた点を、該当する役者間で振り返っています。そしてどう改善すべきか、何に注意するのか、だれがどう動き、誰が何をフォローするのかなどの細かい部分まで話し合われていました。後に与えられる稽古チャンスに間に合わせるため、遠慮なく真剣に議論しています。

この風景がどんな場所で展開しているかというと、稽古をしているスペースと壁一枚で隔てられた空間。まさに舞台のすぐ裏側です。異なるドラマが同時進行している風景は、なかなかお目にかかることができません。これまでのてあとるみのりでは、本番直前の、本当に切羽詰った状態で何度か見受けられる程度です。それが3ヵ月前の稽古から当たり前のように行われているのですから、今回の「Mission」に対する意気込み、何とかいい作品にしたいという役者個々の思いの強さが相当なものだと感じられます。
この日の稽古では2シーン各2回ずつしか演ずることができませんでした。いつもより稽古できたシーンが少なく、時間が無駄に使われていたようにも見えますが、演出からの要求がどんどん深く、高くなっていたことがその要因です。無駄に稽古時間を費やすということはなく、必要な時間をそこに投じているような稽古でした。
役者たちは、上手くやり切れないことばかりで、悩みの壁に突き当たっています。しかし、この程度で跳ね返されて、立ち止まってしまっては、完成した舞台までたどり着けません。この壁を乗り越えれば、それは小さな段差に過ぎなかったことに気付くはずです。その積み重ねが、光射す舞台に続いているのです。

物語の中に生きる。それは、それを取り囲む現実という物語の主人公に、自分がなれる日。