第10回公演「そこにあるもの」でした。

Posted by theatreminori on 25.2013 公演・チケット情報 0 comments
どうも。わずか1カ月の全4回の稽古でこれだけの舞台を仕上げることができたことは、役者の影の努力、舞台装置担当者の底力、衣装担当の必死の努力、制作の迅速な動きなど、様々な要因が重なっての成果であり、これこそが舞台であると実感できた主宰者です。

公演期間中は多くのお客様にご来場いただきました。年度末のお忙しい時季に、誠にありがとうございました。おかげさまで全6ステージ、大きなトラブルもなく終了することが出来ました(小さなトラブルは毎回ありました!)。重ね重ね皆様のご支援に御礼申し上げます。

さて、そんなわけで、「そこにあるもの」の公演の様子をドドーンとお届けします。

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基本の舞台装置はこんな感じ。狭くて汚い空間をイメージ。

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開演から最初の場面はこんな感じ。
場面転換によって、この幕がそのまま天井になるのです。

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ペリプラネタ家のヤマト王子は勉強の時間に居眠りばかり。

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世話係のサツマから補習を受けるヤマト。
この世界は階層というルールによって成り立っている。

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平和な世界に安心していたら、いきなり革命が勃発!

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革命の知らせを届けたヤエヤマ先生もパニック状態。

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革命軍の指揮を執っていたのはバローイング家の末裔、ヨロイ大尉。
従順なヒメマル軍曹とともに勝利に酔う。

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ここは階層の底辺、第13階層。
働けない者たちが施しを受けて生きている世界。

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配給の受け渡しを行うチャバとクロ。
その様子を見ているホタル。

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ホタルはかつては上の階層にいたらしいが、
殺虫剤の影響で奇行が目立つようになってしまった。

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ヤマトは13階層に逃げのび、そこの住民と出会う。
そこには同じように9階層から転落してきたワモンもいた。

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城にいたころとは食べ物も、暮らしぶりも変わってしまったヤマト。
しかし、勉強しなくていい世界に喜びを感じる。

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のんきなことばかり口にするヤマトに対して、
苦しくても這い上がりたいワモンが思いをぶつける。

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そんな修羅場にヨロイが現れる。
ヤマト王子を亡き者にしようとするが、
ワモンはここにはそんな奴はいないと主張。

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ワモンの主張に理解を示したヨロイに進言するヒメマル軍曹。
ヨロイはあえて「我が失態を望み、踏み台にしろ」と突き放す。

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種の進化のために全ての階層を解体することを唱えるヨロイ。
13階層でしか生きられない仲間を見捨てるなと対抗するチャバ。

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サツマは階層という社会の秩序があるからこそ、
我々は文化的な進化を遂げてきたのだとヨロイに反論。

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クロはこの世界は蜃気楼、だから自分はここでは生きていないことを悟り、
「命が保証された状態では、生きていることを感じられない」と語る。

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ヨロイの生きざまに魅かれたワモンはいつかたどり着きたいと直訴。
敗北から学び強くなり、いつしか自分を超えろと答えるヨロイ。
その真意はより優秀な遺伝子を後世に残し、種の進化を紡ぐためだった。

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それでも誰かのために何かできることをしたいと決意するヤマト。
それは偽善であり、自他共の生きる力を損なっていると釘をさすワモン。
主張は異なれど、誰もがここで命を燃やしていることに変わりはなかった。

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それぞれが自分なりに命を燃やすため、生きていることを実感するため、
「ガッテンだ!」の号令が最下層に響き渡るのだった。

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カーテンコール。
結局、登場してくる人物はすべてゴキブリ。
彼らから見れば人間は社会の仕組みの中で生かされているだけ。
ただ負けることを恐れて、ひっそりと、寄り添って…。

今回の物語は、昨今の生活保護不正受給、年金をはじめとした社会保障制度の行く末の不安、尖閣諸島・竹島などの領土問題、北朝鮮の動向…という要素を、当初から描きだしたかった「境界線」「社会階層」というテーマに当てはめて構築されています。そこに不安を感じたり、エゴを通そうとする人間(そこに影響を受ける立場の集団)の本質とは何なのかを、かねてから疑問に感じていた「人はなぜゴキブリを怖がるのか(特に日本人)」という部分に結び付けた視点で、ひとつの仮説を導き出しています。

様々な階層・立場が存在する社会の中で、私たちは自分の居場所を求めている。あるいは、そこを居場所だと信じて、ある意味、自分に都合のいい生き方をしているのではないでしょうか。それは、過ちを犯すこと、負けること、失うことを恐れた生き方…。いろいろな物を守らなければいけない現代人ではありますが、こんな生き方は社会の枠の中だからこそ許され、求められる生き方で、本当の生きる力・生存に必要な本能は「文明」というシステムの中で去勢されてしまっているように感じます。闘わずに守る、逃げる。誰かが手を差し伸べてくれる。そうやって生きながらえる。こんな生き方を続けていては、生物(遺伝子)としての進化は望めないのではないでしょうか。

社会という枠組みを、後付けであてがわれた一種のスケールと考え、それを撤廃した視点で生命体としての進化とは何なのかを見つめた作品。その答え(投げかけ)が「そこにあるもの」なのです。

ゴキブリの視点から描いてみたのは、より人間の所業を客観視できるように。そして、お客様の心により強いメッセージと説得力を残せるようにと考えてのことです。もちろん、なぜゴキブリを怖がるのかという疑問に対する答えを出したかったからでもあります。

こういった物語の裏側については、当日パンフレット、特別限定パンフレットにも語られていません。ネタバレしてしまうからです。公演を終え、やっと、この場を借りて皆様にお届けすることができました。


創る者はもちろん、見る者の人生さえ変える作品。

その領域に、また一歩近付けたような気がします。

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