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先の見えない蒼黒の闇は先へ進むための光の影の中に。

Posted by theatreminori on 29.2012 主宰者コラム 0 comments
どうも。夏物衣類を箱に詰めてクローゼットの中身を入れ替えたので、ヒートテックとサラファインを間違えて着用して寒さに戸惑う心配のなくなったSugiです。

先週の稽古では、3月公演用の脚本第3稿から抜粋されたシーンを、単なる読み合わせではなく、舞台のイメージを持ちながら、動きを交えて演じてみました。脚本としてもまだ第3稿。完成形とは異なった内容、登場人物です。このところプレセッションが続いており、いろいろと気楽に演じていた役者たちには、このような脚本の状況であっても、取り組む姿勢に緊張感を持つように要求しました。例えば、本日の脚本限定の配役です。何気なく「この役がいい」「面白そうだからやってみたい」という基準ではなく、今日の顔触れでは誰をどう配置することが、この脚本にとって最適なのかを考えて割り振りを行うようにしてもらいました。必然的に仮原稿ながら、その内容を把握する必要性が生じます。そして役の特性、役者の個性を照らし合わせ、より物語の魅力を引き出せるような配役を模索するようになります。まさに「創る」感覚です。前回公演が終わって1カ月が経ち、そろそろスイッチを入れる段階に来たわけです。観客的享受者から創造者へのスイッチを。

初めて目にする脚本(先々週は初稿の抜粋を演じましたが、内容がかなり変貌しているので初見同様です)を片手に、いきなり自由に動くというのはなかなか難しいようで、最初はほとんどの人物が登場したらそのまま最後までその場所に立ち尽くしていました。振り返りの中でその点を指摘すると、次のセッションからは見事に修正されていました。ほとんどの役者が、セリフを投げかける相手の方を見て、近付き、時に体に触れ、笑い飛ばし、掴みかかりと…様々な動きが発生しました。こちらから具体的にどこでどうしろという指示はなくても、これまでの経験からか、自然と体が動いていました。「これまでの経験」と例えましたが、半年前には見られなかった現象です。もちろんこれまでの積み重ねがあった上での話なのでしょうが、正確には「Missionでの経験」なのかもしれません。

さて、このような役者の成長を見ていると、我ながら前回公演の影響の大きさに驚くと共に、その次のステップとはいかなるものにすべきなのかに悩んでしまいます。2月の「THE STAGE」は原案と初稿まで。3月公演は第6稿に取り掛かったところです。一日も早く完成させたい脚本ですが、そう簡単に仕上がらない脚本でもあります。特に3月公演用脚本は第6稿に入ってもまだ物語の全体像が固定されていません。タイトルもまだ決まっていません。設定そのものが大きく変貌しています。先週の読み合わせで「この人物はあれじゃないか?」「最後はこうなんじゃないか?」と役者たちが物語の行く末に期待を膨らませていた姿を、思い切り裏切ることでしょう。試行錯誤の連続で、なかなかまとまらない、長く暗いトンネルの中です。それでも、どこかに明かりを灯すスイッチがあるはずです。創造者としての覚醒に達するスイッチが。それを押せれば、出口への道が照らし出されるはずです。

その出口が新たなる入口になるのですけれど。

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