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想像を超えた創造を示すことは特異な威徳をも超える明確な革命。

Posted by theatreminori on 11.2012 主宰者コラム 0 comments
どうも。仕事中に椅子に足の小指を強打してかなり腫れてしまったので約20年振りに病院へ行って、骨に異常がなかったことと併せて小指の関節がひとつ少ないことが判明したSugiです。

これまでお届けしていた「Mission」のフォトギャラリーはいかがでしたでしょうか?そして皆様が気になる今後のスケジュールと、現在の活動状況ですが…第9回公演は「THE STAGE」というタイトルで2013年2月18日(月)池袋のあうるすぽっと、という予定のリリースにとどまっていますね。もちろん、水面下では進めていますよ、いろいろと。

先週と今週のてあとるみのりは、新作脚本を形にするための即興芝居を行っています。前作「Mission」の際にも何回かのセッションを重ねて、物語の原型を強化したり変形させたりするための素材を収集しました。それと同じ作業です。脚本を書く側にとっても、より自然な流れの中で生まれるドラマ、人の思いの交錯を拾い上げることで、完成形のイメージをより強力なものに高めることができ、役者たちにとっても新たな作品の世界観への準備段階を体験することができるので、その後の役作りの方向性がまとまりやすくなるという利点があります。もちろん、その域に達するにはそれ相応の演じる側の理解力と発想力と表現力が必要です。

具体的には、参加する役者には舞台の場面設定、数行の各人物設定だけが伝えられます。誰が何を考え、何のために集まっているか、その真意まではお互いに理解できていない状態から物語が始まります。20分から30分でそれなりの結論に至らせるというルールだけで、展開によっては最初の話と180度逆向きに話が進むこと、明らかにバッドエンドになる展開に至ることも容認されます。とにかく、そこで起こった出来事、発生した誰かのアクション、リアクション、それらを素直に受け止め、自分の役の思惑を通じて反応を返していくことがポイントになります。演じている側はもちろん、見ている側も予測不能な展開が多々発生しますが、それは決して突飛極まりない物ではなく、その場の出来事の中では極めて自然なものになるのです。だから非常に面白くなります。

ちなみに、我々の間で「プレセッション」と呼ばれるこの稽古は「Mission」から取り入れた手法です。それ以前には思い付かなかった手法というわけではなく、それ以前にはやっても意味(効果)のない手法だったのでやらなかった手法です。先ほど申し上げた設定に対する理解力、展開の中での発想力、それらを形にする表現力が参加者に備わっていなければ、このセッションは効果的に成立しません。たまに、「即興芝居って最後はごちゃごちゃになってギャグのような落ちになっちゃうよね」という所感を耳にしますが、これは即興芝居という手法に問題があるのではなく、単に演じている人たちに演者としての技量が不足しているからに過ぎません。

実はこの即興のセッションを稽古で行っていて、一番心に残るのは芝居の内容よりも「我々はゆっくりと、しかし確実に成長している、変化を受け入れ、それを楽しんでいるのだなあ」という感慨なのかもしれません。まあ、それは、私の立場からの思いなので、演じている方々はまた別の実感を得ていることでしょう。

そんなわけで、今週のセッションには私も久し振りに参加しました。懐かしさとともに、羨ましさを覚えました。何もない空間に演技ひとつで特異な世界を築ける。それが役者に与えられた権利であり義務でもあるのです。2月の「THE STAGE」では、その辺の魅力を存分に引き出すことが出来たらいいなぁと、頭の片隅でイメージしてしまいました。なぜ中心でイメージしなかったのかと言えば…まあ、それはまだ秘密にしておきましょう。今週まで続いた即興芝居は「THE STAGE」に備えたものではないということだけは、みなさんも容易に想像できるでしょう。その想像を超えた創造の世界へと誘う。それがてあとるみのりです。よろしくどうぞ。

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