9月24日(木)は早いもので9月の最終活動日でした。接近してくる台風の影響で朝から大雨の予報でしたが、思ったよりその影響が少なく、集まった団員たちは一安心して作業や稽古に臨んでいました。

10時から始まった制作部ではグッズ作りが本格的に進行しています。概ねラインナップも確定し、生産する数量も具体的になりました。既に仕上がっているグッズもあれば、まだまだ試作段階を抜けられていないグッズもあります。何をどこまでやり込むのか確認しながら各自で分担作業となりました。これまでより手の込んだグッズに挑戦している団員は何度もへこたれそうになりながらも、制作に励まされながら作業を続けていました。
12時からの昼休みを挟んで13時からの稽古では、まずは現在進行しているイベント関連の進捗状況と第24回公演のより具体的になった概要の説明から始まり、後半はその第24回公演に向けたオーディション形式の脚本読みが行われました。

第24回公演は20分ほどの短編作品を複数作り、それぞれ3~4名ずつが出演するユニット方式の公演スタイルになります。従ってやりたい役や作品を誰もができる状況ではありません(無理に役を増やすことができないので)。今回の稽古は3つの作品の一部分が用意され、読んでみたい役にエントリーして読み合わせるという流れで進行しました。役者たちはやってみたい作品や演じてみたい役に積極的に名乗りを上げ、こんな風にやってみようというアイディアをぶつけ合っていました。

最終的には役者の個性と作品の持つ雰囲気のベストマッチで配役や出演者が決定していくことになります。これまでの稽古での印象はもちろんのこと、題材がよりダイレクトになったこの日の稽古は、役者たちも緊張と高い動機付けが与えられていました。一方で色々な役に挑戦することができたので「意外にはまっていた」「新しい体験ができた」「最後はこの組み合わせか」などなど、役者同士の組み合わせを純粋に楽しむことができる時間にもなりました。これまでは偶然性で配役をする稽古を続けていたので、自分の意思やプランをぶつけられる演技は久し振りでした。このちょっとした我慢の時間がいい方向に作用していたようです。
さて、いよいよ劇団員の中でも作品の概要が見えてきました。第24回公演は11月26日(木)~28日(土)に北池袋 新生館シアターで有観客上演と、この期間が終了後の録画配信という2WAYでお楽しみいただけます。詳細は随時ご案内いたしますのでどうぞよろしくお願いいたします。
9月17日(木)は活動開始時間がこれまでより30分早まって、通常同様の10時からの活動でした。もちろんこれまでと同じような感染症対策をした上での活動なので、すっかり元に戻ったというわけではありません。夜間の稽古もまだ再開できる状況ではありませんので、16時で活動終了というスケジュールには変わりなしです。
さて、午前中の制作部は完全に分業といいますか、それぞれが担当することを黙々とこなす時間でした。かなり早い段階から物作りに取り掛かっていたので、公演には十分間に合うだろう…と思っていたら、意外にも残り時間が少なくなってきていることに改めて気付き、この日は逆に「そろそろこれも仕上げないとまずい」「このペースだと間に合わない」といった実感がありました。より集中力を高めて各自が作業を進めています。

13時から16時までの稽古では、このところ続けているランダムに組んだ4人組での短編脚本演技を行っています。ただし、今回は今までと違ってエチュード色の強い作品になっています。セリフはほんの4個。あとは大雑把に展開が書かれているト書きがあるだけ。次の状況に至るまでに何があったのかの詳細を想像し、いわゆるアドリブでその間を現実のものに埋めていかなければいけないというわけです。

まずはチームごとに別れてどのような展開にするか、何がどこに配置されていると想像するのかなどの打ち合わせと稽古を行いました。ある程度の時間自主練習した後に発表です。今回のシナリオにはもう一工夫が施されていて、2組が担当した物語が実は続き物であるという仕掛けです。1回目の発表で初めてその事実に気付き、1組目と2組目、それぞれがイメージした世界観のどのあたりで折衷するかを話し合いました。

実はこの要素は通常の物語の脚本を演じる時にも意識すべきことなのです。作品全体の世界観をどのように表現するのか?前のシーンがどのような雰囲気で終わっていて次のシーンがあるのか?そのような条件下でより効果的に物語の展開を表現する方法は何なのか?これらは一見すると演出が行う工程と思われがちですが、役者が稽古に臨んだ時点である程度の意図をもって演技構築してもらえれば、稽古の効率が格段に上昇します。効率の向上があれば演出がより深くまで入り込めるので演技の質も向上します。稽古のスタート地点がよりゴールに近い位置になるというアドバンテージが得られるわけです。そのためにも考えなければいけない要素なのです。
役者たちは短時間ながらも物語の裏側を想像し、力を合わせて表現を構築していました。これまでにないような連動や臨場感が存在するセッションになりました。これらの取り組みが次回以降の舞台に生かされることを願うばかりです。
9月10日(木)は10時30分から16時まで、制作部と稽古の活動が行われています。この日は来年参加を検討しているイベントの詳細について審議をする時間もあり、盛りだくさんの内容でした。
来年2月のあるイベントについて話し合う中では、映像作品への取り組みと舞台での演劇との重なる部分と異なる部分についての意識共有が行われました。このようなご時世では多くのお客様に生で舞台を見ていただくことは困難です。そこで有効になってくる表現方法に「映像作品」が浮上してくるのは自然な流れかもしれません。しかし、元来我々の目指しているものは何なのか?映像作品と言ってもどのようなスタイルの物をイメージしているのか?をはっきりさせておかないと、その選択が大きく演劇から逸脱したものになってしまうリスクがあるのです。新しい様式の中での演劇として、もっとできることの可能性は存在するはずです。単に映像でドラマを作ることが本当にやりたい「演劇」なのか?私たちの価値観が試される話し合いになりました。その結論はいずれ、形になって示されるはずです。お楽しみに。

制作部ではこのところ毎週のようにお伝えしているグッズ作りが継続して実施されています。特に新しくお伝えするような新グッズが誕生したり、取り組んでいた試作が没になるといったこともなく、ただひたすらに、黙々と、それぞれが手を動かして作業していました。もちろん作品の品質は回を重ねるごとに向上しています。それだけ製造にも慣れてきた、つまり技術が身についてきたということです。

稽古では、こちらも何週か続けて行っている2チームに別れて短編脚本の自主練習→発表というセッションを実施しました。今回も配役やチーム分けはランダムです。そして、中間発表を行わず、全て自分たちのチーム内で練習しながら改善案を出し合っていき、最後の発表、つまり本番でその成果・完成形を披露するというルールでした。

普段は自分のセリフや演じ方を考えるあまり、全体としてどうすべきか、相手の動きやセリフをどう感じるかがおろそかになりがちです。しかし、この取り組みによってお互いがお互いに「もっとこうしてほしい」「ここはどうやったらいいか」と言った関わりを持つことができました。どのような方向性で演じればいいかわかりにくいところは素直に質問し、どこに立ってどう動けば相手が演じやすいかの意識共有もなされていました。

そんな自主稽古時間を経てお互いの作品の発表です。その発表を見ての感想や意見を相手チームに返していくというスタイルです。「お互いに助け合っているのが見えてよかった」「キャラクターが色濃く出ていてよくまとめられていた」「二人のコンビが良かった」など、前向きな感想が双方にフィードバックされました。考えながら演じていくこと、その成果が相手に伝わったときの喜び。それもまた演技を構築していくことの原点です。普段自分の演技に集中し過ぎて忘れてしまいそうになる演劇の面白さを再発見できる稽古でした。
猛暑もちょっとだけ和らぎ、暦同様に秋めいてきた東京都。9月3日(木)は夏の暑さが戻ってきたような晴天でした。何年も前の10月に設定が夏の公演をやったら、その期間だけまさかの夏日が戻ってくるという超常現象が起こったことを思い出してしまいます。
さて、さすがに次回予定されている11月下旬は夏日になることはないでしょうが、今のこの暑さをそのままアイテムに込めるように、制作部ではグッズ作りが最盛期を迎えています。春先から少しずつ進めてきた作業だけあって、劇団員の作業能力も向上しており、これまでよりも速く、きれいな仕上がりができるようになってきました。もちろん作業工程の効率化も図られています。

もちろん、こんなご時世ですので、グッズの販売どころか公演のスタイルそのものに変容が求められているわけです。そんな変化にも対応できるようなアイテムであったり、販売方法もしっかりと考えながらここまでやってきました。「欲しい」という方にリスクのかからない販売ができるよう(数量には限りがありますが)、制作部一同神経を使いながら取り組んでいます。
午後の稽古では先週の稽古で実施したランダムに配役やユニットを決める方式で短い脚本の立ち稽古を実施しました。男性が女性、女性が男性という配役が生じるのはもちろん、年齢的にもまさかこの人がこの役を?というサプライズ配役が発生しました。この時点で大きな笑いと、どうなるんだろうという不安と期待が入り混じる高揚感が生まれていました。

今回は4名のユニットが二つ組まれました。挑んだ脚本は10年以上前に上演したことがある長編作品の一部を4ページほど切り出した教材だったので、ドラマの結末や発端が明記されていません。当時から在籍していた劇団員も数名しかいません(記憶もあいまいです)。だからこそ、「実はこの人物は実はこう考えているのではないか」「この先はこんな展開になるんじゃないか」と想像することが自由にできます。そのイメージをどうやって演技に還元するか、つまり表現するかという点を意識しながらの稽古でした。ユニットごとで自主稽古を行い、発表。他のユニットがそれに対して気付いたこと、アドバイスなどを伝え、再び自主稽古…という流れを繰り返しながら仕上げていきました。

今回のセッションを経て共有された気付きは、物語の一部分だけを切り取られ、そこでわかりやすい演技を求められると、キャラクターの特徴や相手をどう思っているかをしっかりとひとつひとつの言動に込めることができるという点です。これと同じ作業を長編の脚本でも行う必要があります。どうやって人物の内面や表現すべき側面を読み取っていくかは、長さが変わっても同じことです。待ち受ける結末があるのであれば、それを生かすために、まずはどうすべきかを考えればいいだけです。脚本が長くなるとついついどこからどう読み取るのかわからなくなってしまいますが、今回のセッションと同じ読み取り方をしていけばいいのです。演出からの指摘がないとその領域に至ることが少ない劇団員たちにとってはいい稽古になりました。