8月最後の活動日、27日(木)です。制作部ではいつもの距離を保ちつつ、さらにパーテーションで仕切りを作って作業を行いました。実はこのパーテーション、第23回公演「UNKNOWN」の舞台装置で使用されていたオブジェの一部分なのです。大きさ、重量ともにちょうど良く、簡単に移動もできるのでかなり使い勝手がいいです。より万全になった感染症防止対策の中、この日も縫い物、編み物、作画などの作業が順調に進行していました。

午後の稽古では、まず来年に控えているあるイベントの内容について共有が行われました。当然ながら、前回までと同じような形式での開催ということはなく、様々なことを考えた上でのイベントになりそうです。劇団員は「それでも参加したい」「出るべきだ」という意見を全員が挙げていました。内容についてはこれから調整していくことになりそうですが、ひとまず何かのイベントには参加申し込みすることになりそうです。
その後は人数ごとでユニットを作って短い脚本を演じる練習を行いました。今回は6人という稽古フロアの人数制限ギリギリのユニットと2名のユニットの2種類を組みました。誰がどのユニットになるのか、そしてそこで何の役を演じるのかもすべて偶然に任せて決めました。その結果…「えええ?」「これは、まさか!」「うっそー!どうなるの?」という悲鳴ばかりが聞こえる配役発表になりました。偶然とはいえ、どの配役も意外性しかない配役となり、本当にこれで成立するのか不安になるほどでした。

それでもルール通りに各ユニットで練習を行い、最後に発表し合うという流れで進みました。途中で各ユニットの状況に応じて演出から何点かのアドバイスが与えられています。物語の状況や人物の特徴をよく考え、それを最大限にわかりやすく伝えることを意識しながら進めています。

そして発表タイム。それぞれの演技を見ての感想を相手チームに伝えるスタイルです。どちらのチームも限られた条件の中で立ち位置を移動させたり、相手に合わせて向きを変えたりと、より演劇らしい動きを披露していました。また、最初は意外性しかなかった配役も、実際の演技を目にすると思った以上にまともな配役に感じました。それだけ各自が自分が担当したのキャラクターの魅力を表現できていたということでしょう。6人ユニットの方は自由に動き過ぎて手詰まりになる役者もいましたが、それだけ全員が自由に、かつ3密回避のルールを守りつつ演じていたということかもしれません。

偶然性に導かれる配役方法も「面白い」「またやりたい」「普段は絶対選ぶことがないような役ができて勉強になる」「あまり組むことがない人と組めた」などなど、大変好評でした。次回もこの形式でワクワクドキドキの稽古になりそうです。公演へ向けた具体的な稽古ではないものの、着実に演技の手応えや感覚を取り戻す時間となっています。
先週はいわゆる夏休み期間にもかかわらず、世間に我々の元気な姿をお届けしようと生配信企画を実施しました。ちなみに、当日姿を見せなかった我らが大女優は元気に自宅で過ごしていたそうです。今週の活動には元気にフル参加しています。
さて、そんな8月20日(木)。午前中の制作部は縫い物と編み物に専念する劇団員の姿しかありませんでした。この日手掛けていたのは商品化できるかどうかの試作を行っているアテムばかりです。途中まで作って「やっぱりこうしたい」「この色にした方がいいんじゃないかな~」「難しいなぁ」と作り手から意見が出ることもありますが、ひとまずは失敗作でも何でもいいので一度完成させてから議論しましょうということで、引き続き作業を継続してもらっています。最初は上手くできないのは当たり前。しかしやり切る前から諦めてしまっては進化しません。失敗することも次の品質改善につながる重要な情報と経験です。

午後は先週の生配信での自分たちの演技の反省点を確認しつつ、そこを改善するための演技のレッスンを行いました。題材は極めて短い2名での会話の読み合わせです。一見すると簡単な課題のように感じますが、その人物はどんな人か?お互いのことをどう思っているのか?この場所や物に対する思いは?などと、演技を裏付ける構成要素を突き詰めて考えていくと実に奥深いものになります。ここ最近は状況や関係性が設定された状態で自由にセリフを発するエチュードを行っていましたが、今回はその真逆。セリフから状況や設定を想像してそれに基づいたやり取りを行うという、まさに通常の演劇に近い内容に取り組みました。

いざ実際に取り組んでみると、人物のイメージは形式的に表現できる反面それが想定した場面の設定に相応しくない役者、もっと極端にキャラクターのこだわりを押し出した方が相手の人物を引き立てられるのにそのあと一歩が表現しきれない役者など、それぞれの課題が浮き彫りになりました。課題というとネガティブに聞こえてしまいますが、その人の演技の組み立てや脚本から真っ先に読み取る情報が個性的であるということです。それが与えられた役の中でいい方向に作用することもあります(そのように脚本を作ることがほとんどです)。ただ、そこに頼っただけではできる役が限られてきてしまいます。時にはこれまでと異なった一面を見せてこそ演劇の面白さが広がるはずです。個性を使いこなすことにも拍車がかかるはずです。まずは少しでもそこを目指して取り組んでいます。

さて、そんなわけで、様々な反省点や課題を抱えつつ、とにかく今できること、やるべきことに取り組んでいる私たちです。すべては11月の公演をお届けできるようにという目標を持ってのことです。決して辛辣な雰囲気になることなく、前を向いて真剣に取り組んでいます。
萬ムービーフェスも無事に終了しました!初めて挑んだ映像作品「Moving On」へのたくさんの方々のご支援・ご声援に感謝の言葉をお返しいたします。このような活動の機会を創出して下さった萬劇場さんにも感謝です。地元大塚の最寄り劇場さんとして、これからも何らかの形でつながり続け、お世話になっている恩をお返ししていきたいです。
さて、8月13日(木)は夏の特別企画、「夏の稽古緊急生配信SP」をお届けしました。先週の稽古で配布された課題・結成されたコンビで自主練習を積んできた成果を披露しました。配信が始まると激しい雷雨に見舞われ、果たしてどうなるのかと思われた配信も無事に最後まで行うことができました。ご視聴ありがとうございました!
配信の様子はそのまま録画でご覧いただけます!
参加者は皆「楽しかった」「またやりたい」「たくさん見てもらえてうれしい」と充実した時間だったことを口にしていました。もちろんすべてのサポートに感謝をしながらです。今後はもっと質の高い内容をお届けできるように頑張っていきます!



今回はPCの内蔵カメラとマイクを使った簡素な配信でした。今後はもう少し機材のことも考えていくべきかもしれませんね…。何はともあれ、次の我々のアクションにご期待ください。
萬劇場が主催する演劇人のためのムービーフェス「萬ムービーフェス」に、てあとるみのりも「Moving On」という動画作品でエントリーしています。全11団体の動画作品が勢ぞろいするこの舞台×動画のハイブリッドイベントは2020年7月15日~8月12日まで視聴者や審査員による投票、審査が行われ、複数の賞の受賞団体が選定される仕組みです(視聴と投票は無料です)。さらに、任意でのご寄付も可能なクラウドファンディングも実施しています。萬劇場へ、特定の団体へのご寄付も可能です。こちらも併せご利用ください。
萬ムービーフェス公式サイト(投票、ご寄付は終了しました!)
【参考】
クラウドファンディングの方法
てあとるみのりMOVIE STAGE「Moving On」<投票受付期間>2020年7月15日(水)~8月12日(水)
萬ムービーフェス公式サイトにて→
こちら<あらすじ>てあとるみのりが萬劇場で公演を行ったら…?きっといつも通りのドタバタな舞台裏ドラマがそこにあるはず!
―いよいよ迎えた公演当日。しかし、次々に発生するハプニング。果たして公演は無事に成功するのか?劇場に足を運んでくださったお客様の心に、何を届けられるのか…?
ほぼノンフィクションのフィクション作品で動き始めた演劇界にエールを送ります!さあ、動き出そう!
<見どころ>団体紹介にもなるような等身大の人物設定!てあとるみのりで日常茶飯事になっている出来事をモチーフにしたほぼノンフィクションなフィクションドラマです。劇団員たちの素顔をお楽しみいただけます。
3密回避を逆手に取った手作り&リモート効果!観客の拍手、盛り上がりまでが劇団員の自作自演。身体接触ゼロ。道具共用ゼロ。現場入りスケジュールを徹底管理し映像内で共存させる映像ならではの工夫が随所に凝らされています。
演劇界だけではない、全ての人へエールを!障がいがあるゆえの壁、不要不急というトリアージで生まれた壁。障がいと演劇界の境遇を重ね合わせた劇中劇のセリフや物語全体の展開に、あらゆる人の背中を押したいという思いが込められています。
<脚本・監督> 椙田佳生
<出演>※モブ、効果音含む
川口和恵
村上栞
岩崎和巳
田中聡
満園仁美
石塚美穂
久慈知香
中泉けい子
高橋祐紀乃(劇団GIFT)
中山信之(劇団GIFT)
椙田佳生
ジョッピー
<長さ> 約19分
<主題歌> 「吸って吐いて」 xxxHaToxxx/Audiostock
<予告編動画><本編動画>投票とご寄付はこちら↓萬ムービーフェス公式サイト【参考】
クラウドファンディングの方法※投票・クラウドファンディングの受付は終了しています!
萬ムービーフェスも8月12日(水)で終了を迎え、数年ぶりに舞台に立たず過ごす夏が、より平凡なものになってしまったような気がしている私たちです。本来であれば、今頃「夏の短編集」の疲れと余韻に浸っている真っただ中。しかし、皆様もご存知のように新型コロナウイルスの影響でイベントそのものが中止となり、予定されていた出演も幻となってしまいました。
「夏の短編集」は萬劇場さんが主催する演劇フェスで、通常の公演とは異なり主体的な収益を計算できるイベントではありません。しかし、チケットの販売枚数に比例した黒字還元は存在していました。私たちは販売目標枚数を120枚に設定し、それだけの販売が可能な出演者の内定まで話が進んでいました。ちなみに、この120という数字が多いのか少ないのかと申しますと、夏の短編集は3団体が1ステージの対バン形式上演を行うスタイルで、1回のキャパシティが約120名。つまり3団体で分割すると1団体40名。これを3ステージ行うので40×3で120という、実に平均的な数値です。しかし、裏返せば、イベントにエントリーした以上、果たすべき最低限のノルマであると認識して準備していました。もし120枚のチケットを販売していたら、どれだけの収入に還元されていたのかという話は…関係者だけの秘密ということにしておきますが、見込まれていた収入がゼロになったことは事実です。
さて、この見込んでいた収入は、もちろん「夏の短編集」の作品制作経費に充てるものであると同時に、11月に控える第24回公演の実施経費の一部になる予定でもありました。前者は舞台そのものがなくなり、代替で制作した映像作品では過去の衣装や小道具、所持していたビデオカメラや編集ソフトなどだけを使用したため、ほとんど経費の支出がありませんでしたので大きな影響はありませんでした。問題は後者、第24回公演の方です。
根本的な話として、11月下旬に第24回公演を実施するのかどうかという問題があります。結論を申し上げますと「実施する」予定で準備を進めています。もちろん、新型コロナウイルスによって社会情勢がどのように変化するのかは未知数です。もちろん、何がなんでも強硬的に公演を行うというつもりではありません。状況を注視して中止の決断に至る可能性もあります。しかし、中止にするのは三日前でも可能である一方、実施するための準備は今からやらなければ間に合わないのが実情です。そこで、劇団員とも何時間もかけて話し合いを行い、現時点で考えられる策を講じ、自分たちがやるべきことを行うための準備をしておくことにしました。
具体的には、お客様、そして出演者に等しく感染リスクの軽減を提供するというコンセプトのもと、公演の形態を劇場での有観客公演だけではなく、インターネットでの生配信、さらに少々の編集を加えた録画配信という3WAYにすることを予定しております。もちろんお客様のお好きな観劇方法でご覧いただける想定です。
お客様のご来場は少人数に限定し、座席は全席指定席。チケットは事前ご予約のみの取り扱い(当日券なし)。受付でのお金のやり取り、ご予約照会を極力削減します。
上演する演目も10分~15分の短編(出演者も各2~3名程度)を3本ほど上演。役者の楽屋使用も完全入れ替え制でローテーションを組みます。演目や出演者に関しては全く決まっていません。このような社会情勢の中では公演に関わるという判断を下すことも大変なことです。上演内容と並行して、こちらとしても慎重に話を進める必要があります。
恒例のグッズ販売は、従来のように劇団員の手売り販売は行わず、見本写真からご用命いただき、ビニールに個装された(消毒済みの)商品を販売する方法と、通信販売でのご提供を予定しています。
舞台と客席の間のビニールシート設置、役者のマスク、客席のパーテーションなどの細かい形式は現時点では何も決めていません。そのような細かい対応はもう少し後から決めれば間に合うからです。
…と、このような概要での興行となりそうです。当然ながら、チケット収入・グッズ販売収入は大幅な減収となることが見込まれます。当初組まれていた第24回公演の収支予算案では、これらの収入が55万円の見積もりでした。しかし、単純に1回のステージあたりの集客人数を減少させることを反映させると、この数字は8~10万円程度に落ち込む可能性も出ています。夏の短編集で得られるはずだった経費補填もありません。ここにインターネット配信(有料)が上乗せされるかもしれませんが、こちらは初の試みでもあり未知数です。小規模に行うのだから今回は仕方ないと精神的には折り合いが付くかもしれません。しかしどのような内容であれ、劇場を借りる上では使用料がかかります。問題はこの使用料を賄い切れるかどうかです。こればかりは我慢すれば済む問題ではありません。何とかしなければいけません。何とかならないようならば、新型コロナウイルスの間接的な影響で公演を断念しなければいけなくなります。
こうして振り返り、次の舞台を展望すると、公演の実現は極めて厳しい状況であることを実感します。しかし、様々な社会的立場の人間がひとつになる舞台を存続させるため、そんな劇団の理念を途絶えさせないため、そして舞台上での自己実現を願う劇団員のために、何とかして第24回公演を実現させようと、劇団員一同で画策しております。詳細の発表は、そんな我々の準備が整った頃合いに行います。それまで今しばらくお待ちください。今はただ、「11月に何かが見られる!」とだけ申しておきます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。