活動拠点の地元大塚に四半世紀以上も前から運営されている「萬劇場」主催の夏祭りイベントに、本年も(3年連続で)参加する予定であると皆様にも概要をご案内しておりましたが、先日の代表者・主催者会議の場において議論した結果、本年のイベントの開催が中止となりました。
2020年8月6日(木)~10日(月・祝)までの5日間、全9団体がそれぞれ3ステージ登場する予定だったこのイベント。出演者はもちろん、お客様の安全、そして社会への影響を熟慮した結果の判断です。楽しみにしてくださっていた皆様、誠に申し訳ありません。
今回のイベントは中止となりましたが、主催の萬劇場さんを含め、参加団体の間ではこんな世の中でも「何かできないか?」という可能性の模索は継続しております。何らかの形で新たな情報をお届けできる日が来るかもしれません。引き続きどうぞよろしくお願いいたします!
(てあとるみのり総監督 椙田佳生)
週末から5月6日(水)の活動休止を発表した我々ですが、本日4月9日(木)は午前中の制作部はお休みして午後だけ活動を行っています。活動と言っても脚本を使ってセリフや演技をお互いに交し合ういつもの稽古とは異なり、座学を中心とした講習会のような内容でした。
まずは、しばらく自宅待機要請期間に入ることから、そもそも「新型コロナウイルス」とは何なのか?緊急事態宣言の目的は何なのか?自宅待機中に気を付けることは?といった我々の置かれている現状となすべきことを理解できるような講義を総監督が行いました。演劇とは全く関係ない内容ですが、団員たちは熱心にメモを取ったり、深く頷きながら傾聴していました。ただ「休まされている」と思うか、何のために活動を制限しているかを理解しているのかで、この取り組みの効果は格段に違ってきます。様々な雑音に流されることなく、しっかりと現実を見つめて冷静に暮らしていこうと、お互いに誓い合いました。

新型コロナウイルス講義に続いては演劇に関するプチワークショップが提供されました。老人役のつもりで歩いてみましょうという導入から始まり、その後に何を意識して演じていたかを振り返りました。ここで浮かび上がってきた演技の重要な要素「形」と「内面」についてさらに詳しく分析していきました。それらを結び付ける重要なキーワードとして「想像」と「創造(表現)」の2点が紹介されました。どれだけ表現する力があっても元の発想となる想像力や想像できる引き出しを持ち合わせなければ、演技は形にならないのです。脚本内に明示されているひとつひとつの現象に対して「なぜそうなるのか?」という疑問を持ち、追究していくことが大切なのです。そんな考えの基盤を広げるためには様々な人の生き様やライフイベントを学び、それを自分の想像の中で応用力を以って置き換えていくことが求められ、その器ができていないうちから映画や演劇を観て演技を模倣しても効果が低いという説明には「やっちゃうな、それ」「どうしても形ばかりこだわってしまう…」という反省の言葉が挙がっていました。

最後に、自宅待機期間中に何かやることが欲しいという団員(今日参加していた団員全員)に、宿題という形で25分程度の短編脚本が手渡されました。活動再開予定の5月7日(木)に通し稽古をやろうという(役を確立させ、セリフも覚えてくる)課題です。配役も決めましたので、後は各自が時間を有意義に使って、本日の講義で学んだ内面の構築まで行った状態で自分の演技を作り上げてこられるかどうかです!
てあとるみのりは1か月ほど全員での活動を休止いたしますが、SNSでは何らかの情報や過去公演の画像などを発信してまいります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。そして、皆様でこの緊急事態宣言の意義を共有し、5月から少しでも通常に近い活動が再開されますことを祈りながら、しばしのお別れと参ります。とにもかくにも、お元気で!
新年度が始まりました。しかし世界が新型コロナウィルス感染拡大防止対策に努める昨今、私たちの活動だけ特別というわけにはいきません。てあとるみのりとしてはもちろん、活動の母体ともいえる(福)豊芯会ハートランドみのりを含めて、長時間の活動を避けると共に、感染リスクを高めるような活動パターンを改めています。今後さらに活動の規模を縮小せざるを得ない状況になるかもしれませんが、4月2日(木)は小規模な活動を行っております。
制作部では通常よりも開催時刻を通常の半分になる1時間に短縮して実施しています。開始時刻を1時間を遅らせたことで公共交通機関の混雑を避けることができました。そんな短い時間の中ではありましたが、前回宿題になっていた新しいグッズ案の裏付け調査の報告が行われました。やってみたいと思ったものの、製造するのに大きんコストがかかったり、外注するにしてもロット数が大きかったりといった思わぬ盲点が立ちはだかる案がいくつもありました。その一方で、実現可能なのではないか?手作りで行けるのではないか?この試作品なら高めて行けば売れるのではないか?といった希望が膨らむ商品案もありました。そんな審議を経て、いくつかの手作り系グッズは試作を進めることになりました。時間短縮活動のせいで「家で何をしたらいいんだろう」「一人でいると余計なことを考えて精神的に崩れてしまう」という不安を抱えて知多団員たちも「家で空き時間に試作をやろう」という目的を得ることができました。試作作業も進行するので一石二鳥です。

午後はいつもの活動時間を3割減して13時~15時まででした。開始時には総監督から現在の社会情勢の説明と、我々が対応すべきことの説明があり、参加した団員たちも「一人ひとりが気を付けないとですね」「無責任な行動はできない」と気を引き締めていました。換気の悪い狭い空間で声を出し合うことがハイリスクであるため、ウォームアップもかなり距離を取って、黙々と実施されました。それぞれが自分のペースで自分なりのアップを行う様は、いつもの一体感のある盛り上がりこそありませんでしたが、静かに集中力が高まっていくような、色々と自分を見つめ直せるような、興味深い時間でもありました。

その後はセリフを使わないで演劇の練習を行っています。演劇なのにセリフを使わないというちょっと矛盾した対処方法ですが、体を使った表現も立派な演劇要素です。ジェスチャーしりとり、ジェスチャーゲームをメインで実施しました。ジェスチャーしりとりでは、通常しりとりではまず犯さないであろう「ん」で終わる語句を回答してしまう事例が連続して発生しています。これは決して珍しいことではなく、この競技では頻繁に発生します。ジェスチャーで表現しなければいけないという条件がつくことで、「ライオン」「かばん」といったチョイスが発生し、誰もがその過ちに気付かずジェスチャーで表現してしまうのです。

常にお互いの距離を遠ざけながら実施された午後の活動は、ちょっと複雑な雰囲気ではありました。今後も同じように活動できるのか、さらなる規模の縮小が必要なのか、参加者の中には日々変化していく不安があります。特にその不安が精神的なコンディションに大きく影響する人もいます。国や自治体が薦める対策は最大限受け入れつつ、少々特殊な条件下で生活する団員個々に必要なサポートとしてどこまで活動を提供できるのか…。悩みは尽きませんが、こんな時だからこそみんなで支え合いながら、しっかりと前を向いて進んで行きたいです。