年内最後の活動日。年の瀬の忙しさのさなかで迎えたこの活動日。それにしても、本当に今年は1年間ものすごい勢いで駆け抜けてきた気がします。団員の何名かは風邪をひいたり体調を崩していますが、主宰と制作の2トップは団員の誰よりもハードな日程だったにもかかわらず、1年間無事に乗り切ることができました。今日も時々そんな話題が挙がり、「休める環境じゃないから体調を崩さない(崩せない)」「休んでも大丈夫などと思うことがないので乗り切れる」という、まさに「病は気から」理論が成立していました。ストレスも悪くはないものです。

午前中の制作部では、来年2月9日の「
演劇的な一日」で掲示される劇団宣伝ポスター作りを行いました。過去の写真や団体を紹介する資料などを所定の用紙にどんどん貼り付けてにぎやかにしていきました。今年の夏に萬劇場のショートストーリーコレクションに参加した際にも似たような掲示物を作成しましたが、その経験を活かし、さらに派手になるよう、使用する素材にもこだわりながら作業しています。「どうしても大女優の写真が多くなってしまう」というのは彼女の写真の品質に比例しているということでご容赦願いたいです。なんだかんだ言いながら作業を進め、この日のうちに完成させることができました。このポスターはイベント直前の数日間、南大塚地域文化創造館に掲示される予定です。

午後はいつものようにウォームアップをしてからの稽古でした。先週「
オダギリカイギ」の試作脚本を読み合わせを行った後に、さらに改良された試作脚本が配布されて、内容の確認が行われました。先週の稽古を経てもなお、脚本が仕上がっていない状況について、総監督から具体的に難航している理由と完成までの目途が説明されました。完成品だけ見るとそこに至るまでの紆余曲折が見えないものですが、実際に創り上げていく過程では想像を絶するほどの過酷な現実があることが、劇団員たちにも共有されました。単に「脚本完成が遅れていることへの言い訳」なのかもしれませんが、今まではただ待っていれば当たり前のように完成された脚本が与えられていた劇団員たちには、とても重たい響きを残したようでした。なぜ試作段階の脚本読み合わせを行っているのか、そこから何が完成版につながっているのか?団員の稽古以外の時間の過ごし方がどんな影響を与えているのか?などの裏事情も詳しく説明され、団員にとっては大きな学びにもつながったようです。

そんな経緯があってからの稽古では「イメージを還元できるように」「少しでも脚本の足しになるように」という意識で役者たちが演じていました。この日の試作脚本も完成版ではなく、一言さえ採用されないで消えていってしまうものかもしれません。それでも、そこで交わされた感覚は確実に物語の礎になります。姿かたちが変わっても、どこかに受け継がれたコンセプトやイメージがあるのです。これはその場で共に作品を生み出すことに関わった者にしか理解できない感覚です。この感覚があるかないかで、その後の脚本への向き合い方が大きく変わってきます。この場で共有できたことは必ずプラスになることでしょう。

2018年もこれにて活動終了。「
演劇的な一日」「第21回公演」と立て続けに、そしてあっという間にその時はやってきます。年明けとともに、躓くことなく全力で走り抜けられるよう、休むべき時には休み、積み重ねるものは積み重ね、それぞれの冬休みを過ごします!2019年にもご期待ください!
12月14日(金)は早稲田大学国際会議場井深大記念ホールで「ボーダーライン」を上演しました。日本精神障害者リハビリテーション学会第26回東京大会のサテライト企画内での公演で、平日にもかかわらず200名近いお客様のご来場があったと運営側から聞いております。特に、日本全国からこの学会に参加するために来場していた病院のスタッフ、地域の福祉施設のスタッフ、利用者など、普段首都圏でてあとるみのりの公演や活動の様子をご覧いただく機会がない(存在さえご存知なかった)方々が数多くいらっしゃっていたことが嬉しかったです。もちろん、日頃からてあとるみのりをご支援くださっている多くのファンの方のご来場も、とても心強かったです。皆様、本当にありがとうございました!

さて、そんな舞台が終演し、2018年の公演はひと段落。今度は来年最初の公演に向けて動き始めます。12月20日(木)の活動は新しい公演を意識したものになりました。
午前の制作部では、タイトルが発表された第21回公演で販売するグッズグッズの検討と、稽古で使っているフロアの床磨きを行いました。グッズについては、タイトルこそ分かったものの、まだ脚本が仕上がっていません。そのため、どんなイメージでグッズ開発していくのかがはっきりしていません。「こんなコンセプトで案を作ってみましたけれど、こういう要素が入ってくるかまだ分からないですよね」と、慎重になりつつも、純粋にデザインの利点と改善点について意見交換を行いました。
フロアは夏に一度実施しただけでしたので、靴がこすれた跡がたくさん付着しています。これらを重曹や激落ちくんを駆使して落としていくのです。いわゆる床磨きです。「この跡がなかなか落ちない!」「上履きを履いているのに汚れるものなんですね」と、所によって苦戦しながらも一生懸命に作業しました。その結果「すごくきれいになった!」「床が明るくなりました」「いやぁ、苦労した甲斐があった」と満足の行く仕上がりになりました。
午後の稽古では2月9日(土)に参加する「演劇的な一日」で披露する新作「オダギリカイギ」の脚本試作版が配布され、その読み合わせを役を入れ替えながら実施しました。団員にとっては新作脚本がどんな物語なのかに初めて触れる機会。ワクワクしつつ、登場してくるキャラクターをだれがどう演じるのだろうかと想像しながら、また自分が演じるならこうやってみたいといった感覚を掴みながら、それぞれが脚本に向かい合っていました。

今回読み合わせたこの脚本がそのまま完成形に進化するわけではありません。実際に声に乗せ、出演者が演技を交えていくことで、登場人物の雰囲気や背景が具体的に想像できるようになります。また、脚本の構造上、妙にくどい展開であったり、不必要と思える場面などを発見し、改善するのにもこのセッションは役立ちます。てあとるみのりでは一度脚本を完成させると、そこからまってく変更を加えません。直前まで改稿を重ねて公演直前に完全版ができるという団体も少なくないでしょうが、ここでは早目に物語や人物の背景を完成させ、じっくりと役者たちにそれに向き合ってもらうように工夫しています。同時に、役者の特徴や持ち味が役と物語に効率よく反映されるようにするという狙いもあります。このようにしててあとるみのりの舞台の根幹が創り上げられていくのです。

そんなわけで、来年最初のステージは2019年2月9日(土)南大塚ホールでの「オダギリカイギ」になります。第21回公演「織田桐会議」のプレ公演として無料で上演されますので、ぜひ今からご予定をご確認ください!
「演劇的な一日」公式ホームページ

てあとるみのり不朽の名作「ボーダーライン」が、
日本精神障害者リハビリテーション学会第26回東京大会のサテライト企画内で無料再演されます!上演時間を60分間に調整し、一部のキャストを入れ替えてお届けする「ボーダーライン」を、ぜひお楽しみください!
<上演作品>
「ボーダーライン」 脚本・演出:椙田佳生
<公演日程>
2018年12月14日(金)15時15分~16時15分
※開場は開演時刻の30分前(14時45分)です!
<会場>
早稲田大学国際会議場井深大記念ホール
アクセス情報は→
こちら<入場料>
無料(事前予約・登録などの必要もありません)
<出演>
満園仁美
村上栞
岩崎和巳
高垣李圭
田中聡
石塚美穂
川口和恵
中泉けい子
長嶋怜未

※各チラシ画像ともクリックすると拡大されます
「サテライト企画」は、日本精神障害者リハビリテーション学会第26回東京大会の前日に、一般の方々にもご参加いただけるように、様々な取り組みを無料で公開する試みです。精神障がい、知的障がいのある方と一般の方が垣根なく集って活動する「てあとるみのり」の活動を、より多くの方に知っていただく機会として出演させていただくことになりました!
14日(金)の上演当日は、学会員でない方でも学生でも、もちろん障がいのある方でも、事前のお申し込み・入場料のお支払いの必要なくご来場いただけます。完全なる無料公演です!
※サテライト企画後に開催される、学会主催の研修セミナーには事前申し込みが必要です。
学会プログラム情報は→
こちら
翌日12月14日(金)は、日本精神障害者リハビリテーション学会第26回東京大会サテライト企画での「ボーダーライン」再演です。直前となった本日の活動は、当然ながらそれを意識した活動でした。
制作部では「ボーダーライン」再演のカーテンコールで使用する、次回公演のお知らせ用横断幕作りの仕上げを行いました。日程や会場はすでに記入してあったのですが、タイトルが団員にも非公開だったので記載できないでいたのです。先週、イベントの打ち合わせを経てタイトルが公表(チラシもリリース)されたので、この日は正式なタイトルで作業を行うことができました。

同時進行で編み物班は、先週までと同じく第21回公演で販売する予定のグッズ作りを行っています。これまでよりも速いペースで仕上がっている印象がありますが、もちろん品質はこれまで以上のものです。すでに何個かの商品が完成しており、いずれお客様に情報公開を行うことになります。かなりいい仕上がりなので、皆さんの反応がが楽しみです。
午後の稽古ではまず、明日の会場入りやリハーサルのスケジュールの伝達が行われ、その後はすぐに衣装の準備を行い通し稽古を実施しました。先週の稽古では既定の60分を3分ほど超過してしまったので、少し調整をかけて臨みました。その結果、通し稽古の所要タイムはカーテンコールの宣伝を含めて58分。5分の短縮となりました。脚本、演出上の調整をかけた成果はもちろんのこと、芝居のテンポそのものも少し上がっているシーンがあり、その積み重ねがこの結果になったようです。

そのあとは、通し稽古の振り返りを反映した気になるシーン、改善した方がいい場面を部分稽古しました。なんとなくパターン化していた動きを改め、少しでも自然な反応に近づけるようにしたり、本来発生するであろう状況を考え、そこへ戻していく稽古を繰り返しました。今回の舞台サイズに合わせて改編されたことで、まだ熟成されていないシーンであったり、以前からスムーズに定着していなかったシーンが改められ、完成度が高まりました。本番前日でもよりよくするための努力を行う。これはどの劇団でも当たり前のように行っていることではないでしょうか。

さあ、そんなわけでいよいよ公演となる「ボーダーライン」。今回は60分バージョン。一部キャストを入れ替え、ダンスシーンには全員舞台に登場するというマイナーチェンジも施されています。客入れ音楽の終盤12分間は、てあとるみのり、ボーダーラインの魅力をお届けする仮想のラジオ番組「てあとるみのりサテライトステーション」がオンエアされます。平日開催ではありますが、入場無料。ご来場いただいたお客様に少しでもお楽しみいただけるように、様々な工夫を凝らしています。ぜひご期待ください!
無料再演「ボーダーライン」特設ページ
日本精神障害者リハビリテーション学会第26回東京大会HP
あっという間に12月です。日本精神障害者リハビリテーション学会サテライト企画公演まであと1週間と少々しかありません!いよいよ迫ってきた感じがします。そんな12月6日(木)の活動の様子をブログでお届けしましょう。
制作部では何組かに分かれて、それぞれが担当する作業を行いました。一組は学会で使用するちょっとした小道具(私たちの公演で使うものではなく、学会の懇親会で使うものです)作りを行いました。手書きのイラストが得意な団員に東京の観光名所や名物を描いてもらい、ある小道具を装飾しました。写真や資料を見ながらのイラストはなかなかの出来栄えでした。普段はグッズのデザインに発揮されている力が、少し別のオーダーにも生かされています。いったい何に使うどんなものを作っているのか?何かの機会で出来上がった作品を紹介したいところです。どうしても見たいという方は12月15日(土)夜に開催される日本精神障害者リハビリテーション学会の懇親会にご参加ください。

別の組は今回の「
ボーダーライン」で使う衣装の一部を修繕しました。今回はタヌキの衣装の一部をリニューアルしました。その一部とは、尻尾です。前回は薄い布で造形した尻尾の中に新聞紙を詰めて立体的にしましたが、今回は尻尾の質感にこだわり、ふさふさした毛が生えているような尻尾にしました。かなりの進化です。たった1回のステージのためとはいえ、やれることはやろうという姿勢で開発しました。そしてもう一組は編み物部隊。第21回公演で販売予定のグッズの製造を続けました。編み物は時間がかかります。しかも誰もができる作業ではありません。今からどんどん手を動かしていかないと間に合わなくなりますので、担当者は地道に作業を進めていました。
午後の稽古では「
ボーダーライン」の各シーンを冒頭から順に稽古しました。先週は出演者全員が揃いましたが、公演本番まで全員が揃うことはありません。昨夜特別稽古として、本日参加できない団員を中心にした練習を実施しています。そこで演出と共有した解釈や演じ方を本日の稽古で還元して、全体に浸透させました。

それ以外のシーンではその場で起きていること、聞こえるはずの言葉に対して現実的な反応ができているのかを確認する箇所がありました。回を重ねて稽古したり脚本を読んでいると、どうしても自分のセリフの中にきっかけや表現の方法を求めてしまうことがあります。例えば「この(自分の)セリフで怒る」「ここは強く言うところだから大きな声を出す」「ここはかっこよく言う」「このセリフで相手を見る」といった組み立てを優先してしまうことがあるということです。これはまったくもって中身のない演技になってしまいます。以前にも演出から紹介された根っこのある演技ではありません。目の前のどんな出来事に対して何らかの反応があるからセリフや行動が生まれてくるわけですから、なぜそこに反応するのか?どんな価値観を持っているのか?そんな価値観に至った理由は何なのか?などのプロセスを把握しておかないと、現実的かつ柔軟な演技はできません。これは基本的なことでありながら、繰り返していく中で忘れてしまうことでもあり、役者本人は「役作り」に没頭しているうちにそんな錯誤に気付かなくなってしまうものです。この日の稽古は改めてそんな大切なことを見つめ直す機会になりました。

ダンスシーンの練習も行われました。各自が自主練習を行ってきた成果があったようで、これまでなかなか動きが揃わなかった箇所がかなり改善されていました。隊列によっては前の人を見て踊れるポジションの人もいますが、そこでお手本を皆が踊ることに慣れてしまうと、どうしても振り付けの動き出しや決めポーズが遅れてしまいます。振り付けを知っていて前の人を参考にするのと、自信がなくて(よく覚えていなくて)見ているのでは意味合いが大きく変わってきます。やはり大前提として、自分一人でも踊りの流れを把握し、振り付けをスムーズに再現できるようにしておかないといけないということです。そんな問題点に該当する団員も、この1週間でしっかりと修正してきたようです。だからこそ全体の動きが連動して、ダンスらしくなってきたということです。これまでに何度も公演させていただいている「
ボーダーライン」ですから、その熟練度を観客の皆様にご覧いただかなければなりません。

間もなくに迫った「
ボーダーライン」。それ以外にも2月の「演劇的な一日」イベントの準備も進んでいます。同時進行でいろいろな情報が飛び交う現在の
てあとるみのりではありますが、全員が自分が今やるべきことをしっかりと把握して、日々精進していくことで、それぞれのスケジュールをいい形で終えられるようにしたいです。もちろん、その仕上がりを皆さまに会場でご覧いただきたいです。ぜひよろしくお願いします!
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日本精神障害者リハビリテーション学会第26回東京大会無料再演「ボーダーライン」特設ページ