萬劇場ショートストーリーコレクションでの公演まであと1カ月となりました。毎週木曜日が活動時間になっている
てあとるみのりでは、この段階から早くもラストスパートです。衣装、小道具の製造が急ピッチで進み始め、役者たちも通し稽古に臨んでいます。そんな6月28日(木)の活動の様子を紹介しましょう。
午前中の制作部では「
FFファンタジー」の衣装、小道具類の製造と調整を中心に行っています。すんなり形が決まった衣装はかなり完成形に近づいてきました。その一方でなかなかいいアイディアが浮かばず、難航している衣装も数点あり、仮の素材を使って「例えば、こんな感じでここに付けたらどうでしょう?」「縫わなくても挟んでしまえばそれっぽくなるよ」などと試行錯誤を繰り返しています。その結果、ある程度の方向性が見えてきた衣装案もあります。午後の通し稽古には間に合わなくても、次回の制作部までに素材の準備や加工できる状態にしておくことが確認されました。徐々に衣装、小道具が充実してきています。

また、来月の
萬劇場ショートストーリーコレクションだけではなく、10月に予定されている第20回公演で販売予定のオリジナルグッズの案の検討も行われました。結成10周年で20回目の公演。それをモチーフにしたグッズの開発にいくつかの案が提出され、意見交換が行われました。さすがに出された案があっさり採用されるということはありませんでしたが、こうして時間をかけてアイディアを洗練させていくことが、よりよいグッズを作るために必要なことなのです。「いろいろ考えてみることで、ふっといい案が湧いてくることもありますよ」と、お互いに案を認め合いつつ、次のアイディアへの糧とすることを誓い合いました。
午後は公演1か月前の通し稽古です。現在準備できる衣装や小道具、音響を(仮のものを含めて)導入しての通し稽古です。役者たちの緊張感もかなりのものでした。さらにメイクも、役者が自由に考えてきた案を含めて、ある程度の形まで施してみました。衣装と小道具、そしてメイクを装備すると、役者たちの気持ちもいつもの稽古よりも充実したものに高まります。「なんだか自分がどんどん強くなってる気がする」「やっぱり気持ちが切り替わりますね」と、役者の数名は率直な実感を口にしていました。

肝心の通し稽古の中身に関しては詳しくお伝え出来ませんが、先週の稽古で不安のあったシーンは各自が自主練習や脚本の再確認を行ってきたようで、通し稽古そのものは予想以上にスムーズに進行しました。実際の劇場とは場面転換の感覚が異なるので、照明をどうするのか、入れ替わるタイミングはどうするのか、舞台を降りた場所で行う着替えや次のシーンの準備は大丈夫なのかといった具体的なことは、改めて検討が必要になりそうです。公演まで1か月という段階での通し稽古としてはまずまずの感触でしたが、それはあくまでも稽古の話。本来の目的は公演本番でお客様にいい舞台を披露することです。油断することなく、残り1か月で1か月分の成長を付与していかなければいけないということです。
そんな目的を達成するため、役者たちの演技について通し稽古終了後に休憩を挟んで、部分ごとの稽古を実施しました。感情の流れであったり、そもそもどんな動機でその感情が芽生えているのかといった人間の内側を構築していく振り返りが目立った稽古でした。ただ怒ろうとして怒っているように演じているのか、心が何らかの影響を受けた結果が怒っているような言動になっているのか、この感情表現の深さの違いを、役者たち全員でディスカッションする時間もありました。少しの時間稽古そのものが止まったようにも見えましたが「深い話ができてよかったです」と、得るものも大きかったようです。

表現するということにひとつの決まった答えはないものです。演出家に対して正解を求めるのが稽古でもありません。もっと素直に感情の奔流を受け止め、それを自由な手法で表現する。セリフという形式にとらわれるのではなく、その裏側に隠れている人物の心をしっかりと感じながら、他者との関わりの中で生まれる反応を楽しむことが、役者の楽しさでもあり、やるべきことでもあります。まだまだ突き詰めて考えていかなければいかないことはたくさんあるのです。
6月21日(木)。天候の変化が激しい今日この頃。活動しているハートランドみのり内は、外の天気に関わらず、熱気に満ち溢れています。熱気というよりも湿気かもしれませんが、稽古の時にはエアコンは必須です。それでも室内は蒸し暑く、熱中症にならないように、休憩を入れたり水分補給を促したりと、進行にも工夫を凝らしています。
午前中の制作部では、先週生放送された「としま情報スクエア」のYouTube動画(公式)を鑑賞しました。総監督と佐伯恵太さんが出演したこの番組。先週は劇団員がスタジオの見学と応援に駆け付けましたが、モニターで映像は見ることができても、実際に音声や音響を聞くことはできませんでしたので、事実上、初めて目にするオンエア映像でした。
その後は、過去の稽古動画(
てあとるみのり総監督チャンネルにアップされているもの)を鑑賞。笑いと共に懐かしむ一方で「舞台の中で動きすぎているのね。今度からもう少し動かないようにするわ」と、自分の癖のような動きに気付く役者もいました。さらに昔の稽古動画への団員たちの集中力は高まる一方で、ちょっと雑談しようものなら、大女優から「うるさい!静かにして!」のお叱りまで飛び出すほどでした。公演の動画は終演後に見ることがあっても、稽古の動画を見る機会は少ないものです。また、団員の中には日常的にパソコンを見ることが(その環境さえ)ないものも少なくなく、当然ながらYouTubeで共有しようにも、全員平等にできないという背景もあります。今後も時折このような機会を設けたいものです。
午後は、
萬劇場ショートストーリーコレクションに向けて、「FFファンタジー」の稽古でした。まずは、現時点で用意できている衣装(案を含む)を試着して、演出のチェックを行いました。すんなりOKが出るキャラクターもいれば、大幅な変更が必要そうなキャラクターもいました。アイディア段階ではよさそうなものも、実際に役者が試着すると雰囲気が大きく変わって来るものです。その人が持つ個性とイメージの折り合いがつく着地点を見つける作業はなかなか難しいものです。もちろん、役者側からキャラクターに相応しいイメージに己を寄せていく努力も必要です。ただ気持ちや内面だけその気になるのではなく、肉体や姿勢、基本的な動き方まで作り込まなければ、よりよい演技には至らないのです。

この日からデモの音響が何シーンか入りました。演出上、音響とのタイミングを合わせなければいけないシーンもあり、そんなシーンを中心にデモ音響を当てて、体感的にきっかけを稽古しています。これまではのびのびとセリフを読んでいたシーンが、音響が入り、そこに合わせなければいけないという条件が加わっただけで、なぜかボロボロになってしまいました。間を開けずにセリフを入れないと音楽と雰囲気が合わなくなる…という意識が働くことで、前の人がセリフを言い終わったのか、まだ続くのか、自分が言い出していいのかといった判断が曖昧になってしまうのです。これは、いかににこれまで自信を持ってセリフを表現できていなかったということでしょう。何となく空気の中で、次が自分のセリフかな?この人のセリフはここまでだったかな?というジャッジを下して演じているからです。この点は早急に各役者が改善してこなければいけません。

先週の稽古で課題になっていたシーンの確認も行われました。「上手くできるかな」「夢の中ではうまくいったんですよ!」と緊張気味の役者。実演してみると「全然夢のようにはいきませんでした」と、もどかしさを滲ませていました。演出からはひとつひとつのセリフに対してどのような動機付けなのかの確認と、それらの心情の変化をどのように表現するのかの具体的なアドバイスがありました。そのアドバイスを経て何度か稽古を重ねることで、役者はまだ完全に落とし込めていないながらも、手掛かりをつかむことができたようです。ひとつのシーンがしっかりと品質を高めていく過程が、本日の稽古からは感じられました。あとは役者が持ち帰った感触を、しっかりと磨き上げてものにしてくるかどうかです。

そんなわけで、来週は「
FFファンタジー」の通し稽古が行われます。衣装とメイクも可能な限り実装します。どんな通し稽古になるのかわかりませんが、誰もが「心配だなぁ」と感じていることでしょう。そう思うのであれば、これまでと同じ準備をしていてはどうにもなりません。心配があっても、それを上回るほどの自信を得られるほどに準備をして来ればよいのです。通し稽古まで1週間。稽古がないにしても、各自が準備を重ねてくる時間は潤沢に残されています。役者たちの「本気」が試される、1週間になりそうです。
6月14日(木)は、
てあとるみのり総監督の椙田が、としまテレビの情報番組「としま情報スクエア」に生出演しました!午前中の放送に合わせて、劇団員たちも大挙して応援に駆け付けました。豊島区役所1階のスタジオは誰でも収録や放送の様子を覗く事ができるようになっているので、リハーサル中の総監督をバックに記念撮影に興じる団員もいました。

放送の内容は
てあとるみのりの紹介、先日のハートランドチャレンジFESの報告だけではなく、7月に行われる「
萬劇場ショートストーリーコレクション」の告知、10月に予定されている第20回公演のお知らせも行いました。ウルル・プロの俳優・佐伯恵太さんも、
てあとるみのりとの関わりや、実際に一緒に活動をしてみて感じたことなどを紹介して下さっています。しかも、「
てあとるみのり応援大使」を自称していた佐伯さんに、総監督から「もう公認でいいです」との認定まで与えられるというアドリブまで発生しました。見学した団員たちは「面白かった」「過去の映像が流れて笑った」「あの頃は痩せていた」などと、テレビの生放送スタジオの雰囲気や放送内容を存分に楽しんだようでした。
今回のテレビ出演がどのような影響力を与えるのかは全くわかりませんが、豊島区を拠点にして10年間にわたって活動を積み重ねてきた
てあとるみのりの魅力が、少しでも多くの方に伝わったのであればうれしい限りです。それ以前に、こうして地元のテレビに出演することができたことが、
てあとるみのりにとって、とても大きな成果だったように感じます。この企画に携わってくださった方々には感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
午後の稽古では、そんな午前中の活動の報告と共に、10日(日)に訪れた川崎市のNPO法人の講演会についての報告、ハートランドチャレンジFESの反省会報告、9月に参加予定のイベントへの参加形態の確認などが行われました。「10年間やってくる中で、いろいろなことがありましたね」「その積み重ねがあって、今ここまでありがたい話をいただけるようになったんですね」「この先10年後にはどうなってるんでしょうね?」「もう80歳だよ!」「定年間近だよ」などと、過去の振り返りと、これからの活動に思いをはせるひと時もありました。
その後はウォームアップを挟んで、
萬劇場ショートストーリーコレクションに向けた「
FFファンタジー」の稽古を行いました。稽古場をなるべく実際の舞台の広さに近づけて、動き、立ち位置、使うべきエリアを意識しながらの稽古でした。特に強く意識したのが体の向きです。今回の
萬劇場ショートストーリーコレクションは、客席が向かい合った狭間に舞台があるという特殊な構造です。通常の正面と正面が向き合った舞台ではないので、どの方向を見て演じるかの判断に迷ってしまったり、ついつい片方に視線や立ち位置が偏ってしまうことがあります。それをひとつひとつ整理していく演出が目立ちました。それに伴って、「ここで振り向くタイミングを合わせよう」「横からではなくて縦から声をかけましょう」といった演技のアレンジもなされていました。少しでもお客様の視線に対していい演技をお届けできるように、様々な角度からの見た目にこだわって稽古が進んでいました。

また、今回の「
FFファンタジー」では、特殊な人物設定が施された役が登場してきますので、それをどのように形にして表現するのかを全体で考えながら稽古しました。「緩急をつけてみたんですけれどどうでしたか?」「頭ではわかっているんだけだけれど、それを体でやるのが難しい」「ついつい視線が動いてしまうんですよね」「この1週間でイメージをつかんでくる」と、それぞれ苦慮しながらも、この日の稽古の中で少しでも感覚を手に入れて、それを次回の稽古までに成熟させてこようとしていました。

再来週には通し稽古が控えている「
FFファンタジー」。公演は2018年7月28日(土)12時30分から
萬劇場にて。チケットは絶賛販売中です。3団体一緒の舞台ですので、売り切れ必至のチケットとなっております。ぜひお早めにご予約ください!
詳細やチケットのご予約などは→
こちら!
6月に入り、関東地方にも梅雨入りの声がかかっていましたが、この日は晴天に恵まれ、稽古場も熱気に包まれていました。夏らしさが増す毎日と共に徐々に公演日が近付いている実感を得られる今日この頃です。
午前中の制作部では、
萬劇場ショートストーリーコレクションの宣伝を行うためのダイレクトメール発送作業を継続して行いました。また、近隣の関係機関には徒歩でチラシをお届けしました。可能な限り顔を見せて営業活動する。これも一種の「Face to Face」です。徒歩での運搬で切手代や封筒が浮いた分は「じゃあ、もう一か所、あそこにも送りたいんですけれど」との提案があり、すぐに追加発送分に回されました。確実にご来場くださるかわからないとしても、宣伝しない限りは可能性はゼロです。少しでも多くの方にご来場いただきたいという率直な願いが、団員たちのモチベーションになっています。
午後の稽古ではいつものようにウォームアップを行ってから、すぐに「
FFファンタジー」の稽古には入らず、読み合せの練習用に用意されている脚本を半分即興のような形で読んでみました。少しリラックスして演技に臨むため、演じるという感覚を自分の役に固執せずオープンにとらえるため、そして今回の「
FFファンタジー」には出演しない団員のために実施されたイレギュラーな取り組みでした。

その後は「
FFファンタジー」の稽古です。この日は出演者全員が集合しました。先週行った稽古で確認した部分の振り返りを行ってから、まずは序盤のシーンの稽古。この日は演出から実演を交えながら、かなり細かく姿勢の取り方、動きのタイミングやその意図、原理などの説明がなされていました。30分間というコンパクトな作品であるがゆえに、ひとつひとつのセリフ・動作に、いつも以上の意識を注ぎ込まなければいけません。演じる上では、落とし込んでこなければいけない課題が増えていますが、全ては物語の魅力、自分たちの取り組む姿勢をお客様に伝えるためです。実はいつも行っていることと何の変りもないのです。

役者たちは、ただ単に演出からの指示を聞いて、言われた通りにやっているだけではありません。自分たちからも「ここは○○○にしてみたらよく見えるんじゃないか」「効果音を入れるとお客様にも理解しやすくなるかも」「どちらのコンセプトを生かすか迷いますね」などと、演じている立場からの意見や提案を挙げていました。演出もそういった要素をしっかりと受け止め、バランスを取りながら演技に反映できるようなフィードバックを行っていました。もちろん、実際に演じてみてしっくりこなければ「やっぱり最初の形に戻そう」ということになり、思いの外いい感じであれば「じゃあ、さらにこういう動きも入れてみましょう」という発展が生まれます。まさに舞台を創る一体感。「Face to Face」の取り組みがありました。

このように、
てあとるみのりの劇団員が一丸となって創り上げている「
FFファンタジー」。上演に向けて演技も裏方も少しずつ前進しています。来週あたりからは小道具と衣装の準備も本格化する予定です。どのような仕上がりになるのかは、7月28日(土)たった一度のステージでご確認下さい!
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