第19回公演「
影の舞台」の開幕まで、残された活動はこの日を含めてたった2回となりました。いよいよ近付いてきました。制作部のグッズや小道具作り、稽古での役者の仕上がりについて、かなりナーバスになってくるタイミングでもあります。さあ、そんな2月22日(木)の活動の様子を紹介してまいりましょう。
まずは10時から12時までの制作部。グッズ作りは最後の追い込みです。今回も恒例になっているキャラクターしおり(登場する全キャラをそれぞれデフォルメしたしおり)の販売を行いますので、その仕上げが急ピッチで行われました。それ以外のグッズに関しても、予定している数量をクリアした上で、さらにアレンジを加えた物を製造しています。さらに、毎回ご好評をいただいているトートバッグに関しても、今回はちょっと違ったテイストのデザインを導入する方向で最終調整に入りました。とにかく様々な内容の作業が並行して行われています。それぞれにある程度の技術やセンスが求められる段階になって来ましたので、手が空いてしまうとそのままやることが無くなってしまうような展開でした。まさに追い込み時期特有の雰囲気です。
午後の稽古は、通し稽古を軸に、問題点を振り返りながらの稽古となりました。全員が揃う前に実施した昼の通し稽古は、トラブルが起こった際にはストップをかけ、すぐに状況を確認し、修正を施しながら進行していくという、純粋な通し稽古とは異なるスタイルで行いました。セリフを飛ばしてしまったり、詰まってしまったり、立ち位置が異なっていたりした場合には即座に演出から待ったがかかり、正しい流れを確認してやり直します。役者にとって、自分で「ここは大丈夫だろう」と思い込んでいたシーンが修正対象になることも珍しくはありません。思い込みや、詰めの甘さを払拭し、確実に物語の完成度を高めていくためには、細かい部分にも気を遣っていく必要があります。

通常であれば90分で終わる芝居が、確認とやり直しを含めて150分以上の時間を費やすことになりました。「待った」がかかった回数は31回。細かいミスを含めるともっと多くの修正点がありました。これだけミスが多いと、役者たちは集中力を保つのが難しくなります。当然ながら身体的、精神的な疲労も蓄積します。それでも何とか、修正を施しながら、ラストまでやり切ることができました。しっかりと直すべき所を直し、定着させるために、頑張っていた印象があります。

ほぼすべての役者がそろった夕方からは、何が起こってもストップをかけない、一般的な通し稽古を実施しています。可能な限り衣装や小道具を実装しての稽古でしたので、自然と気持ちが高まったようです。何カ所か昼間は問題なかったはずなのにミスが起こったシーンや、結局昼間と同じ過ちを起こしているシーンがありましたが、進行不能になるような事態はありませんでした。

これまでの稽古では仕上がりが不安だった役者が一気に質を高めてきた一方で、相変わらず同じような課題を抱えたままの役者がいたり、意識はしているのに思うように表現しきれていない役者も多く見受けられました。単純に言えば「先週までと変わっていない状況」に甘んじている者がいるということです。個人でできる作業・準備がまだまだ不足しているのにそれ以上やろうとしない。まあなんとかなるだろう」「このぐらいできればいいだろう」「うるさくいわれていないからこれでいいんだろう」といった不必要な「慣れ」に染まっている者が存在することは、残り2週間で修正すべき最大の課題です。

また、この日はダンスシーンにメインで登場するメンバー、サブで登場するメンバーの発表があり、それぞれのポジションや、踊りに加わるタイミングなども申し送られました。これまではみんなで一緒に全パートの練習を行ってきましたが、全員がその全部のパートを踊れるわけではありません。今回のダンスはある種のサバイバルでした。そんな過酷な条件の中であっても、障がい、学業、仕事、年齢などの社会的立場を理由に諦めるような団員は皆無でした。ダンスの技術に関してはとても誇れたレベルではないことはわかっていますが、このような気持ちの表れが、見る者に感動を与えるはずです。ダンスの構造上、どうしても見栄えやバランスから序列が与えられてしまいますが、努力したことに対しては何らかの機会が与えられるよう、演出が熟考を重ねての編成となりました。劇場でどんなダンスを見せることができるのか?残された時間も力と気持ちを合わせて仕上げていきます!
第19回公演「
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昨日14日(水)に豊島区役所のセンタースクエアで開催された「
はあとの木マルシェ+」というイベントに、
てあとるみのりが朗読劇を提供してきました。5~7名出演する20分ほどの脚本(全4作品)を、お客様の飛び入り参加ありで読み合せました。ほとんどの脚本が新作で、バレンタインデーにちなんだ作品もありました。参加した劇団員たちは落ち着いて力強い演技を披露していました。このところイベント続きではありますが、とても楽しく参加させていただいています。参加できることがとても嬉しく感じています。
さて、そんなイベント翌日の15日(木)も、劇団員は元気に集合してそれぞれの活動に勤しんでいます。午前中の制作部は、公演が近付いてきたこともあって、グッズ作りの最終段階に入っています。複数のグッズを同時進行で、うまく分担しながら進めています。回を重ねるごとにグッズの品質が向上しているのは確かです。その品質を落とさず、さらに進化させていく努力が求められるので、回を重ねれば楽というわけではありません。常に前回の品質を超えようという努力が必要になってきます。

販売用のグッズに加えて、ご来場者プレゼント企画用のアイテム製造も大詰めです。今回も何らかのアイテムが抽選で当たる企画を用意しています。何が当たるのかはまだ秘密ですが、狙い目は千秋楽でしょうか。いずれ詳細をお知らせしますのでお楽しみに!
午後の稽古は、昨日のイベントの振り返りと、先週の鴻巣・北本地域のイベントの振り返りなどを行ってから、体を動かし、まずはダンス練習を行いました。本来の振り付けから手の平の向きが逆になっていたり、曲げるべきところを伸ばしてしまったり、少し変更になった振り付けに対処できていなかったりと、改善すべきポイントがいくつかあり、演出から細かい指導がありました。動きのメリハリ、動くときの速度ときっちり止まる瞬間の見せ方など、全体的に抑えるべき重要事項も改めて伝達されました。すぐにその成果が出た部分と、なかなか体がその動きを表現しきれていない部分があったようですが、残り3回の稽古と自主練習で底上げを果たしたいところです。今回のダンスは、メインでダンス選抜キャストが踊ります。選抜に入るために、少しでもかっこよく踊ろうと、団員たちは繰り返し練習をしていました。

演技の稽古では先週行ったシーンの続き、中盤の山場を演じました。感情が表現されるシーンなので、やりやすい(表現の方向性をつかみやすい)一面もありますが、問題はそこに至る流れを産み出せるかです。例えば怒るシーンを演じるとして、その瞬間に怒ったような演技をすることはわかりやすく、やり方もつかみやすいものです。その裏で、なぜ怒ることになったのか、どの段階でどんな感情が流れてそうなったのかをしっかりと考え、感情の表出へのリアリティを表現することは難しいことです。この日の稽古でも、演出から丁寧に、「ここでは誰に向かってどんな感情で言葉を発しているのか?」「前からの流れを考えてみると、いきなりここで相手に向けて励ましの声をかけるのはおかしくないですか?」「これを聞いた相手役はどう思って次の言葉を口にするのだろう?」など、前後のセリフ、周囲の役者への影響などを確認するような振り返りがありました。その中で役者たちは「あ、そうか、そこで自分を重ねるのか」「根本的にベクトルが間違ってました」と、演技の方向性や、そう演じることの裏付けを手に入れていました。そういった根拠に基づいた演技が形になることで、見ているお客様にも何かを伝えられるはずです。

余談にはなりますが、この日も演技の中で面白いミス、苦し紛れのアドリブが何度かありました。こういった現象が絶えないほどの個性派集団ですので、ちょっとしたイレギュラーには、ほとんどの役者が表情ひとつ変えずに対処できます。しかし、そこからどんどん傷口が広がっていき、かなり予想外なアドリブが飛び出したり、どう考えてもおかしなことを言い出す役者がいると、さすがに対処しきれずに沈黙や笑いが舞い降りてしまいます。この日も「すべての観客はお前たちの礎(いしずえ)となるのだ!」という、脚本には記載されていない名言が生まれました。この言葉、ある意味舞台作りの上でとても大切なことを語っているようで、うっかり笑い飛ばして終われないような響きを残していました。そこがまた逆に面白かったです。

そんな感じで、稽古は厳しくもありつつ、かなり楽しい雰囲気で進んでいます。第19回公演「
影の舞台」は3月9日(金)~11日(日)の3日間、北池袋
新生館シアターにて上演です!本日が終わって残りの稽古は2回。来週は通し稽古です!
2月6日のイベント公演も無事に終了し、休む間もなく「
影の舞台」の稽古が始まりました。そんな2月8日(木)の様子を紹介しましょう。
午前中の制作部は関係機関や関係者などに送付するダイレクトメールの発送作業を中心に行っています。団員が個人的に関係があったり、かつてお世話になった支援者などにも、独自の手紙をしたためて、公演の案内をお届けすることにしています。発送相手のいる団員は不慣れな手書きの手紙ながらも、自分の思いや演劇の楽しさを伝えるような文書を便箋に書き込んでいました。出来上がったダイレクトメールは団員が郵便局へ持ち込み、無事に発送されました。
編み物系のグッズ担当者は引き続きグッズ作りを行いました。その作業中、K&Kブランドを手掛ける我らが大女優が「ラジメをここに入れておくね」と周囲に申し送っていました。聞いたことのない単語に首を傾げる一同。「ラジメとは何か?」と確認すると…「わかんない。私がテキトーに言った」という想像以上の返答がありました。さすがは大女優です。

午後の稽古では冒頭でお知らせした通り、久し振りに
第19回公演「
影の舞台」の稽古を行いました。この日は体調不良の役者が数名いたため、全員が揃うことはありませんでした。シーンを選んだり、セリフだけでも代役を入れながら稽古を進めています。つい3日前まで「ボーダーライン45分改編版」に集中していた役者たちは、気持ちやコンディションの切り替えに不安がありましたが、思いの外「
影の舞台」モードに切り替わっていました。少々セリフが怪しい場面もあったものの、大きな筋を踏み外すこともなく、脚本を見ていなければ、大きなセリフの間違いをしていることは気付かれない程度のできでした。

そんな中でも大幅にセリフを飛ばしてしまった役者が、そこから何とかつじつまを合わせようと挟んだアドリブで「お前にその資格があるのか!」と断言しようとしたつもりが、「お前にその資格があるくのか!」と噛んでしまう玉突き事故が発生する場面もあり、対峙した役者たちにとってはある種の試練の時が度々訪れていました。そんなミスを一同で笑って受け止めると同時に「この言葉をきっかけにすれば、間違えずにこのセリフが出てくるはずですよ」「変に動揺しないで言い切っていいです。周りで何とかします」などと、対策とサポートの振り返りも行っています。誰かのミスをただ笑って終わらない、有意義な稽古になっていました。

演出からは形式的なポジショニング、動線の確認以外にも、この状況でこの人物は何を考えているのか?そもそもどういった動機付けを強く持っているのか?といったディスカッションが投げかけられるシーンが多く見受けられました。ひとつひとつの動作や発言にどんな意味が、どんな動機があるのか?時々子の確認を行っていくことで、演じている本人も気付かない一瞬の表現と人物の一貫性のずれを発見し、どう修正すればいいのかを考え、何らかの答えを提案し、再び演出からの問いかけに応じるというやり取りが生まれます。こういったディスカッションをする中で、役者たちも「あ!そうか!」「自分でも最初はそういう方向性でやってましたよね」「確かに、ここでそうやればもっとこのキャラの魅力を見せられますね」「それだったら、こういうやりかたでもいいですか?」などの、新しい発見を得ることができます。そういった確固たる根拠に基づいた表現にこそ現実味が宿るのです。演劇の稽古とはどんなことをやっているのか疑問に思う方も多いでしょうが、
てあとるみのりでは技術的なこと、形式的なことよりも、こういった内面的、本質的な要素を磨き上げることに多くの時間を費やしています。

「
影の舞台」公演まで残す稽古もあと3回。久し振りの稽古で至らなかった部分を各自が改善、成長させて、次週の稽古に臨んでくれることでしょう。様々な生活の課題も抱えながら、団員たちは自分を奮い立たせてこの作品に挑んでいます。
2月6日(火)、鴻巣北本地域自立支援協議会地域支援部会精神障がい者グループ主催のイベント「第7回精神障がい者の明るい未来のためにフォーラム~広げよう笑顔の輪~」(会場:
北本市文化センター)でのイベント公演「
ボーダーライン(45分改編版)」が無事に終了しました。会場には400名を超えるご来場者があり、笑いと涙に包まれる約50分間を共有することができました。団員一同感謝でいっぱいです!イベント運営スタッフの皆様、会場にお越しくださった皆様、誠にありがとうございました!!
<フォトギャラリー>
会場の
北本市文化センター。700名以上収容のホール。

楽屋の鏡の前でダンス練習。

メイク風景。大女優は充電中。

社長の特殊メイクを手伝う村人。まるで彫師。

開演を待つ楽屋の様子。

幕が上がると姿を見せる出演者。

イベント仕様でまずは派手なダンスから。

山神様(警部)登場。志木は出ないバージョン。

対立する村人とユウキ。

社長と秘書がやってくると対立構造が変化。

キツネの妖怪が現れる。

さらにタヌキまで現れる。

メギツネダンス。

メギツネダンスその2。

村人はかたくなに妖怪を拒絶。

泣き出すキツネを慰めるタヌキ。

和解して飴のご褒美返し。

山神がやってきてハラハラする人間たち。

山神の正体に驚く。

カーテンコールで社長とロメロの再会。

「
影の舞台」の予告。

帰る前にゆるキャラたちと記念撮影!
いよいよ2月に突入しました。イベント公演まであと5日!はあとの木マルシェ+の朗読劇まであと13日!そして
第19回公演案であと1か月と1週という、あらゆるものが差し迫ってきた状況です。本日の活動は終日2月6日(火)
北本市文化センターでのイベントに向けた内容でした。
午前中の制作部はイベント公演のカーテンコールでお客様にアピールするための次回公演告知横断幕作りを中心に行いました。模造紙を張り合わせ、記載する文言を決め、下書きからペン入れ、さらに装飾まで、劇団員が知恵と力を合わせて仕上げました。すべて手作りで作業したため、文字の味わいが十人十色。温かみのある横断幕になりました。みんなの力が合わさった力作です。6日当日のお披露目が楽しみです。

また、イベント公演の衣装の直しも行っています。大きいサイズの舞台用に衣装と装飾品のバランスを調整したので、その見直しも行いました。今回タヌキ役で出演する大女優も衣装合わせと調整を実施。時折「疲れたー」「もういいよ~」と駄々をこねていましたが、「衣装を着て舞台に立ちたいなら我慢して!」「衣装を着せてもらっているのに文句を言っているのはあなただけですよ」と叱咤激励されながら「そうだねー」と気を取り直して、調整後の衣装直しまで作業に参加していました。

また、編み物班は
第19回公演で販売用のグッズ作りを続けています。編み物系のグッズは今回は質も量もグレードアップしています。ぜひ3月に劇場でご覧いただきたいです。
午後の稽古は、6日のイベント公演に向け、衣装や小道具を装備して稽古を行っています。また、会場スタッフとの調整の結果、先日までのプランから変更しなければいけなくなった演出を確認、修正しました。少し勝手が違う演技になる個所もありますが、お招きいただいた立場ですので、主催団体からのオーダーには極力応じていくつもりです。その条件の中で少しでも自分たちの魅力を伝えられるよう、肝心な演技の中身を磨き上げること、演劇に取り組む自分たちの姿を見せることに集中しようと、全員で意思統一を図りました。

稽古の後半は「
ボーダーライン改編版」の通し稽古を3回繰り返しました。ここのセリフや演技はある程度形になっているので、それを全体の物語の流れの中でどのようにコーディネートするのかの調整です。丁寧に演じようとするあまり、妙に芝居全体が間延びしてしまうこともありました。これは通し稽古のタイム測定でシビアにチェックを入れ、すぐに演出から改善すべき個所と方法が指南されました。その結果、2回目からは想定していたタイムにきっちりと納まる通し稽古ができるようになりました。本当に些細な気持ちの置き所ひとつで、全体の物語にかかる時間、流れる時間が何分間も変わって来るものです。ひとつひとつは小さな誤差であっても、それが数十分の物語になると、かなり大きなものになるのです。不必要な気負いを軽減し、自然なリズムで素直に演じることがで、物語の時間が自然に流れます。これは演じる側はもちろん、見ている側にも心地の良い時間になるはずです。
てあとるみのりを構成する劇団員のほとんどは、個人としてずば抜けた才能を持ち合わせてはいません。一般の劇団を構成する「心身ともに健康な人」の集まりではありません。それでも、それぞれの力を合わせることで、予想以上の表現が可能になるという理想を、この10年間で少しずつ具現化してきました。古来より演劇という芸術領域には物語の良し悪しや、役者のスキルだけを追い求めるものではなく、そこに携わる人々の力の融合、まさに劇団そのものの存在感に魅力が宿るという側面もあるはずです。そういった少し肩の力を抜いた観点から、
てあとるみのりの存在と活動に目を向けていただければ幸いです。劇場でお待ちしています!

2月6日のイベント公演に関する詳細は→
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