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6月29日の「ボーダーライン」です。

Posted by theatreminori on 29.2017 稽古レポート
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第18回公演「ボーダーライン
8月4日(金)~6日(日) 北池袋 新生館シアターにて

公演情報特設ページ
チケットご予約フォーム



6月最終週の活動となったこの日、いよいよ「あと1カ月で公演だ」という意識が劇団員の間にも高まってきました。午前中の制作部、午後の稽古とも真剣な雰囲気で展開した活動を紹介しましょう。

制作部では主に衣装作りとお客様へのダイレクトメール発送準備作業を行っています。ただ郵便を送るのではなく、、メッセージを添えて発送するので、そのメッセージを作る作業に取り組みました。「この表現でいいんだっけ?」「暑熱…ってどう読むの?」「最後に敬具って書くの忘れた」などなど、普段使いなれていない手紙でのあいさつ文の作成に大苦戦。お客様によっては「前回おいでくださったのっていつだっけ?」「あれ?TRIGGERの時っておいでになっていなかったでしたっけ?」「じゃあ、前回は…とは書けないね」と、あいさつ文に、その方に見合った内容を追加するため、公演当日の受付リストを使った事実確認を行う必要もありました。

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衣装作りは先週までの作業を継続して行っています。同じものを複数作らなければいけない衣装もあり、ここ数週間はひたすら三つ編みをしている団員もいます。そのパーツを使った衣装が少しずつ完成形に近付いてくると、折れそうになっていた心も立ち直りを見せます。作業に携わった団員はお互いに「すごいなぁ。こんなに作ったんだ」と振り返っていました。先週疲労困憊だった大女優は、この日も「眠れなくて疲れた」と口にしていましたが、周囲からの励ましもあって、時間までしっかりと自分の作業に取り組んでいました。

午後の稽古は、先週実施した通し稽古で浮かび上がった問題点、演出から見ての改善が必要な点を中心とした、大規模なテコ入れが実施されました。身体の向き、動き方、立ち位置など、全体のバランスを取りながら、物語の中での必然性、演出の意図を強調するための修正です。物語全体の前半部分とダンスシーンに対して、演出から役者たちに事細かに指示が出されていました。あとは役者たちがそのイメージを共有して、その上に己の演技をしっかりと載せることができれば、より舞台が面白くなります。演出としてできることはここまでなので、公演までに役者たちがしっかりと役を作り、物語の中でそれを生かす感覚を浸透させられるかに、作品のすべてがかかってきます。当然ながら役者たちの集中と緊張は最高潮に高まっています。

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この日具体的に申し送られたことは「どうすればいいか」ではなく「なぜそうするのか」をしっかり考えてこようということでした。演出からひとつの動作や立ち方などが指示されることはよくあることです。それをそのまま「こうやって動かなければいけない」「ここで大きな声を出す」「このタイミングまでに移動する」という段取りとして忠実に実行するだけでは演技になりません。その指示に対して「この人物がなぜそのタイミングでその動きをするのか?」という根拠を追い求めていかなければいけません。それがしっかりと構築されていくことで、舞台上の世界が現実的に生き生きとしたものになっていきます。セリフを形だけで覚えずとも、流れの中で自分の主張すべきこと、動くべきことが自然と浮かんでくるようになります。集団で演じる際には、このイメージや流れの共有がなければ、バラバラな世界のままになってしまいます。一人だけ頑張ってもダメ、一人が手を抜いてもダメというのが舞台の世界なのです。

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ダンス練習では、なかなか一部の振り付けをマスターできない役者へ、他の役者が協力して「向かい合って練習してみましょう」「ここで止めるといいですよ」と、振り付け練習を実施していました。何回か練習していると「そうそう!それでOKです!」と、これまでできなかった振り付けができるようになりました。支え合う気持ちや自主的な努力が感じられて素晴らしい出来事にも見えますが、この稽古の合間に少し練習しただけでできるようになった振り付けが、今まで何週間待ってもできなかったわけです。その事実の裏側を察なお、団員たちは「自主練やっているので、一緒に頑張りましょう」「私も大変ですけれど、少しでもいいものを作ろうと思っているので」「がんばってるのはみんな一緒なんですから、一緒に頑張りましょう」「もう一歩先へ進みましょう」などと寛大な言葉をかけていました。この懐の深さが、てあとるみのりの団員たちのいいところでもあります。その環境に甘えるのではなく、感謝をしながら、一人ではできないチャレンジを一緒に積み重ねていく。その先に仕上がった舞台があるのです。ぜひ、お客様にはそんな我々の思いの結実をご覧いただきたいです!

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6月22日の「ボーダーライン」です。

Posted by theatreminori on 22.2017 稽古レポート
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第18回公演「ボーダーライン
8月4日(金)~6日(日) 北池袋 新生館シアターにて

公演情報特設ページ
チケットご予約フォーム



6月も終わりが近付き、残り稽古回数もあとわずかになってきました。梅雨空と晴れ間の繰り返しが続いていますが、てあとるみのりの活動は曇ることなく、ますますアクティブになってきています。全体としてギアが一段上がったような印象です。

そんな本日午前の制作部。衣装・小道具作りとグッズ作り、グッズの改善案の検討が次々とおこなわれました。並行して音響の編集や選曲作業も行われ、活動スペースでは様々な音が飛び交っていました。その音に交じって「ああ~つかれた~」「もうつかれた~」「なんでこんなに疲れるの~」と弱音を吐きまくる大女優の声が…。もちろんそんな彼女に対して周囲は「みんなも疲れてるよ」「あまり疲れた、疲れた連呼しないでくださいよ。周りまで疲れちゃう」「病は気からですよ」と温かくも厳しい励ましの声がかかっていました。いかにてあとるみのりの大女優と言えどもわがままは通りません。

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午後の稽古は、これまで以上に本番を意識したものになっていました。前半はダンスシーンの練習。後半からは物語全体を通して稽古し、全体の流れの中で各シーンが持っている役割、狙いとする演出を整理しました。場面ごとの稽古ではその瞬間にだけ集中すればよかったわけですが、物語を通して体験するという観点からは、全体の流れを把握することが重要になってきます。何度も稽古をやっている側の視点ではなく、初めてこの物語に触れるお客様の感覚に近い視点で、物語の在り方を再構築していくのです。

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演出側からの要求は表面的な演技のことではなく、その根底にある役作りの基盤についてにまで及んでいました。「そもそもこの人物はどんな人なのか?」。奥が深いような話ではありましたが、実際には演じることはこの基盤の上に成り立っているのです。セリフを言わせなければ観客にどんな人物か伝わらないようではだめだということです。何もしゃべらずとも存在しているだけで、どんな人物であるのかの想像ができるような表現があってこそ、その上に乗っかるセリフが意味を持ってくるという考え方です。物語の中のセリフとは、その人物を示す何億分の1程度の要素の表出に過ぎないわけです。簡単には見えてこない底辺の部分を考えること、表現することこそ役作りの本質なのです。

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稽古は夜間にまでおよび、ダブルキャストの入れ替えを行ってそれぞれ1回ずつの通し稽古を実施しました。「2本やると疲れるね~」「でも本番は1日2回なんだよね」と、役者たちは汗をかきながら振り返っていました。まだまだ脚本を手放したことへの不安が強く、満足いくような演技はできていませんでした。その中で具体的に指摘された改善すべき点を、役者それぞれが磨き上げてきてくれれば、必ずいい方向に進んでいきます。その繰り返しで舞台は完成に至るのです。

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6月15日の「ボーダーライン」です。

Posted by theatreminori on 16.2017 稽古レポート
てあとるみのり第18回公演「ボーダーライン
2017年8月4日(金)~6日(日) 北池袋 新生館シアターにて上演

公演の詳細・チケットのご予約は→公演情報特設ページ


いよいよ本日、第18回公演「ボーダーライン」のチケット販売がスタートとなりました。現在はご予約を受け付けている状態で、チケットの現物をお渡しするのはもう少し先ではありますが、すでに午前中からWEBご予約フォームからご予約のお申し込みをいただいており、本当にありがたい限りです!

ありがたさを共有しつつ、同時にしっかりとした作品を創らなければという責任感や使命感を感じながら、団員たちは今日の活動に臨んでいました。制作部でのいわゆる裏方作業も、午後の役者たちの稽古も同じように、力を合わせて取り組む姿勢が印象的でした。

制作部では、いつものグッズ検討を後半に回して、製造中の衣装作業を先に行いました。ベースになる衣装に装着するパーツがいくつかあり、その製造作業です。もちろん今の時点ではそれが何なのかはお伝えできませんが、何人かの団員たちで分業して取り組むほど手間がかかっていることだけはお伝えしておきます。いったい誰のどの衣装の一部なのか?ぜひ劇場でお確かめ頂きたいです。

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後半のグッズ検討・試作では持ち込んだ素材や機材を使って実際にアイテム製造を行う団員もいました。これまでの話し合いや、自分なりの検証を重ねた上での作品の具現化です。すんなり採用されないにしても、次回までの改善点が具体的にフィードバックされます。とは言え、いつまでも検討と試作を重ねているわけにもいきません。6月いっぱいで新しいグッズの拡張はストップ。7月はとにかく生産に力を入れることになりました。

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また、本日の制作部よりも先行して、フライヤー(チラシ)デザインも確定し、印刷屋さんへの入稿(印刷の依頼)も済ませています。間もなく現物のフライヤーもお目見えします。デザインが気になる方は、すでにWEBでは公開されておりますので、公演情報特設ページをご参照ください!

午後の稽古では第1次の衣装合わせを実施しています。この段階でそろっている衣装、案に挙がっている衣装を持ち寄って、実際に役者が着用して雰囲気や機能性を確認しました。まだその様子を紹介できませんが「もっと(裾を)上げてくれないと困る」「黒いズボンならぎりぎりではけるかも」「暑い」など、演出からの意見よりも役者からの意見・要望が目立っていました。OKが出た衣装もある反面、まだまだ改善や刷新が必要な衣装もありました。「予算がないからな~」「買うと5,000円ぐらいしちゃうから買えないよ!」と、予算のことを考えての悩みが尽きませんでした。

その後はウォームアップを挟んで演技の稽古です。この日は物語、舞台の構成において鍵を握ってくるシーンの稽古を重点的に行いました。この肝心なシーンが、これまでなかなか安定しなかったシーンでもありました。演じている本人が一番不安だったかもしれませんが、演出だけからだけではなく、他の役者からも励ましやアドバイスがあり、少しずつ形になって来ました。

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また、先週から本格的に振りつけが入ったダンスシーンの練習も行っています。先週の振り付けの確認と、この日は新しいパートの振り付けも行われています。1週間前に伝えられたことは確実に身につけてこないと、どんどん取り残されてしまう構造です。数名の役者は自主練習を重ねてきたようで、その成果が随所に見受けられました。後は個々の苦手な動き、どうしても連動しない部分などを克服してもらうしかありません。決して超人的、専門的な振り付けではありませんので、反復練習で必ず再現できます。どんな状況下であれ、いかにやるかと言う問題だけです。

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本格的な稽古が始まって1カ月が経過しました。このあたりから役者個人個人の演技の品質の差が目立ってきます。わかりやすく表現すると、うまくできている人と、かなり仕上がりが遅れている人がいるということです。稽古では当の本人がそのギャップに気付くことができます。当然ながら焦りも感じることでしょう。しかし、それが次回の稽古までの活力にあることも確かです。自分の演技に足りないものがどうすれば補えるのか?自分が目指すべき役作りの方向性はこれでいいのか?すんなり答えが出る場合もあれば、深く悩むこともあるはずです。一筋縄ではいかないからこそ演技の世界は奥が深くて面白く、普段の自分ではない他者に変身できることの快感を堪能できるのです。最終的には全員がこの領域に到ることで、見る者にもその面白さが伝えられるのです。

6月8日の「ボーダーライン」です。

Posted by theatreminori on 08.2017 稽古レポート
公演まで残すところ2ヵ月!活動日だけカウントするとあと8回しかありません。相当なペースで各種作業を煮詰めていく必要があります。

そんなシビアな状況の中、午前中の制作部では先週から引き続いてのグッズ案「宿題」検討を行いました。宿題というのは、ある団員が持ち込んだちょっと奇抜なグッズ案について、なんとか活用する方法がないかを考えて来ようというものです。果たして販売できるのか?そもそも製造するスキルとコストはどうなのか?販売する以外の活かし方があるかもしれない…などの観点から意見交換が行われました。何もないところから考えるのも大変ですが、ひとつのお題に立ちして様々な可能性を考えることもなかなか難しいものです。こういった発想のトレーニングは、物を創る、演技をするといった演劇の要素にも反映されそうです。

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その後はひたすら製造中のグッズを仕上げていく作業です。同時進行で衣装作り…と、先週までと同じような光景でした。しかし、中身は着実に充実してきています。グッズも衣装も、公演日までにどのような仕上がりになるのか、楽しみなところです。逆に言えば、この段階でしっかりと作業を進めておかないと後で行き詰り困ってしまいます。作業中に誤って見本用のタグが付いた素材を使ってしまうひとコマもありましたが、発見が早かったため事なきを得ました。こういった失敗もありますが「これはずっとネタにされるね」とお互いに笑顔で修復し、繰り返さないように気をつけ合うようにしています。公演が近付いたシビアな空気の中でも、団員同士がいいコミュニケーションを撮り合っている印象です。

午後の稽古では今回も劇中に登場するダンスシーンの練習を行っています。一見すると簡単そうな動きも、実際に動いてみるとなかなか再現が難しく、また、思った以上に疲れるのがダンスならでは。何回か続けて踊っていると息が切れ、汗が流れてきます。それでも団員たちは不慣れな動きに四苦八苦しつつも、「もう一回お願いします」「音響を録音してもいいですか?」などと積極的な姿勢で繰り返し練習を行っていました。まだまだ熟練度は低い状態ですが、今回のダンスはこれまでお届けしたものとは一味違うテイストになりそうです。

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演技の稽古も出席している団員の顔ぶれに合わせて実施しています。なかなか役の特徴が安定しなかった役者も、繰り返し稽古する中で、ひとつの突破口を見つけたようです。もちろん、まだまだ理想的な形に仕上がっているわけではありません。今回つかんだきっかけを生かして、より登場人物の生き様を表現できるように、さらに役者の個性が生きるような方向性で研究と鍛錬を重ねてきてもらいたいところです。演出からも具体的に「このシーンの前にいろいろあった上でのセリフであることを考え、その思いを相手もよく受け止めてほしい」「単体だけでもインパクトがあるが、周囲が正しいリアクションをしっかりと取れれば、より印象を強くすることができる」「このセリフの構造は、もちろん人物としては自分の目的にストレートな面もあるが、観客にはまだその目的がわからないはず。その両面から受け止められる大事なセリフです」などなど、様々な角度から具体的なヒントが出されていました。

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そんなこんなで、本日は18時30分で活動終了となりました。今月中には通し稽古を実施する予定です。脚本を手放すかどうかは演出からの指定はありませんでしたが、これは逆に言えば、「言われなくてもわかっているでしょう?」というメッセージなのかもしれません。各自が隙のない準備をしてこなければ、稽古にならない段階に差し掛かってきました。いよいよボーダーラインです。

6月1日のボーダーラインです。

Posted by theatreminori on 02.2017 稽古レポート
早くも6月に突入しました。第18回公演「ボーダーライン」の公演まであと2カ月少々です。そう考えるとまだ先のように感じますが、てあとるみのりは毎日活動をしているわけではありません。驚くことに週1回しか制作部も稽古も開催されていません。つまりもうあと9回の活動で公演なのです。果たして間に合うのかという不安もある中、立ち止まることなく全員が自分の役割を全うするために、日々努力しています。

そんなわけで午前の制作部は、先週からの宿題だった、「ボーダーライン」に関連した限定グッズの案の検討が行われました。登場人物をモチーフにしたアクセサリーを提案する団員、作品の舞台になっている場所をイメージしたオブジェを提案する団員など、それぞれがこの1週間で練り込んできたアイディアや、調べてきた報告の披露が行われました。中には何の準備もしてこなかった団員もいましたが、そんな団員には改めて次週までに考えてきて欲しい宿題が課されています。制作部に携わる一員として、誇りと責任を持って臨んでいただきたいところです。

話し合いに続いてはグッズの製造と衣装の製造が行われました。衣装に関しては工程と生産すべき数が多いことから、何人もの手が必要なアイテムがあり、とにかくひたすら手分けして作業を続けました。その一方で、縫物が得意な団員が加わったことで、衣装の造形が必要な部分はかなり進捗しました。得意なこと、できることを生かしながら、少しずつ効率よく作業が進んでいる印象です。このペースであれば衣装は何とか間に合いそうです。

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制作部以上に時間との戦いになってきているのが午後の稽古です。稽古できるシーンや回数に限りがあるため、ほとんどのシーンや役作りは持ち帰っての課題になります。各自が確実にその課題をクリアして持ち寄ってきてもらわないと、稽古そのものが成立しません。休日に自主練を実施した役者もいたようで、そのあたりの意識はしっかりと浸透していました。稽古では各自が準備してきた演技、自主練で固めてきた演技が披露され、演出から良かった点や改善が必要な点への振り返りが繰り返されます。もちろん、すぐに申し分なく演技を仕上げてくる役者はいません。全員が至らぬ部分を指摘され、今後の進化の方向性を整理され、再びその課題を持ち帰って鍛え上げてくるという努力を繰り返す必要があります。

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この日の稽古では冒頭のシーンから中盤、後半の山場のシーンという、物語の中核を形成する場面の稽古が行われています。冒頭シーンを任された役者は「どうしても力が入ってしまう」「頭ではこうやろうと考えているんだけれど、しっかりやらなきゃと思って何だか違うものが出てしまう」「後のシーンと何か違うんですよね。同じじゃないとおかしいですよね」と、何度も悩んでいました。演出からは、しっくりくるシーンやセリフを軸にして少しずつキャラクターを固めて行って欲しいとのアドバイスがありました。

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また、セリフの形にこだわり過ぎて、中身になる人物の感情や思考の表現ができていない点を指摘される役者もいました。演出からは「そのままだと、ただ○○さん(役者名)がセリフを呼んでいるだけにしか聞こえない」「お客様から演技が良かったとほめられることはない。いいセリフをしゃべっていても印象に残らない」と、かなり危機レベルの高い申し送りがありました。表面的な言葉の表現にとらわれ過ぎると、その根底に流れているはずの感情や性格、人間性を疎かにしてしまうことはよくある話です。それは決して演技ではなく、セリフの暗記と物真似の披露に過ぎません。人物や物語の魅力を伝えるためには、そんな演技とは呼べない所業から脱却し、しっかりと何らかの心の動きに連動した言葉や態度を発するように、演技というものを組み立て直さなければいけません。全員が役作りという準備の基本に立ち返って、再び1週間かけて準備をしてくることになりました。

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準備してきたものが必ずしもうまく評価されたり結果に結び付くとは限りません。時には誤った方向で準備してきて梨、形を固めてきてしまうこともあります。そこで得た指摘や課題を、どう次の稽古に生かすか?一度作り上げたもの、これでいいと勘違いしていたものを、どれだけ崩すことができるか?残りの2カ月、毎日こういった作業の繰り返しです。この地道でありながらも繊細な努力があってこそ、多くのお客様に物語と人物の魅力を伝えることができ、同時にお客様から感動と称賛の拍手を頂くことができるのです。その瞬間を目指して、我々は全ての可能性を舞台創りに傾けています!

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