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4月28日の「宴もたけなわ」です。

Posted by theatreminori on 28.2016 稽古レポート
ついに4月最後の活動日です。この日でグッズ案も確定し、製造に移っていく日程です。また、造形が必要な衣装も「案」ではなく実際に使用する前提で製造に入っています。



制作部ではそんなグッズ作りと衣装作りが並行して行われていました。序盤は「しまった!」「はみ出してる!」と作り方を間違えることもありましたが、時間が経過するにつれて大きなミスもなく進行しています。衣装の方は実際の役者に何度も合わせてもらい、サイズと機能の妥当性を検証しながら作業しています。それぞれが真剣に自分の担当する作業を実施していきました。時には「ここも直さなくちゃダメ?」「やるの大変だよ」と妥協したくなる団員もいましたが「物を買ってもらうには、しっかりと作らないと売れない、大変なことなんですよ」と諭されると、ある程度納得した上で作業を継続していました。

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真剣な静寂が時間を支配していた午前の制作部とは打って変わって、午後の稽古はウォーミングアップから元気良くにぎやかなパフォーマンスが目立ちました。先週の躓きを挽回しようと、役者たちがお互いを奮い立たせ合っているような空気があふれていました。

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この日は稽古中にも演出からそれぞれの役者に演じるときのアドバイスがなされたのに加え、次週が連休でお休みであることを理由に、演出からそれぞれに克服してくるべき課題が文書で手渡されています。これまで気にしていたこと、言われてきたことを改めて裏付けをもって指摘された役者や、伸ばすべきポイントを整理して伝えられた役者など、それぞれに次回の稽古までに達成してくる、あるいはレベルアップをしてくるべきことが形として手渡されたことで、役者たちは「もっと質を高めます」「まだまだ甘かったです」「この内面を作ってくるのは難しいですが、何とか考えます」と、モチベーションを新たにしていました。連休の翌週稽古が楽しみです。

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ひとつのシーンを繰り返して稽古できる時間は、確実に残り少なくなってきています。お互いに「今度練習しておきましょう」「空き時間に合わせてみていいですか?」などと声を掛け合いながら、一度整理された演出の内容や求められている演技の表現を形にしていくための努力が散見されるようになりました。また、日常生活の中でも、自分が演じる役の生き様や価値観をつかむための努力を始める役者もいます。少しずつですが、努力を着実に積み重ねることで芝居の品質は高まります。逆に足踏みをしていれば、進んだつもりになったままでいれば、品質は高まることなく、見る者に何も伝えられなくなります。この団体には様々な「事情」を抱えて演劇に向き合っている団員が多くいます。しかし、お客様が見たいのはそんな事情や影の苦労ではなく、その成果そのものなのですから、どんな事情や苦悩があっても、向き合っていくしかないのです。

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4月21日の「宴もたけなわ」です。

Posted by theatreminori on 21.2016 稽古レポート
4月も下旬に差し掛かり、実際に製造がスタートしたグッズもある制作部は、これまでの話し合い中心だった活動より、人数の集まりが良くなってきました。今のところは案のままのグッズや衣装も、具体的な試作が並行して行われているので、すでにもの作りムードがあふれる時間になっています。



この日は机を囲んでグッズ作りを行うグループと、衣装案の試作を行うグループに分かれて作業しています。グッズ作りはすでに試作ではなく商品の製造ですので、企画通りに丁寧に、失敗せずに作業しなければいけません。しかし、作業に取り掛かったのはこの日が初めてということもあってか「うわ!」「ああっ!しまった!」「えー!何やってるんですか?」といった、声だけ聞いても「失敗したな」という雰囲気が漂っていました。ちょっとしたミスは何とか修正を施して対処していますが、完成品に若干の個体差が出ることでしょう。これも手作りグッズの醍醐味です。

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衣装案は、ひとまず形を仮縫いし、試着してみて様々な角度から検討を行っています。「もっとここを長くしたらどうか」「このままだと○○○じゃなくて▲▲▲に見えちゃうね」と、目指す空想的なイメージと実際の三次元におけるイメージのギャップを埋める作業です。また、衣装に関しては予算との戦いもあります。時にはいかに安い素材でそれっぽく見せるかに頭を悩ませることになります。服を作るのに服を作るための布をそのまま使うということはまずありません。この写真の衣装の原材料は…カーテンです。

午後の稽古では、まずはダンスパートの練習を行っています。先週までに確定している振り付けの確認と、ただの段取りではなく、それぞれの人物のカラーを反映させた動きへの結び付けを稽古しました。練習を始めたころはかなりぎこちない動きが目立っていましたが、何回か繰り返して練習しているうちに、それなりの形になってきた気がします。ちょっと踊っただけで「はあはあ」「ぜえぜえ」吐息が切れる運動不足の人が多い団体ですが、ここからさらにレベルアップを目指しています。

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演技の稽古では、先週の話を踏まえ、稽古に臨むにあたって、どこまで演技を仕上げて臨むべきかという話になりました。というのも、稽古で披露した演技に芯が通っていない、何をどう表現したいのかわからないような演技をしている役者がいたからです。どういう考えでそうなっているのかを確認すると「自分でも自信がなく、これでいいのかなと思いながらやっていた」とのことでした。稽古で積み重ねたものが本番で披露されるということを考えると、このような稽古への臨み方では「本番も疑心暗鬼のまま釈然としない演技を見せる」ということになってしまいます。稽古でも本番でも、他者に演技を披露するということは、演者が覚悟を決めて、その瞬間に集中できるようにしなければ、形のあるものを何も伝えられません。その形が妥当かどうかは見てもらってからフィードバックを受ければいいわけです。むしろ稽古ではそのようなトライ&エラーを繰り返していかなければ、演技の品質を向上させられません。ひとりで頭の中だけであれこれ考えているだけ演技が向上するなら、稽古をする必要はありません。

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そんな少しシビアな話があった後の稽古でも、てあとるみのりの大女優はマイペースでした。先週もこっそりと脚本をカンニングしていた彼女が、今週はさらに大胆に脚本を共存していました。相当自分のセリフが不安なのでしょうか。途中、同じ役者から脚本を放すように伝えられ、果たしてどんな演技になってしまうのか…と思っていると、面白いことに、脚本をじっくり見ていた時よりも周囲に対するリアクションや、セリフに込められた感情の表現が増加しました。文字面だけ自分のセリフを追いかけていた時とは、雲泥の差の演技でした。「さっきまでは物語の外にいましたけれど、今回はやっとみんなと一緒の舞台にいましたね」と、演出からも脚本を手放したことでの良かった点が伝えられています。

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稽古時間が限られた中で、複数の役者がそれぞれの演技の構築を目指しています。しっかりとした準備、振り返りの反映を積み重ねなければ、結局のところ芝居全体の品質向上にはつながりません。稽古が本格的に始まってしばらく経つと、そのことを忘れて中だるみしてしまうものです。どんな時でも十分な準備をして稽古に臨むことが、個人の演技だけではなく、芝居全体を高めていくために必要なのです。

4月14日の「宴もたけなわ」です。

Posted by theatreminori on 14.2016 稽古レポート
午前中の制作部では衣装のこととグッズのことを交互に話し合う展開となりました。基本的にはグッズ案、改善してきた試作品の検討を行いながら、衣装案を作りなおした役者の来所に合わせて、その都度試着を行い、裾の長さ、着こなし、見せ方などを検討しました。グッズは順調に進行しているものと、少々行き詰まり感が出てきたものに分かれています。次週から製造に取り掛かれるものがある反面、もう一度コンセプトとデザインを見直す必要があるものもあります。グッズのラインナップ確定が再来週ですので、仕上がりが遅い案は生き残りをかけた正念場です。

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衣装案は試着をしながらの検討です。「もっと上にしたら?」「いや、このままの長さで行きましょう」「この色はどっちがいいですかね?」「まだそれは残しておいてください」「裾の長さを確認するために仮縫いしてきましょう」などなど、マネキンと化している役者の周囲で様々な意見交換が行われました。役者の中には「はぁ~疲れちゃった~」と思わずため息を漏らす者もいましたが、これはまあ、大女優のわがままということで、一同笑ってやり過ごし、そのまま衣装合わせを継続しています。

午後の稽古では何名かの役者に絞って、役作り、演じ方などの深い部分まで掘り下げた練習が行われました。徐々にキャラクターのイメージが固まってきている役者もいれば、なかなかつかみ切れていない者、イメージを表現する方法に苦慮している者がいます。そのギャップを少しでも埋めるためのテコ入れともいえる稽古でした。そのため、いつもより回数を多く同じシーンの稽古を行っています。繰り返して演じるうちに、セリフの入りが悪かった役者も安定してセリフを発するようになりました。ただし、舞台上でこっそりと脚本をカンニングしていましたけれど…。こんなことをばれないようにやってのけるのも役者のスキルでしょうか(ばれてましたけれど)。

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役を作っていくとはどういうことなのか?どうしても脚本を読む際に、自分のセリフと直接(表面)的な相手役とのやり取りだけからイメージを膨らませてしまうことがあります。この方法では物語の中で本当に必要な存在を演じることはできません。その物語全体に流れるテーマ、お客様へのメッセージを深く読み取ることで、そのために必要な人物の役割が見えてきます。そのために表現の仕方、人物像の構築を行うのが役作りです。そういった観点から、まだまだ読み込みが甘い役者もいたのは事実ですが、本日の稽古で指摘されたこんな話を受けて、改めて脚本、物語、人物を見つめ直し、ギャップを埋めながら品質を向上させていくことでしょう。

4月7日の「宴もたけなわ」です。

Posted by theatreminori on 07.2016 稽古レポート
先週が年度末の最終活動。そして今週は4月になって最初の活動。もう7日も経過してしまったことと、すでに第16回公演「宴もたけなわ」に向けて活動が継続的に進行していることから、先週ほどの感慨はなかったですが、それでも節目の月初め。団員たちもここからさらに加速してそれぞれの活動を仕上げていこうと、気合いを入れ直しているようでした。

午前中の制作部では、まずは衣装(案)の試作、試着を行っています。昨日まで時間の合間に準備していたものに、この日の制作部の中で一気に形にしたものが加わって、かなり具体的な形が見えてきました。特に造形が必要な役の衣装には、アイディア段階から多くの人の手が加わっています。この日も「ここを結束バンドで止めてください」「もっと大きめに丸めて入れてください」など、発案者からの指示が細かく投げかけられていました。何人かの力を合わせて迅速に形にした試作衣装を身に付け、どこまでイメージ通り、理想に近い雰囲気が出せているかを確かめました。

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制作部の後半はグッズに関する話し合いです。朝の段階では「調子が悪いから午後から行く~」と口にしていた団員も、やはり自分の携わったグッズが形になって販売されることに高い動機付けを感じるようで、1時間ほど遅れたものの話し合いに合流し、試作された現物を手にしながら具体的な検討が行われました。また、候補に残っていた案の中で、実際に生産に踏み切るもの、踏み切らないものの審議も行われました。ここで太鼓判を押された案が次週から生産開始されます。

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午後の稽古では冒頭に衣装案の試着が行われました。まだ全員の衣装案の現物が揃っているわけではないのですが、できる人だけでも先行して行おうということで実施しました。実際に着てみると、畳んだ状態で思い描いていたイメージとのずれが生じる場合があります。また、サイズが大きすぎたり小さすぎるといった、デザインや印象以前の課題が浮き彫りになる場合もあります。今回の試着を貴重なデータとして反映させ、衣装の再考に用います。もちろん、まだこの段階では写真を公開できませんので、ご了承ください。

衣装合わせの後は申し送り、ウォーミングアップを挟んで稽古に入りました。今回から早くも脚本を手放して、仮の小道具を入れての稽古です。先週の段階で「セリフの丸暗記はするな」という演出からの指示があったため、役者たちは一種の矛盾に頭を悩ませながら準備してきたようです。その答えは今日の稽古の中で、演出から「改めて」示されました。そう、改めて、なのです。

実はこれまでも何度も伝えられてきた、芝居の基本的な面白さこそが、今回のチャレンジを成功させるために重要な要素だったのです。それは、「目の前で起こった出来事に素直に目と心を向ける」ことと「それに対して自分が自分の(物語の中での)役割に則った言動を取る」ことです。セリフを暗記しようとしない状態で脚本を手放すと、演技は当然ながら物語の流れを重んじたものになります。そしてその流れの中で自分がどんな振る舞いをするのか、何を誰に伝えるのかをイメージしながら演じることになります。

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このような感覚とイメージだけで演じて、全体が綺麗にまとまるはずがありません。そのほころび、違和感、不整合性…脚本と比較した場合であれば間違いと評される部分を振り返ることに意味があるのです。なぜそこで流れが途切れたのか、逸脱した行動に至ったのか、相手の言葉が出なくなったのか、自分が何をするのかわからなくなったのか…。逆にスムーズにできた部分はなぜその流れが生み出されていたのか、誰のどんな言動をきっかけにして心が動いたのか…。これらを脚本と照らし合わせながら検証することで、役を作っていく上で大事にしなければいけない、人物の動機付けの部分を把握できるようになります。何をどう感じ、どんな反応をするのか?この基本的なキャラクターの根底がつかめるようになります。物語の中で生きる、極めて自然な、リアルな表現に近付くことができるのです。だからこそ、セリフを覚えてきて脚本を手放すという行為に芝居を創る上でのメリットはないと考え、今回のような取り組みを実施しているのです。

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本日の稽古では、そんな基本中の基本にして、永遠とも言える課題を少しでもモノにするため、同じシーンを何度も何度も演じました。一つひとつの反応、声掛けなど、演出からいくつかの指示が与えられました。この指示を形式的なものにするのではなく、妥当なものにするためにも、役者はそれぞれの人物が何をどう考えて行動しているのかを深く読み取って、人物像として構築していかなければいけません。まだまだ取り組まなければいけないことは山積みです!

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