早いもので2月もあと数日。来週の木曜日はすでに3月になってしまいます。第16回公演「宴もたけなわ」の公演は8月。半年あると思っていた時間は、すでにその15%ほどが失われたことになります。本当にあっという間ですね。
この日の制作部では、先週の予告通り、これまで提出されてきたグッズ案をすべて終結させ、今後も開発を続ける物、ここまでで没になる物の仕分けを行いました。それぞれに思い入れのある試作品ばかりが集合し、なかなか審議が難航しましたが、販売予定のカテゴリごとに仕分けして考えると、一気に整理がつきました。その中で、「このアイテムのこの部分を、こっちのアイテムにくっつけられないか?」という新しい融合の案が出てきました。まさにハイブリッド・アイテムの誕生です。最終的にどんな商品が販売されるのかはまだわかりませんが、今回は準備段階からしっかりとした議論と製造を積み重ねています。期待できそうです。

まだモザイクだらけですがご了承ください
午後の稽古では先週実施していなかったシーンの読み合わせを行いました。脚本が渡されてから初めて読むシーンもあり、役が決まっていない団員たちは積極的に「○○やります!」「次は△△△をお願いしたいです」と、読んでみたい役をアピールしていました。すでに当て書きされて役が決まっている役者には、演出から「前のセリフをよく確認してください」「すぐに舞台から出てしまわないで、よくト書きを読んで」「ここは、こっちからこう入って、これ、これをやってください!」と、早くも動きをイメージした、身振り手振りを交えた演技指導が始まっていました。

ポーズゲームでよく体を動かしてから稽古に臨みます

相手の演技へのリアクションも人それぞれです
稽古の最後にはそれぞれがどんなイメージでこの物語に向き合っているのか、どんな内容をお客様に伝えたいのかといった話を意見交換しました。自分がやりたい役を通しての物語イメージや、日常の自分を重ねて見えてくるイメージ、観客が感じる(感じている)であろう日々の苦悩と対比したイメージなど、各自が思い描くこの物語のテーマを語り合うことで、全体でどんなことを伝えればいいのか、キャラクターのどの部分をしっかりと描き出す必要があるのかが整理され、共有されたような気がします。舞台を創っていると、ついついセリフを覚えること、演出の指示に従うことを大切にしてしまうものですが、本来の目的はそこではありません。お客様に何を伝え、何を持ち帰っていただくか?その意識のもとで個性際立つ全員がひとつにならなければいけないのです。

全員から細かい表情の演技が出るようになると面白くなります
先週の11日(木)は祝日だったため活動がお休みでした。脚本は手渡されたものの、すぐに間隔が空いてしまったので気が抜けてしまった…ということはなく、制作部では「これを改良してきました」「仮のデザインを作ってきました」「何とか間に合わせた」と、それぞれがこの日のために準備したグッズ案を持ち寄っていました。早速プレゼンを経て試作品のお披露目を行い「こっちの方がかわいいよ」「ここまでやっちゃうとちょっとな…」「これだったらこの色の方が欲しい!」など、率直な意見交換が行われていました。

グッズ案の検討に続いて、衣装の案を出し合っています。脚本が出来てすぐ、配役も決まっていない状況ですが、すでに何枚かのイラストが用意されていました。「やっぱりこの人物はこの色をイメージしちゃうんですよね、まだ誰がやるのか決まってないですけれど」「やっぱり○○さんだったら、この色ですよ」などなど、すでに制作部の中では独自のイメージ交流が行われています。来週には衣装のモチーフになるような衣類を何点か持ち寄って具体的検討に入るとのことです。ペースが上がってきました。
午後の稽古では前回配布された脚本の修正(誤字脱字の訂正)箇所の伝達と、それに関連した数ページの差し替え分シナリオの配布が行われました。わずか数ページの差し替えに関しては、主宰者から「物語のテーマをより伝えやすくするため」「その結果、キャラクターの背景も色濃く描き出されるようになった」との説明がありました。相変わらずどの役にも深い魅力があるようです。役者たちがどこまでそれを表現できるのか、今から楽しみです。

この日の稽古では、いつも午前中の活動の影響で時間ぎりぎりの到着になってしまう団員が、開始30分前には到着して準備をしていました。「いつも時間ぎりぎりなので、効率よく仕事を片付けてきました」と、自らの取り組みを語ってくれました。これは非常に素晴らしいチャレンジでもあり、大きな成長でもあるように感じます。演じることへの準備が着々と進んできている印象です。

また、ある団員は声と喉の調子を改善するために、止めるに止められなかった「タバコ」を手放すこと決意し、「禁煙」に取り組んでいます。喫煙が習慣になっていた方にとっての「禁煙」とはつらく厳しい取り組みでしょうが、稽古の中で今までより大きな声が出る、咳が出ないという確かな手ごたえが自身にも周囲にも感じられるようになってきました。これもまた素晴らしい取り組みです。

少しずつ団員たちの具体的な取り組みが形になってきた中、読み合わせの稽古を行いました。今回は役を自由にローテーションさせたので、役者たちは様々な役を演じることが出来ました。この手応えからやってみたい役を絞れる人も、逆により迷ってしまう人もいたようです。第三者的視点から見れば「この人はこの役しかない!」とフィットしているように感じる配役も、演じている本人にとっては「これでいいのか?」「まだまだ出せるのではないか?」「自分につながる部分があるのだろうか?」などなど、あれこれ頭を悩ませてしまうもののようです。これから何回かの稽古でじっくりと手ごたえを強化しつつ、演出的意図との折り合いをつけて配役が決まっていくことでしょう。5回のローテーションを行った本日の稽古、役者の中には「ほんとに疲れちゃったー」と、演技終了後、床に寝転がる者もいました。演じている間は夢中になって、楽しんで取り組んでいたからこその光景でした。

午前中の制作部ではグッズ案の集約を行っています。昨年からアイディアを出し、試作を重ねてきたアイテムを一度整理し、今後継続して開発するためのイメージすり合わせを行いました。次週が祝日で時間が空くので、この2週間を有意義に活用するために、具体的にイメージと完成形の錯誤をディスカッションしました。また、衣装の何となくのイメージについても話し合いがもたれています。まだ脚本と配役が決まっていない状態ですので、あくまでもイメージの話にはなりますが、「やっぱりこんな色じゃないのかな?」「この形って現実的に無理じゃない?」など、ラフイラストを描いてみての検証になっていました。
午後の稽古は、予定通りに脚本が手渡されるのではないかという期待と不安が入り混じった状態でウォーミングアップから発声練習、早口言葉練習、ポーズゲームなどが進行しています。主宰がパソコンの前にかじりついて細かく何かの作業をしている気配を感じながら、団員たちは「その時」に胸を躍らせていました。

このまま円満に脚本の配本になるかと思われた矢先、主宰から団員に、この脚本が渡される日に備えて、各自が掲げていた課題の改善、達成された目標の実績が問われました。「8月(公演)までにはできるように…」「まだ自信がないですけれど…」「これから頑張る」…そんな答えばかりでしたが、主宰からは「本番から逆算して仕上げても意味がない。稽古でできていないことが本番でできるはずがない」「稽古の段階ですべてできている状態に持っていくこと」と、厳しい言葉が投げかけられました。確かに、本番というものは緊張感、環境の違いから、普段出せているパフォーマンスの8割程度の物しか表現できないものです。ですから、稽古段階から万全の状態で臨み、自信を持った演技ができるように、完成された役作りを披露できるようにしておかないといけないということです。この時点で出遅れた団員たちは、ここからもう一度決意と行動を連動させて、日々の稽古にも覚悟と責任を持って臨んでもらいたいところです。ひとりだけできていてもダメ、ひとりだけできていなくてもダメなのが舞台です。
そんなシリアスな雰囲気に続いて、作品の概要説明、脚本の配本、読み合わせを行っています。読み合わせの配役は演出の方から指定されていました。ある程度イメージを持ちながら脚本が書かれていたことがうかがえますが、試しに読んでもらって本当にイメージが合っているかを確かめているという側面もあるようでした。今後の配役、演出の方向性に影響を与えそうな読み合わせでした。初見でありながら、全員がある程度動きを入れながら演じるのがてあとるみのり流ではありますが、脚本読みレベルでの整合性を検証したかった演出側の意図を超越してアドリブを入れまくる役者まで存在したのはご愛嬌ということで。

ひとまずは予定通りに脚本が完成しました。ここから少しずつ公演に向けた役者関連のスケジュールも定まってきます。今のうちからどんどんできることを進めていき、より良い作品に育てられるように、団員一同、時に力を合わせて支え合い、競い合いながら稽古を重ねていきます。