7月も終わろうという30日。制作部では仮チラシの完成に喜ぶ間もなく「本当はもう本チラシのデザインを決めないといけないんですよね~」という悲鳴が上がっていました。確かに当初のスケジュールでは8月6日にデザイン決定となっていましたので…。まあ、そこはスケジュールの再調整をして、最終的なリミットに間に合わせることになりました。

この日は衣装を具体的に検討するために、過去の衣装を確認しながら、アレンジしたりそのまま使うことができるものを探しました。これで衣装のコスト問題は大幅に解決…と思いきや、実際に脚本の中の役のイメージと合う衣装になるか、そのイメージをしっかりと構築できるかは別問題です。無理やり衣装を役にあてがっても意味はないからです。その人物が何も言わずに立っていてもどんな人物であるかを知らしめるのが衣装の役割。制作部ではもう一度よく脚本を読んで、人物の特徴、隠し持っている本質がなんであるかをつかみながら、衣装の案を練り直すことになりました。役者が行う役作りと同じような取り組みです。
午後の稽古では、いよいよ全員が顔を合わせる…はずが、先週とは違った団員が欠席してしまい、またも悲願は叶わず。それでも主要キャストが揃ったので脚本前半をじっくりと稽古しました。個々の人物の仕上がりにはばらつきがあり、また、その人の中でも上手く表現できている部分と、素の状態でただ読んでいるだけの部分がはっきりしています。このギャップをどうやって解消していくか?これにはできていることの頂点を下げることなく、さらに前進させて底辺を引っ張り上げ、カバーしていく努力が肝要です。個人の努力が全体の品質にフィードバックされるのが演劇です。ここで油断しても、諦めてしまっても、最後には全体に影響を与えてしまうのです。もちろん、全員が最大限の前進を試みた先には、品質の向上した舞台が出来上がります。次の稽古までに、本日演出から伝えられた評価と課題をしっかりと消化し、昇華させてくることが、役者のミッションです。



この日に飛び出した大きなニュースは、今回の音響を担当してくれる新団員が誕生したことです。もちろん、てあとるみのりの音響を担当するのは初めての方(主宰以外が音響を担当すること自体初めて)です。かなりのこだわりと繊細な表現を求められることが予想されますが、これまでにない音の選択、シーンとのシンクロが生まれることに期待しましょう!
次第に活動に主体性が見えてきた制作部では、衣装のイラスト描きが行われました。それぞれのイメージを出し合いながら、下絵を描く人、色を塗る人に分かれ、実際に形になった案を再び検証して直すという作業です。「ここはブルーですよ。それ以外ないですね」「白い方がちょっとミステリアスっていうか、怖さがあるんじゃないかな」などなど、色の選択にもそれぞれの意見が飛び交っていました。

グッズ関連の話し合いでは、新たに改良を試みたサンプルを検証。「直接○○○を使った方がきれいだったかも」「上に△△△を塗る方法も試してみます」など、こちらも意見が交わされていました。毎週毎週進化を遂げていますが、「ここで油断してしまうのがコワイ」と担当者は気を引き締めていました。某カード作りは、データサイズの微調整方法で二転三転してしまいましたが、最終的にはより簡易で確実な手法を発見し、次週その方法で仕上げていくことになりました。少々時間がかかりましたが、今後同様の作業を進める際のいい事例になりました。
制作部の主体性向上が形になって見えたのは、活動時間が終わった昼休みでした。午後の稽古の申し送りに備えて、ホワイトボードに制作の代表が活動内容を要約して書き込んでおくのですが、この日は、それぞれの部門(衣装、グッズ、カードなど)を担当している団員がそれぞれの進捗状況を自分で書き込んでいたのです。これには制作代表も「感動した!」と喜んでいました。

午後の稽古では、今回の公演の予算案が紹介され、具体的な集客目標が確認されました。やはりお客様を呼ぶには宣伝が命…と考えるのではなく、創っている芝居の質を上げることが第一であることも、同時に確認されました。チケットを売る際に、絶対見てほしい、すごく面白いと、自分たちが心の底からアピールできなければ、成果は半減します。自信と情熱が相手に伝わってこそ、チケットが売れ、お客様がおいでになるのです。この点は忘れることなく取り組もうと、改めて共有しています。



稽古ではほとんどのキャストが揃い、冒頭から主要シーンを演じています。代役ではない、本当の相手役と向き合うことで、今までよりもやりやすくなる面、課題が浮き彫りになる面の双方がありました。もちろん、演出からの要求も次第に深いものになってきました。それでも、演技を構築する基本は人物を作り表現することであるということを忘れて、形を固めることに走ってしまわないように、お互いに刺激し合って進めています。

ここまでの役の仕上がりについては、個人個人に差があります。しかし、残された稽古回数はみな平等。常に勝負の日々が続いています。そして、少々まばらな仕上がりを一本化するための初通し稽古の日程が8月20日(木)に決定しました。あと1か月。稽古回数は残り2回です!既に「勝負」とか言ってる場合ではないですね。
晴れたかと思えばどしゃ降りになるような不安定な天候でしたが、制作部は先週に引き続きグッズの検討とチラシの検討、さらに衣装について初期イメージイラストを描いています。グッズは順調に進行中。一部画像のサイズ設定が想定していたものと合致せず、作り直しになる物もありました。これも、より良いデザインを目指すためには、仕方のないことです。チラシは先週と異なる2案が提案されました。それぞれのいい面と今ひとつな面を検討し、さらに磨きをかけていく予定です。そして衣装。まだまだ最初の段階です。イメージを出そうにも、それぞれがバラバラなコンセプトで、スムーズに話し合いが進まないようでした。これから脚本を読み込むと同時に、稽古での役者たちの演じ方、演出の方向性を加味して行けば、自ずとまとまってくることでしょう。

稽古前の申し送りでグッズ案を紹介。役者も興味津々。
午後の稽古では、脚本からいかに人物像を読み取り、構築し、表現していくかに焦点を当てた演出が目立ちました。セリフを覚える作業よりも、この作業を徹底的に行わなければ、中身のない形だけの芝居になってしまいます。セリフはいつでも脚本を見れば変わらず存在していますが、人物の内面に関しては脚本を見ても直接的には目に映りません。だからこそ時間をかけて、初期の段階からじっくりと積み上げていかなければいけません。逆に言えば、これさえ全員が押さえておけば、セリフを覚えようとしなくても言葉が自然に出てくるはずですから。

早くもお互いの動きが必要なシーンもあります。

故意か偶然か?思い切りカメラ目線の役者も。

少しずつ、舞台という空間を意識し始めています。
さて、そんなこんなで少しずつ稽古も本格的になってきた「
2025」。先日予告編映像の第一弾が公開されました。すでにFacebook、Twitterなどでご覧になった方もいらっしゃるでしょうが、こちらでも紹介しておきましょう。動画編集は、相変わらず主宰者自ら手掛けています。
午前中の制作部では、グッズとチラシの担当者からサンプル提示が行われ、「もっとこうした方が…」、「これは何なのか?」などの協議が行われました。物語のテーマを品物のコンセプトにリンクさせた方がいいとか、自分で気に入らないような切り口から攻めてみると思いもよらない傑作が生まれるかもなど、それぞれが経験を踏まえた意見交換を行っていました。過去の公演に比べると、制作部の品質も格段に向上しています。関わる団員が少し増えたこともその一員なのでしょうが、量より質という言葉のある通り、回を重ねるたびに、もっといいモノを生み出したいという実感が浸透しているのかもしれません。

午後の稽古では、主に後半から終盤にかけてのシーンを、動きを交えながら読み合わせています。この時点で「もう少し位置の取り方を考えないといけないですね」「誰に向かって話しているのかをはっきりさせないと」「動き方を相手と決めておかないとダメですね」などなど、これから必要になる調整部分が発見されています。これまでは、まずは自分のセリフで精一杯という役者ばかりでしたが、こういった感覚を持ちながら自分の演技にも集中していけるようになってきたと感じます。



稽古の冒頭では脚本の一部修正箇所、正誤訂正箇所のアナウンスもありました。修正に関しては、よりお客様に伝わりやすい表現の追及によるもので、大きく結末や展開が変わるという物ではありません。それでも、役者たちはどこがどう改まっているのかを確認し、イメージを共有することに努めていました。
また、週末に他団体の演劇ワークショップに参加した団員から、その時に得られた感触や教訓の報告がありました。演技の基礎にも相当する、その場で起こった出来事への反応。これが脚本を読み解いていく中では忘れられてしまうことが多いことにも、改めて気付かされました。ひとつのイメージにこだわらない(とらわれない)、結末を決めてしまうのは即興ではない、相手の演技が変われば自分の演技も変わる、常に新鮮な気持ちで状況に向き合う…などなど、「今さら当たり前のことなんですけれどね」と語られた言葉の数々には、深い真実が隠されているようでした。
さあ、本日よりブログの記事タイトルにも、11月予定の第15回公演のタイトルが反映されました。そうです。てあとるみのり第15回公演のタイトルは「2025」です。PC向けサイトのキービジュアルも新しくなっています。

本日は完成した脚本の団員への配布が行われました。毎回、この日は特別な雰囲気が漂う日です。主宰者から物語の内容と登場人物の説明が語られ、待ちに待った脚本のお目見えです。公開された表紙のデザインには「おお~」という歓声があがりました(実は数時間早くこのブログには反映されていたのですが)。そしていよいよ、裏方を含んだひとりひとりの団員に、今回期待する役割、取り組んでほしいこと、役の魅力などを主宰者が丁寧に伝えながらの配本式です。お互いに交わされた「よろしくお願いします」の言葉には、お互いの強い決意と信頼が垣間見えます。

本日の参加者全員に配布が終わると、すぐに役者たちは自分の役を中心にして、黙読を開始。脚本を書いた側にしてみると、この時間はかなり緊張します。誰かが笑ったり、感嘆の声を挙げると、どこだ?何がウケた?と、気になってしまいます。ある意味舞台の初日よりも緊張します。脚本家にとって団員が最初の観客ですから。

そんなわけで、しばしの黙読タイムを経て、実際に通して読み合わせることになりました。欠席の団員がいたので代役を2名立てて臨んでいます。これまでの稽古では執筆中の脚本を抜粋して使用していましたが、ついに物語の全貌に触れることができるわけです。もちろん、これまで使用していたシーンも大きく内容が変わっていたり、人物の設定に変化が見られたりと、様々な変化と進化が確認できました。演じる側も、まだまだ手探りながらも、先週までの感触とすり合わせながら、手応えを確かめていました。


最後に午前中の制作部の報告を簡単に。先月行ったグッズ検討を煮詰めるとともに、人物の衣装のラフ案を出し合っています。とにかくイメージをイラストにおこしてみようということで、得意、苦手に関係なくイラストにチャレンジしています。この段階ではまだ脚本が配布されていませんでしたので、あくまで空想によって描かれたイメージです。来週からはチラシ、チケットのデザインを含めて、本格的に進行していきそうです。