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1月29日の「てんとせん」です。

Posted by theatreminori on 30.2015 稽古レポート 0 comments
本番が近付くにつれて、あれこれとできていない部門の焦りが高まっていく今日この頃です。制作部から午後の稽古まで、この日に持ち寄ったそれぞれの準備の成果を出し合い、さらに変更しないといけない点、このまま進化させていく点を確認しています。

この日の確認で、ほとんどの衣装が決まりました。あとは所持品や装飾品の細かい部分を煮詰めます。何点か再考を余儀なくされた衣装もありますが、来週までには揃えられるはずです。プランを考えている間はこれでいいのかと不安ばかりの衣装でしたが、現物をそろえてみると案外のその場の勢いでOKが出るものです。まずは行動あるのみというのがこの部門でも原則のようです。

音響はイメージを捉えた音源が集められず、ほとんどの音が没になっています。この段階から新しいプランを構築するのは時間的に厳しいので、現状のまま本番に臨んでみることになりました。2月のステージでは、どの部門も「裏方業務の体験をする」というテーマがありました。たとえ結果が円満なものではなかったとしても、その難しさ、今まで当たり前のように準備されていたことへの敬意などを実感することができたはずです。この体験は役者として舞台に立つ際にもプラスになります。もちろん、諦めずに次回も同じ部門の担当をすることもあるでしょう。そういったときに、より深く物語を解釈し、それに相応しい準備を行うことができるはずです。そうすれば、舞台の完成度や充実度が高まります。全体のレベルアップに確実につながることなのです。

午後の稽古では通し稽古を行いました。実は初期の脚本読みレベルの段階をのぞいて、通し稽古は初めてです。これまでは脚本片手に稽古していた役者も、ここでは両手を自由に扱うことができます。しかし、だからと言って、のびのびと演じられるわけではなく、逆に手探り状態で、小さくまとまってしまった演技が目立つようにもなります。決められていた動きのきっかけや、セリフの言い回しにも迷いや不安が生じ、これまでとは異なった言動ばかりになる役者も多かったです。

そんな状態だからこそ、セリフに詰まる、間違えることが頻発します。中にはユニークな間違いや、かなり苦し紛れにセリフをつなぐ姿を見せてくれる役者もおり、出来としては悪くても、周囲を楽しませてくれるという役者魂が垣間見えました。そんなこんなを経つつ、一時はどうなることかと思われた通し稽古ですが、ストップしてしまうことなく最後まで演じきることができました。これも少なからず、日々の稽古の賜物でしょうか。

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ある程度決まってきている衣装を試着しながら演技をしたのも初めてのことでした。まだ靴や小物が不ぞろいなので、全身像を見ると不自然なキャラが多かったですが、雰囲気が変わっているのは十分に伝わってきました。後は中身の演技をどれだけ充実させられるかですね。各々が役の本質に向き合い、この空間に何のために存在しているのか?相手の言動に何を感じているのか?どんな行動をとることが相応しいのか?などなど、深く解釈をして行かなければなりません。

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この日は午前の制作部から夜のT.M.Evolutionまで、これまで何度か公演に参加していた団員が久し振りに参加しています。「パワーをもらいに来ました」とのことで、かつてのキャプテンオスカー役の元団員同様に、一度自分の世界に羽ばたいても、何かの折にひょっこり顔を出しに舞い戻り、何かを感じ、浄化し、再び自分の道に戻っていける。てあとるみのりがそんな場所であることも、この団体の不思議な魅力の一部なのかもしれません。





1月22日の「てんとせん」です。

Posted by theatreminori on 22.2015 稽古レポート 0 comments
2月12日の公演まで、稽古回数はあと3回。何だかあっという間でしたが、まだまだ決まっていないことがたくさんあります。制作部では持ち寄った現物の衣装案を並べて、色合い、形、他の人物との兼ね合いなどを徹底検証しました。イラスト案の段階では、なかなかイメージが湧かなかった衣装です。現物を前にすれば、よりわかりやすくなって、様々なアイディアに派生するのではないかと期待していましたが、結局は「なんか違うんだよな」「じゃあどうしよう」で思考停止状態に。現物だろうがイラストだろうが、想像力が必要なことには変わりありませんでした。

午後の稽古は、気合の入ったウォーミングアップからスタート。風邪から復帰した団員も、少しパフォーマンスに不安があったようですが、しっかりと声を出して心身の準備を行っていました。てあとるみのり名物教材を使った早口言葉練習では、苦手な人にも丁寧に説明を加えながら進める団員の姿が見受けられました。団結力を感じます。



その後、音響の進捗状況と現在のプランの確認が行われました。イメージを固めて選曲してきた案も全曲が素晴らしいというわけではなく、やはりシーンに合わないもの、セリフとのリズムが明らかに異なるものも多く含まれています。徐々に時間が無くなってきた状況で、どこまで洗練した音を組み立てられるか?音響担当者は「もう少しだけ待ってください」「チャンスをください」と必死に食い下がり、プランをさらにレベルアップさせるチャンスを得ました。ほとんど初挑戦に近い音響担当者たちは、どうしても音を当てて盛り上げる、わかりやすくすることばかりに心を奪われてしまいがちです。無音であることも音響の意図であること、演出効果として成立させるべきであることを理解した上で、もう一度熟考してもらいます。

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大きい舞台では相手との通常の距離感も増幅させなければいけません。

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大きな舞台では動作や表情にも大きな変化が求められます。

この日の稽古終盤では、「演じる」ということの最も基本になることを改めて見つめる必要性が問われました。どうしても形を作ること、その形を守ることに集中してしまう役者がいるからです。回を重ねるうちに守りに入る。失敗してはいけないという思いに駆られることが、この問題の根っこになるようです。失敗しても、無様な姿をさらしてでも、己のありのままをさらけ出すような開き直りが欠けているのです。いわゆる人前で「ばかになる」ことが出来なければ、他者を演じ、その世界を楽しむこと菜でできません。求められていることは極めてシンプルなことです。上手く演じる必要も、超人的な体の動きをする必要もありません。目の前で起こった現象に何を感じ、どう行動するのか?それをやるだけです。セリフなど覚えずとも、誰にでもできるはずのことです。忘れかけているこの原点に、どれだけ近付くことができるのか?この後戻りこそ、実は演技の質を先に進めていく秘訣なのです。

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1月15日の「てんとせん」です。

Posted by theatreminori on 15.2015 稽古レポート 0 comments
いよいよ2月12日の文化交流会まで1カ月を切りました。しかし、すべて順調に進んでいるわけではありません。予定ではこの日に完成しているはずのもの、ある段階に進んでいるはずのものが、仕上がったりまとまったりしていません。先送りにしてしまっている事柄が多いようです。制作部では衣装のこととチラシのことで具体的に踏み込みながら、この遅れを挽回するような総監督のテコ入れがなされていました。なかなか具体的な提案ができずにいた衣装に、具体的なイメージがフィードバックされていきました。その甲斐あって、何とか現物を収集する段階に到達できました(プランが未確定の衣装もありますが)。

チラシは少しずつ、しかし確実に作業を進めてきたので、基本デザインは固まり、細かい配置、文章の内容の精査に入っています。ここまでくればもうすぐ完成…と思いきや、実はここからもそれなりに時間を要する作業なのです。ひとつの文字の大きさ、オブジェの配置、色の濃さなどで全体の印象が変化してくるので、様々な試行錯誤の繰り返しになります。何パターンも作った末に、もっともよいひとつを決めなければなりません。

午後に進捗状況を確認した音響は、まだまだ曲がバラバラな印象で、作品全体に対するイメージを重ねられていませんでした。きっかけとしての音に固執してしまうと、最も大事な作品のテーマ性を見落としてしまいかねません。普段何気なく耳にしていると「いい雰囲気だった」「気分が乗った」と感じる音響。いざ自分たちで用意していくとなると、その作業は非常に難しいことに気が付きます。とは言っても、すぐにあきらめるわけにもいかず、次回の稽古までにプランを構築することになっています。

そんなスタッフ業務の進捗状況もあって、午後の稽古前には団員に向けて総監督から、もっと情熱や執念を作品に、己の役割にぶつけるようにという檄が飛ばされました。技術の上手い、下手よりも最も大切なことは、舞台創りに臨む信念、思い、執念などです。そういった気概を皆が持ち合わせていなければ、同じ方向を見ながらひとつの舞台を創ることができません。それができていないバラバラの状態だから、審査員の目には「ひどい舞台」「何をしたいのかわからない」「よくぞこれで舞台に立つ気になった」としか映らないのです。取り組む姿勢、直向きさ、かつて初めて舞台に立った時には誰もが持ち合わせていたはずの重圧と高揚が、回を重ねるうちに和らいでしまい、いつの間にか気持ちや手を抜いた取り組みになってしまうのです。だから「次の公演はセリフの軽めの役で」「次は裏方でいいかな」といった希望を平然と掲げてしまうのです。そんな言葉が出る時点で、何としてもいい作品を創る、その一員として食らいついていくという気持ちはないのです。一部の人間が積み上げた執念によって形が整った舞台が「与えられて」いるだけです。果たしてそこに立つ意義があるのでしょうか?それ以前に、そこに立つ資格があるのでしょうか?「やりたい」ものにはもっと貪欲に、情熱を傾けて取り組まなければ、何も始まらないはずです。

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今日の稽古はこのように、ここに集まっている動機を見つめ直した上で行われました。その成果がどの程度あったのか?それは実際に第14回公演「てんとせん」の舞台上でお確かめください。

1月8日の「てんとせん」です。

Posted by theatreminori on 08.2015 稽古レポート 0 comments
午前中には制作部の活動と並行して、いよいよ来月に迫ってきた文化交流会に関する担当者との打ち合わせが行われています。2年前にも出演させていただいたイベントですので、ある程度当日の流れや会場の都合なども理解していたため、話し合いはスムーズに進んでいます。その中で、てあとるみのりの上演時間が決定しました。2月12日(木)13時30分から14時の30分間、第14回公演「てんとせん」があうるすぽっとの舞台に登場します。イベントは入場無料で13時に開会式を迎える予定です。平日の昼間ではありますが、どなたでもご来場いただけますので、ご都合のよろしい方はぜひ足をお運びください。

制作部では衣装プランの話し合いとチラシデザインの確認と修正を行っています。どちらの部門もスケジュール通りにプランが決定せず、担当者は苦戦を強いられています。紙やパソコンに向き合って「う~ん…」とうなり続ける時間が増えてきました。求められている要素、設定すべきコンセプトを整理して、何度も考え直しています。この時間が有意義に積み重ねられれば、多少のスケジュールの遅れをものともしない、いいアイディアが生まれてくるはずです。いわゆる「生みの苦しみ」ですね。

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午後の稽古では各スタッフの作業進捗状況確認を行っています。この日は音響の最初の案が提示され、実際に候補に挙げた曲を全員で試聴しています。いきなりOKということはなく、むしろほぼNGという厳しい結果になりましたが、これを何度も繰り返すことで品質が高まるのはチラシ、衣装と同じことです。時間の許す限り進化させてもらいたい部門です。

また、先日運営側から受け取った、池袋演劇祭の審査員講評についても話が及びました。公演の率直な感想と言いますか、審査員の方々の受け取り方は、その人によって天と地ほどの差がありましたが、共通していたご意見は「演技の品質の低さ」です。やはり、お金を取ってお客様に見せる芝居のレベルに到達するには、まだまだ自分の限界を超えてやるべきことがあるということでしょう。これまで自分の境遇に甘えて勝手にあきらめていたこと、繰り返しているうちに麻痺してしまった直向きさ、我武者羅さが必ずあるはずです。その至らなさを全員で共有し、これからの舞台創りに反映させていくことが次のステップです。

そんなシビアな空気の中で始まった稽古は、それぞれが緊張感を持ったものでした。少しずつキャラクターの方向性も見え隠れしてきています。演出からも人物の内面に関わる問いかけや演出が増えてきました。物語全体をどう見せていくか?ひとつひとつのアクションが重なり合うことで面白くもなり、ちょっと踏み外してしまうこともあるわけです。動きの多い役者たちは「暑い!」と言いながら、何回も体を動かして演じていました。この体の動きと心の動きの繰り返し、積み重ねが、少し面白い舞台に昇華していくことに期待しましょう。

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ワンポーズに魂込めて、ポーズゲームの様子

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かなりアドリブが表出しています

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何かのポーズのように見えますが、実は…?

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キャラクターの特徴を表現するには表情も重要です

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後ろで遊んでいるわけではなく、これも立派な演技です


2015年もよろしくお願いします!

Posted by theatreminori on 01.2015 お知らせ 0 comments


第14回公演「てんとせん」 脚本・演出/椙田佳生

2015年2月12日(木) 時刻未定 会場:あうるぽっと
(豊島区精神障害者共同作業所連合会主催 第16回文化交流会公演)

2015年4月24日(金)~26日(日) 時刻未定 会場:北池袋 新生館シアター
(2月12日チケット販売開始予定)


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