かなり外の寒さが厳しくなってきましたが、屋内で行われる稽古の時間は熱気に満ちていました。恒例のウォーミングアップの後に、それぞれが担当するスタッフ業務の打ち合わせを行っています。今回は役者たちにも何らかのスタッフを担ってもらうようにしています。これまでは、役者に集中していれば衣装も小道具も音響も勝手に出来上がっていくという、役者にとっては天国のような環境でした(数少ないスタッフは壮絶な地獄でした!)。それは演技に集中できる利点がある反面、創造者としての意識が希薄になるという弊害も含んでいました。
今回こんな取り組みに着手したのは、どうやって舞台が出来ていくのか?裏方の苦労とはどんなところにあるのか?といった、これまで体験したことのない領域を体感してもらい、より一層、ひとつの舞台をみんなで創っている感覚を共有するためです。まだまだ勝手がわからない作業に戸惑いながらも、「とにかく衣装のイメージを描いてみよう」「曲の候補やアイディアをダウンロードしよう」と、各担当者は具体的に作業を進めています。


今日はそれぞれの進捗状況や持ち寄ったアイディアの確認を行い、次週までに進めてくることを共有しています。これまでは誰かがやってくれていた「当たり前」のことを、自分たちで積み上げていくことは大変なことでしょうが、同時に舞台に立てることのありがたみ、役者としての準備の必要性、責任感が芽生えるはずです。
スタッフ打ち合わせに続いて、脚本の中盤のシーンを少し役を入れ替えながら、繰り返し稽古しています。舞台の幅を意識してお互いの距離を修正する作業、観客からの視線に対してどこに立ってどう動くかを意識することに留意しながらの稽古でした。どうしてもこれまでの小さな舞台サイズに相応しい言動になってしまう役者たちを、いかに大きく動かし、大きく見せるか?演出からの指示は「もっとわかりやすい演技を」でした。ちょっとした距離の取り方、一歩の踏み出し方で、舞台の中で与える印象が変わってきます。ひとりがバランスを崩せば、周囲の役者にも影響が波及します。誰がどんな意図で何をしているのか?大きな舞台で分かりやすく伝えることを常に意識しながらの発言と行動が求められます。



本日の稽古を経て、少しずつ配役が確定してきました。まだ未定の役者には多少の焦りや不安があることでしょうが、どんな役でも精いっぱい演じ切ることこそ、演劇の楽しさです。それに向けて誰もが頑張っていることには変わりないのです。今回は各自が裏方業務を兼任することで、より一層頑張り、より一層楽しめるはずです。
いよいよ2月公演の脚本が完成しました。これまでの稽古で毎週進化してきた試作脚本が、最後の形態になりました。それに伴って、タイトルの表記も漢字からひらがなの「てんとせん」に改められました。そして、今回2月にお届けする舞台の副題は「点の章」と名付けられました。最終的にリリースされるタイトルがこの通りになるかは不明ですが、今のところこんな感じで形になっています。
さて、本日の制作部では2月公演までのスケジュールを整理しています。どの部署はいつまでに何をするのか?今のうちに整理しておかないと本番直前に大パニックになってしまいます。全てが予定通りに進むかは別として、目標を定めて各々が準備を進められるようにすることはとても大切なことです。この日は衣装の案が早速提出されていました。来週は音響担当者が話し合いをするようです。
そんなわけで、午後の稽古です。



いつも以上に熱のこもったウォーミングアップを経て、脚本の配布儀式が終わると早速稽古です。まずは明らかになった結末を確かめるべく、冒頭から最後まで通して読みつつ実際に動いてみることにしました。いきなり動いて読むという進め方は意外に感じるかも知れませんが、てあとるみのりではよくあることです。物語の感触を確かめるのはもちろん、最初の印象で分かりにくいところ、動きのとりにくい箇所を確認する意味もあるからです。
演じてみての感想と共に、物語をどう受け取ったかの意見交換も行われました。第一印象として何が心に残ったかは、この物語をお客様が見た時に何を受け取るのか指針になります。物語に込められた意図がどれだけ文章化されているのか?それをどれだけ表現できる可能性があるのか?慎重に見定めなければいけないので、毎回脚本完成直後の読み合わせは神経を使います。


本日通して読んだ時の所要時間は、体感した時間の流れよりも早いものでした。つまり、長さの割には内容が充実していて盛りだくさんに感じられたということでしょう。これは吉兆です。とは言え、まだまだ最初の稽古です。何もかも未成熟な状況には変わりありません。本番まであと2カ月しかありませんから、少しずつ熟成させていくため、日々の積み重ねを大事にしていきましょう。
気が付けば既にカレンダーも12月。2014年の終幕が近付くと同時に、第14回公演のその日も近付いてきました。そんな本日、12月4日の活動内容を紹介しましょう。
午前中の制作部では、少しずつ本格的な話し合いが始まっています。この日は稽古でなんとなく形が見えてきた物語から、衣装や小道具のイメージを出し合いました。「もしあの人があの役をやるなら」「この方がイメージに近いのでは?」など、様々な観点から仮説を立て、試しにイラストにしてみました。こうして今までと違った視点から物語を見つめてみると、気付かなかった面白味が見えてくるものです。脚本の熟成と比例して、衣装と小道具の案も深まっていくことでしょう。また、チラシのデザインについても、イメージの話だけではなく、実際に素材を集めるのにはこんなサイトがあるという情報も交換されました。既存の物をそのまま使うだけではなく、うまく組み合わせたり加工して活用できると望ましいのですが、そのためには深いイメージの投影と形成が必要になります。さて、どこまで高められるでしょうか?
午後の稽古では、改めて基礎訓練、特に発声練習の重要性が伝えられました。どうしても形式的になってしまい、滑舌をよくするための早口言葉を重視してしまう役者たちに、早口だろうが何だろうが、声が出ていなければ何の意味もないというメッセージが投げかけられました。自分たちはまだまだ演じる基礎を身に着けていない立場であることを再認識して、1週ごとの貴重な練習機会を無駄にしないように誓い合いました。早口言葉は自宅でもできますが、大きな声を出す発声練習はどこでも構わずできるものではありません。何のために、何を意識して訓練するのかをよくイメージして取り組まなければいけません。
基礎練習の後には脚本の第7稿を使った読み合わせ…というか、ほとんど立ち稽古でした。人数の関係でシーンごとに区切っての稽古になり、その都度演出から動きやセリフの修正点、こんな見せ方にしたいというイメージのレクチャーがあり、何回か繰り返して練習しています。先週までは目立った進化が見受けられませんでしたが、今週は全体がバランスよく、ある程度の意図を持ちながら演技できるようになっていました。個々の課題になっていた部分も、かなりクリアしている役者もいました。少しずつ、内容が充実してきている印象です。





まだまだ脚本から目も手も離せない状態ですが、表情の豊かさ、キャラクターの立て方への意識はかなり高まっています。2月は慣れ親しんだ北池袋新生館シアターよりかなり大きな会場での公演です。こういった意識の高まりが表現に結びつくことで、初めて大きな舞台用の演じ方になっていきます。ちょっとわざとらしいというか、やり過ぎなのではないかというぐらいの役作り、あるいは演じ方で構成しなければ、客席まで伝わりません。特にワンステージのみのイベントゲスト公演なので、わかりやすいインパクトが求められるのです。演出からは「繊細なドラマというより、アニメをイメージしてほしい」と、作品全体の雰囲気を伝えています。細かい眉毛の動き、指先の表現にこだわることより、体全体を使ったイメージの表現が優先されなければいけません。ただし、細かい部分がその全体イメージを表現する手法の一部ということも事実です。結果的には変に偏った演技をしなければいけないというわけではなく、小さな舞台でも十分に通用する基本中の基本がそこにあるわけです。
次週はいよいよ脚本が配布される予定です。これまで試作改稿を重ねてきた作品がどのような最終形態になるのか、楽しみです。役者たちにとっては、今回目指しているコンセプトを表現しきれるのか、役者そのものの基礎能力を問われる時間の開幕です。