4月から5月にかけてすっかり更新頻度が低下してしまいましたが、毎週木曜日の午後にはこれまで同様に演技の練習を中心とした活動を行っています。
4月はもともとセリフがある題材に対して自由に設定を付加していくというワークショップを中心に行いました。それに対して5月に入って最初の稽古時間では、「いつ、どこで、だれが、なにを、どうして、どうなった、それはなぜ」という項目が記された空欄のシートが配布されました。ここで取り組んだのは自由に物語の中のワンシーンを構築するというワークショップです。もちろん考えた設定に基づいたシーンは考えた本人が演じます。演じるのはワンシーンなので、設定項目の中にはもうひとつ「物語の見どころ(あらすじ)」というものもあります。全体像をイメージしつつ、その中のキーになるようなワンシーンを設定するという演習です。どんな物語にも主題に踏み込むきっかけとなる出来事が存在します。開けるなと言われていたドアを開ける、階段から落ちる、謎のアイテムを拾う、不思議な人と出会うなど、どんな物語にも非日常への扉が設定されています。要するにそこを自由に考えるというわけです。

もちろん、うわべだけで「2200年」「戦国時代」などと設定するのではなく、その時代にはどんな価値観が主流で、こんな常識で、こんな社会情勢で…などと設定の裏側を深めていきます。それが起こる出来事や主人公の行動に深いドラマ性を持たせることにつながるからです。例えば、お菓子を食べるなんて非常識な時代に、お菓子を作って売ろうと考えた主人公がいたとすれば、それだけで朝の連ドラのような壮大な物語が想像できます。このようにして「だれが」「どこで」などの設定に対しても、しっかりとした裏付け、根拠になるような深い設定を肉付けしていきます。普段どれだけ深い視点をもって脚本のセリフや世界観を見ているかが問われる演習でした。残念ながらほとんどの団員が何をどう深く考えればいいのかに混乱をしてしまい、自由に作れるはずの物語とそのワンシーンを考案するのに長考するばかりとなってしまいました。

このワークショップは2週にわたって行われ、どうにか2週目に発表までたどり着くことができました。物語とはどのような根拠で構築されているのかを学ぶにはとても良いワークショップである一方、普段の脚本解釈の方法、深さがそのまま成果につながって来ます。まだまだ学ぶべきこと、考え方を改めなければいけないことがたくさんありました。
5月の後半は、指定されたたった一つの出来事を中心にその前後の展開を考えるというワークショップでした。例えば「100円を拾う」というイベントが指定されたとして、そこに至る人物の行動や周囲の環境、100円を拾ったことで起こるであろう展開を考えて演じるという流れです。演じる際には参加者全員が何かの役割を持つこと(一人二役は禁止)と、時間経過や場面の転換は禁止するという条件があります。さらにそのショートストーリーを1分に収めるという条件もあります。まずは各自が考えた展開のオーディションを行い、一番その物語の発展や参加者の配役にフィットしそうなネタを選び、全員で物語の肉付けを行っていきます(原作通りではなくてもOK)。個人ワークと全体協議が入り混じった、まさに稽古における演技の構築方法と同じようなワークです。

今までになかったパターンの演習に、序盤は戸惑っていた団員も、まずは考えた展開を演技でプレゼンし、その中から選ばれたワンシーンを発展させていく過程に入ると、次から次へと意見が出て、全員が役割を持った物語がイメージされていきました。ただ、話し合いが進めば進むほど「あれ?でもそれだったらこうじゃない?」「この役割だと不自然じゃないかな」と疑問が浮かび、試行錯誤の連続となりました。考えているうちに行き詰まってしまう感覚、これも演技そのものです。まずは考えたプランを実施してみることの重要性も、この演習で学べたようです。実施してギャップを実感すれば修正のための検証を行うということです。稽古で演技を仕上げていく過程もまさにこれです。頭で考えただけで完成形の演技に到達はできません。また実践と検証を一人だけで行ってもなかなか深まりません。そういった鉄則を肌で感じるためのワークショップでした。

5月の最終週にはその集大成として、今回全員で考えたワンシーンが脚本にまとめられた題材を使って、実際に演技を深めてみるという取り組みを行いました。ここでは、これまでに演習してきたひとつの事象、お互いの関係、それぞれの存在、世界の状況などの深い設定を考慮して、それを形として表現することでした。もちろんそれをこれまで2カ月間学んできたわけです。ところが、実際に自由に考えていくと、議論の中心がいかに形を整えるかに偏っていきました。これでは中身の伴った表現には達しません。脚本化されたことでセリフをどう言うかしか考えなくなってしまいました。各自があれこれセリフの言い方や話のまとめ方を考えたところで、何もまとまりません。この世界をどう描くか?全員でひとつの表現を協力して行うにはどうしたらいいか?相手の立場や関係性を表現できるのは他者である、そういったこれまで触れてきたはずの基本が抜けてしまうのです。なぜ、演技に迫力や真実味がある役者さんがいるのか?その答えは演技そのものの考え方です。セリフ、ストーリーという上辺の形式を整えただけではたどり着けない次元がそこにあるのです。そして我々もそれを目指して努力しなければいけないのです。2カ月に及ぶワークショップで、まだまだ力が足りないことを痛感できました。

さて、もうすぐ6月です。6月に入りましたら少し新たな動きについても発表できますので、どうぞお楽しみに。
第26回公演「Mission」の上演も終了し、4月末には録画配信も終了します(お申し込み受付はすでに終了)。3月上旬の公演終了以来ブログの更新が滞っておりましたが、てあとるみのりは活動を続けておりました。
毎週木曜日の午後の稽古では12個のセリフだけが並んだ短い脚本を題材にして、どんな場面設定か、人物設定なのかを2チームにわかれて自由に検討し、その設定に基づいた演技を表現するというワークショップを繰り返し実施しています。

考えた物語のプランが演技という表現でどれだけ相手チームに伝わったかを検証し、改善すべき点を深く掘り下げて考えるという、とても深い学びになるような取り組みです。

2チームとも同じセリフの書かれた脚本を使用するので、どんな解釈をしてどんな展開にするのか、お互いのアイディアが気になるところです。そんな緊張感や焦りを存分に感じられるように、あえてホワイトボードを挟んでそれぞれが協議するスタイルをとっています。

このワークショップを始めた頃はアイディアはたくさん出るのだけれど、それを物語にまとめきれない、人物の設定に生かし切れないという行き詰まりがすぐに生じていましたが、総監督からまずはどの部分をどのように考えていくのかのレクチャーがあるうちに、少しずつ前進できるようになりました。

参加人数が少なめで2チーム形成できない場合は全体で物語の各種設定を話し合います。いつ、どこで、誰が、何を、どうした、それは何故なのかという要素を可能な限り具体的に深く共有することで、誰がどの役を演じても表現の軸や根源がぶれなくなります。逆に単にそれっぽく演じようというイメージ共有だけですと、演技がバラバラになり、どんな場面なのか、どんな人物同士が関わっていたのかが伝わりません。総監督はこういった設定作りや役作りを植物に例えています。花や葉ばかりに目が行きがちですが、物語の根をどのようにしっかりと育てるかが重要ですということです。切り花のような演技ではすぐに枯れます。しっかりとした演技の根拠、軸になる幹があってこそ、どっしりとした安定感と成長が見込める演技になるわけです。
さて、午前の制作部についておしらせです。実は3月末で制作部は活動を終了しています。これまで木曜の午前に集まってグッズ作りや衣装作りを行っていましたが、その活動はてあとるみのりから切り離されました。ハートランドみのりのグループ活動のひとつとして、演劇のグッズにこだわらない新しいものつくり活動になりました。
設立から15周年を無事に迎え、今年度は様々な変化の中でシンカを果たそうとしているてあとるみのりを今後ともよろしくお願いいたします。
第26回公演「Mission」チケットご予約→
こちら#演劇的な一日公演部門「桃食え」詳細→
こちら2月になりました。そしてもうすぐ立春です。そんな2月2日(木)の朝から夜までの活動の様子を紹介しましょう。
10時からの制作部はいつものようにそれぞれの担当しているグッズの製造を続けています。いくつかのグッズは予定していた数量に達しつつあります。「こんなに作れたんだ、すごい」「長い時間をかけて作り続けていたからこれだけできたんですよね」など、成果が見えつつある中で、自分たちの積み重ねてきた努力を振り返る声も聞かれました。今後は全体の進捗を見ながら手が必要そうな部署を全体でフォローして、臨機応変に足並みをそろえるようにしていきます。

13時から16時の稽古時間は2月11日(土)に「#演劇的な一日」の中で上演される「桃食え」の稽古が行われました。今回の作品は総監督がプロデュースせず、劇団員たちがアイディアを出し、それを一名の担当者が脚本化した作品です。修正を加えて来たという脚本を基に読み合わせと通し稽古を実施して全体の仕上がり、物語の品質などを確認しました。

全体を通して見るとイベントのテーマである「えんじょい!!」との関連性がまだまだ足りないのではないかという懸念点が浮上してきました。その改善策を話し合う中で「もっと早く準備しておけばよかった」「時間はたくさんあったのに」「一人に任せてしまった」「もっと気にかけて声をかけることもできたはず」「受け身だった」などとそれぞれが深く反省していました。今回自分たちでやってみるという挑戦を行ったことで、今までどれだけやってもらっていたか、お膳立てしてもらった中でやった気になっていたのかを痛感することができました。

少し重苦しい話し合いを経て、より良くするために配役の変更も行い、稽古を再開。それぞれがモチベーションを高く持ちながら、思い切って演じていました。悩み、気付き、支え合い、成長する。そんなプロセスも「えんじょい!!」の一部になっている気がしました。

18時から21時の夜間稽古は第26回公演「Mission」の稽古です。社会人の出演者も加わって、活気あふれる稽古になりました。とにかく今回集まった出演者たちは積極的かつ独創的で、稽古をしながら次々と新しいアイディアを生み出しては実演してくれます。ここでオリジナルメンバーたちも負けじと積極的に演技のアイディアを生み出してもらいたいところですが、さすがにそう簡単には行かないようです。しかし、ここで受け身になってしまっては昼間の稽古で出の反省が全く生かされないことになります。「他の人は上手いから」「自分なんてまだまだだから」と引いてしまっては、表現することなどできません。ここで一歩でも二歩でも踏み出すことが、彼らの「Mission」なのです。
第26回公演「Mission」は3月9日(木)~12日(日)萬劇場にて。チケットご予約受付中です。ご予約は→
こちらから!さて、そんなわけで実は1月最後の木曜日。1月26日(木)の活動の様子を紹介しましょう。
10時から12時の制作部では第26回公演までの活動回数を逆算し「今日を除いてあと4回しかない!」ということが今さら判明。「作るぞ!」と改めて気合を入れてグッズ作りに勤しみました。とは言え、予定していた手作りグッズの進捗はまずまず順調です。公演会場で売るものがない、少なすぎるという事態は避けられそうなのでご安心ください。むしろ会場でお買い求めいただきたいです。ぜひよろしくどうぞ。

13時からの稽古時間では、まずは「#演劇的な一日」公演部門の当日受付や事前の宣伝などに関連した申し送りと人員の確認などを行い、その後は第26回公演に関する稽古となりました。先日、北池袋新生館シアターで行った初めての通し稽古について、演出から全体的な振り返りがありました。そこで指摘されたことは、まだまだ各自が自分の役、特に自分のセリフとト書きにとらわれ過ぎて、物語全体の流れ、相手役の存在などを表現し切れていない点でした。特に相手の存在を意識できていない点については、相手役となる立場の人物とのコミュニケーション、世界観の共有、自分の存在意義の把握などが足りていないことが要因であるという観点から、この日はとにかくチームとなる相手役の役者同士で、どう演じたいのか、どんな人物をイメージしているのか、物語で描きたいことは何なのかなどを話し合うことにしました。

その流れから自主的にセリフや演技の修正や自主練習を行うチームもありました。「相手を引き立たせるには、ここで自分が強く言ってたらダメなんだね。強く言ってたらお客さんには違う見方になっちゃうもんね」と、相互作用で演技を組み立てるということに気付く役者もいました。そういった見せ方のプロセスを持って演じ方に試行錯誤を重ねることで、よりよい演技ができるようになります。たとえすぐに上手く行かなくても、そのやり方に妥当な根拠や目指しているビジョンがあれば大きな問題ではありません。取り組んでいることは間違いではなく、確実に進化する筋道があるからです。サッカーのチーム戦術のようなものです。

そんな昼の稽古時間に続いて18時から21時は夜間稽古でした。社会人の役者も集結してとても賑やかな稽古となりました。昼間の稽古時間と異なって、夜の稽古は時間の経過も速く、それに応じた内容の濃さが特徴的です。次から次へと新しいアイディアや表現が飛び出し、どんどん内容がアップデートされていきます。この充実度は相当なもので、1回で昼の稽古3回分ぐらいの学びを得られます。問題はその速度感についてこれるかどうかだけです。
さあ、いよいよ公演まで1か月少々。ここからが本当の「Mission」です!
1月も半分が過ぎ、「#演劇的な一日」「第26回公演」それぞれが徐々に追加づいてきた実感があります。
19日(木)の午前中は第26回公演で販売するためのグッズ製造を継続して実施しています。この日は手作りではなく業者を介して完成させる系のアイテムについて、最終的に何種類、何個の販売を行うかを担当者間で話し合いっています。単価や数量によって全体的なアイテムの売れ行きバランスが変わってくることを想定し、「何をどう売りたいのか?」という基本に立ち返りながらアイテムを整理しました。

13時から16時の稽古時間は「#演劇的な一日」公演部門の作品「桃食え」に関する打ち合わせと練習を行っています。出演を予定している役者の配役やキャラクター設定の発表と物語の進め方、押さえておくべきポイント、それぞれの役割などの確認を実施しました。今回は総監督が物語作りには関わっていない、てあとるみのりメンバーのオリジナル作品です。実際に練習してみると上手く行かない点や理解しきれない部分が出てきます。それをみんなで協議してまたブラッシュアップさせて…という手法で完成を目指しています。「桃食え」は2月11日(土)16時から創造館シアター(南大塚地域文化創造館)での上演です。

「桃食え」練習後は「#演劇的な一日」のイベント会場に展示するポスター作りを行いました。毎年恒例になっている作業ですが、バランスよく素材を配置することや、目立たせたい情報をどうやって引き立てるかなど、頭とセンスを使わないといけません。みんなで勢いよく作ってしまうととんでもないごちゃごちゃした作品になってしまうのです。今回も団員たちは悩みながら、何度もやり直しながらバランスの良いポスターの完成を目指しました。16時を少し超過して、やっといい形になりました。こちらのポスターは南大塚地域文化創造館にイベント当日まで掲示されます。ぜひご覧ください。

18時から21時は第26回公演「Mission」の夜間稽古です。この日は先週と異なりかなり多くの役者が参加できました。出演者たちは「人数いますね」「舞台上の雰囲気がつかめた」など、演技以外の物理的な雰囲気を実感することができたようです。とは言え、全員が揃っているわけではなく、代役を入れながらの稽古です。この代役を担当した役者たちがとてもしっかりと演じてくれていることで、よい循環が生まれているようでした。みんなで作っているんだなぁという感じが強かったです。
第26回公演「Mission」は3月9日(木)~12日(日)萬劇場にて上演です。チケットのご予約も受け付け中ですので、ぜひご来場ください!
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